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ゴルフ史最大級40億円被害の真相(4) 被害者も一枚岩ではなかった…「守る会」代表を襲った嵐のような日々【小川朗 ゴルフ現場主義!】
1000人以上が総額40億円にも上る被害を受けたゴルフ界を激震させた「ゴルフスタジアム事件」。発覚から7年にわたり取材を続けてきたゴルフジャーナリストの小川朗氏が、最終局面を迎えた事件の全貌をリポートします。今回は625人もの被害者たちをまとめ、代表を務めてきた今西圭介さんの思いに迫ります。
「これ以上やりようがない、というぐらいのことはやった」
さらにここで一つの問題点が出てきます。連携を模索していた名古屋の被害者の会との関係が悪化していくのです。名古屋の弁護団はクレジット被害の専門家が顔を揃えており、ゴルフ畑の西村弁護団と歩調が合わなかったというのです。
「当初、向こう(名古屋)の弁護士と、西村先生たちがやり合ってしまったんです。西村さんはゴルフとか、そっちのほう。(クレジット被害について)分かっていない弁護士が出てきても、みたいなことを向こうにいわれてしまって」
名古屋の被害者の会も、東京に本部を置く被害者の会との連携を拒否し、早々と3割カットで和解を選択してしまいます。一方、東京側は、あくまで判決での勝利にこだわり、5年以上の月日を要すことになりました。にもかかわらず、被害者の多くが結果的に名古屋と同程度の和解にしかたどり着けなかったことになります。
さらに深刻なのは、被告の一つであるビジネスパートナー社だけが和解を拒否し、判決までいく構えを見せていることです。判決が出た場合、3割カットでも遅延損害金が付くため、残済の約2倍になってしまいます。「50人近くいるその人たちは弁護士費用を払って何年もかけた末に結局元よりも高い金払うことになっちゃう」。
今西さんは「みんな名古屋和解と同じ決着で一応は終わったんです。(僕の残債は)780万円でそれを3割カットです。でも弁護士の成功報酬を払ったりと、弁護費を払ったりとかいろんなことをやりましたので、150万円くらいは何もしないよりは助かったかな、トータルで。だから、なんだかんだいって僕は550万くらい払うことになりますからね。2カ所だったんですけど、1カ所のジャックスはもう400ちょっと払っちゃいましたんで、東京センチュリーが90万くらい。僕はもうズルズルやるのが嫌なんで3月に1回で払っちゃいます」と語っています。
17年4月から7年近く。「長かったですね」という問いには「これ以上はやりようがなかったでしょう、っていうぐらいのことはやりました。お金のことだけは、誰から何いわれても『100円でも綺麗にやりたい』といってきました」。
実は今西さん、活動の途中に奥様の難病が悪化して、代表を続けることが難しくなってきました。
「介護が必要な状態で、それが顕著になってミーティングにもなかなか顔を出せなくなっていました。だから『代表をやりたい人がいたらどうぞやってくれ』っていいました。そのあと代表を2人にしたらいいんじゃないの?って意見が出たんです。一生懸命やっていた横田(亮)君が、ゴルフの仕事を途中で離れて通常のサラリーマンをやってましたんで、今は横田君と代表2人体制です。また、飯塚由美子さんもとてもよく会の活動を支えてくれました。この2人がいなかったら、この会は続けてこられなかったと思います」
最後に、今西さんにとって、このゴルフスタジアム問題とは何だったのか、と聞いてみました。
「そうですね。自分の子供はまた職種が違うからこういうことはないかもしれませんけど、後世の人々にこういう事件があったんだよ、繰り返さないように、気を付けてほしいと伝えていくことぐらいしかないですかね」。今西さんはこういって、ため息をつきました。
【ゴルフスタジアム事件】
レッスンプロやゴルフ練習場などにゴルフスタジアム社の営業が訪問し、「HPを実質無料で作成運営できる」と説明。ゴルフスイング解析ソフトのローンを組ませたり、リース契約を結んだ後、月々の支払はHPへの広告掲載料を振り込むことで相殺していた。しかし2017年の2~3月頃から掲載料の振り込みがストップ。被害者は1000人以上、被害額も約40億円に達した。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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