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五輪を目前に松山英樹がサポート体制に疑問を呈したワケは? 問われるJOCとJGAのゴルフ国際大会への本気度【小川朗 ゴルフ現場主義!】
パリ五輪まで残り1カ月という段階で“日本のエース”松山英樹が呈した選手へのサポート体制への疑問。こうした発言が出てくる背景には何があるのでしょうか。ゴルフジャーナリストの小川朗氏が迫ります。
すんなり行きたいと言えない、パリ五輪
パリオリンピックの開幕が目前に迫ってきました。これに伴い、ゴルフ競技(男子:8月1~4日、女子:7~10日、ル・ゴルフナショナル・アルバトロスコース)に出場する日本代表の4選手も、本番に向けて最終段階の準備に入っています。前回の東京大会では松山英樹選手がプレーオフで銅メダルを逃して4位タイ、稲見萌寧選手が銀メダルと健闘しているだけに、男女メダルの可能性も期待できる状況です。しかし明るい材料ばかりではありません。不安材料を挙げる人々の真意に迫りました。
「もう少しサポート体制が整っていれば、すんなり(パリ五輪に)行きたいですと言えるんですけど」。
松山英樹選手がこの発言をしたのは、五輪1カ月半前のことでした。全米オープン最終日のホールアウト直後というタイミングもあって多くのメディアに報じられたため、ご記憶の方も多いはずです。同時に多くのゴルフ関係者の顔色も変わりました。パリ五輪の“絶対エース”でもある松山選手へのサポートが、1カ月半前だというのに十分ではないことが露見したからです。
すんなり行きたいと言えない、パリ五輪。松山選手をそんな気持ちにさせていた原因はどこにあったのでしょうか。東北福祉大の恩師・阿部靖彦監督を直撃すると、こんな答えが返ってきました。
「プロの場合、キャディー、トレーナー、コーチがチームとして体制を整えて、仕事としてメダルを取りに行くわけです。ただ遊びに行くわけじゃないじゃないですか。東京(オリンピック)の時も全部こっちで部屋探して、あれこれやったわけです。そこまでの理解を示してないから、そういうふうになるんじゃないですかね。みんな思いは一緒だと思いますよ」
阿部監督の意見にうなずいたのが、リオデジャネイロ大会でゴルフ競技が五輪に復帰して以来、ゴルフ日本代表の実態をよく知る関係者です。
「そもそもJOC(日本オリンピック委員会)自体がアマチュア感覚だから。アジア大会って今、他の国はプロ(がいればプロ)が出ているのに、日本だけはアマチュアが出ているんです。アジア大会もオリンピックと同じようにプロアマに関係なく、その競技のナンバーワンの人が出るっていう風に方針を数年前から変えたにもかかわらず、いまだに日本はアマチュアだけが出てるんです。プロの方は出す必要ないじゃないかっていう感覚なんですよ」と厳しく指摘してから、ため息交じりにこう続けました。「問題意識があればもっと変わるんでしょうけど、ゼロなんで」。
プロをサポートすべきJGA(日本ゴルフ協会)とJOCが、どちらも旧態依然としたアマチュア競技団体のまま。それが問題の根深いところにあったという指摘です。
「松山さんの望むクオリティーの連絡じゃなかったんでしょう」
この件について、JGAのオリンピック競技対策本部の山中博史本部長は「松山選手とうちのスタッフが連絡は取り合っていたと思うんですけども、多分、松山さんの望むクオリティーの連絡じゃなかったんでしょうね。僕らが連絡しているなと思っても、松山選手にフラストレーションを溜めさせてしまったってことに対しては、申し訳ないなって思います。選手たちに快適な環境を与えるのが僕たちの役目ですから、それが実現できてないんであれば、それはもう真摯に重く受け取るしかないなと思っています。今後はしっかり連絡をとるようにしていきたい」と語っています。
JGAは山中本部長をトップに強化委員会の丸山茂樹委員長と服部道子副委員長、協会のスタッフ3人が日本代表4選手をサポートしていく体制を固めています。ナショナルフェデレーションであるJGAには、出場4選手がパリでゴルフに集中でき、実力を出し切れる環境だけは、ぜひとも作ってほしいものです。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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