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- ドライバー飛距離は伸びているが… 男子プロが世界で戦うために絶対的に不足しているスキルとは?
今年から国内男子ツアーに新規ツアーとして加わった「横浜ミナトChampionship~Fujiki Centennial~」。その大会アンバサダーを務めていた丸山茂樹(まるやま・しげき)は日本ゴルフツアー機構(JGTO)の相談役も務めているが、男子ツアーの現状について聞いてみた。
問われるのは100ヤードからのアイアンショット精度
果たしてここ20年で国内男子ツアーのレベルはどこまで上がっているのだろうか。今年のドライビングディスタンスを見ると、325.06ヤードで1位の河本力から21位の小林伸太郎までが300ヤードを越えているが、20年前の03年に300ヤードを越えているのはわずか3人しかいなかった。
03年の1位になった小田龍一が記録した303.53ヤードは、今年のランキングに当てはめると15位となり、トップテンにすら入ることができないのだ。
ドライバーやボールなどの進化もあるので一概にはいえないが、ドライバーショットの飛距離は明らかに伸びている。ただ、それがツアー全体の底上げとイコールとはいえないと丸山茂樹は指摘する。
「ショートアイアンのパフォーマンスに疑問を感じますね。ピンに絡む回数が少ないし、アイアンショットのクオリティーが低いかなと。ピンポジションが厳しいのかもしれませんが、それでも昔の選手の方がベタピンにつける回数は多かったと思います」
ちなみにパーオン率を比較すると、03年の1位はデビッド・スメイルの73.400%で10位は藤田寛之の68.090%。23年の1位は宋永漢の74.486%で10位はJ・クルーガーの69.074%となっている。数字だけ見ると今年の方が上だが、ピンにどれだけ近いところに乗ったのかまでは分からない。
「解説などで試合を観て感じるのは、100ヤードぐらいからピンに対してピタピタ寄ってるイメージが少ないことです。短いクラブで打っているのだから、もうちょっとピンに寄ってもいいんじゃないかと思いますね」(丸山)
100ヤード前後だけでなく、番手間の中途半端な距離を正確に打てる選手も意外に少ないという。フルショットで打てる距離しかピンに寄らない選手が多く、微妙な距離の打ち分けやスピンコントロールなどのレベルが上がっていないことに納得がいかないようだ。
パーセーブ率を高める100~150ヤードのアイアンショット
丸山がアイアンショットの精度にこだわりを見せるのは理由がある。米男子ツアーや海外メジャーに出場した際、100~150ヤード以内のパフォーマンスを上げておかないと、自分のゴルフをさせてもらえないからだ。
「日本のラフなら190ヤードぐらいまでならグリーン手前まで運べますが、海外では無理なんです。粘り気のある芝なので長いクラブで打てないため、一度フェアウェイにレイアップしなければいけません。必然的に150~100ヤードの距離が残り、それをしっかり寄せていかないとパーセーブできないんですよ」
スポット参戦などでPGAツアーやメジャーに出場することでそのことを学んだ丸山は徹底して150ヤード以内の距離を練習し、精度を高めたという。
その結果、たとえティーショットをラフに打ち込んでもパーセーブできる確率が上がり、それがPGAツアーでの3勝やメジャーでの上位フィニッシュにつながったのは間違いない。
「タフな試合ばかりに出場していたこともありますが、自分のゴルフのどこが通用しないのかと考えたとき、間違いなくアイアンショットでしたね」と振り返る丸山。
実際、PGAツアーで8勝を挙げている松山英樹のアイアンショットは圧倒的な精度を誇る。ドライバーショットの飛距離を伸ばすことも大切だが、仮に海外ツアーでの活躍を目指すのであれば、やはり150ヤード以下の精度を上げることは必須だろう。まずは、国内ツアーで各選手が精度の高いアイアンショットをどんどん見せてくれることを願いたい。
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