熊本県は2位にダブルスコア近い優勝数でダントツ
最強の都道府県はどこだ! 今回から2回にわたって国内男女ツアーの出身都道府県別優勝数を紹介する。まずは女子ツアー編。

女子のトーナメントが始まったのは1967年のことである。そこから2021年までで1600を超えるトーナメントが開催されてきた。日本選手の優勝数は1108。
これを出身都道府県別にランキングを作成した。そのトップ10は以下の通りだ。ちなみに出身地は日本プロゴルフ協会の公式プロフィールに掲載されているものである。
順位 都道府県 優勝数 主な選手(優勝数上位3人)
1位 熊本県 145勝 不動裕理、平瀬真由美、上田桃子
2位 埼玉県 79勝 樋口久子、生駒佳与子、小林洋子
2位 愛知県 79勝 塩谷育代、服部道子、米山みどり
4位 宮崎県 75勝 大迫たつ子、大山志保、今堀りつ
5位 東京都 69勝 木村敏美、稲見萌寧、中野晶
6位 北海道 60勝 吉川なよ子、谷福美、小祝さくら
7位 広島県 57勝 岡本綾子、佐伯三貴、表純子
8位 富山県 50勝 森口祐子、城戸富貴、池渕富子
9位 鹿児島県 49勝 横峯さくら、肥後かおり、勝みなみ
10位 神奈川県 47勝 福嶋晃子、吉田弓美子、原英莉花
1位は熊本県で145勝。2位で並ぶ埼玉県、愛知県が79勝だから、2倍近い優勝数である。
熊本県の勝ち頭は不動裕理の50勝。さらに、平瀬真由美が19勝、上田桃子が16勝、有村智恵が14勝、古閑美保が12勝、高村亜紀が10勝と2ケタ勝利が6人もいる。
不動、平瀬、上田、古閑の4人は賞金女王経験者だ。恐ろしいほどの分厚い選手層である。
熊本県の人口は2020年の国勢調査時で174万人弱。47都道府県で23番目だから真ん中あたりだ。
東京都の人口は約1404万人だから、8分の1にすぎない。決して人口が多いとはいえない熊本県からこれだけ強い選手がたくさん生まれているのはなぜか。
大きな理由は熊本県ゴルフ協会主導で早くからジュニアが存分にゴルフできる環境を整えたことだ。同協会が設立されたのは1979年。設立時から長く会長を務めた深浦弘がジュニア育成を強力に推し進めた。
この協会の方針をベースに優秀な指導者たちがジュニアを育てていったことで「ゴルフ王国」が築かれていったのだ。
多くのジュニアを育てた坂田塾も熊本県発祥。さらに、自身も女子ツアーで8勝を挙げた熊本県出身の清元登子は地元で不動らを指導していた。
熊本県勢は昨シーズンも上田桃子、笠りつ子、大里桃子が勝利。今なお存在感を示している。
九州勢の強さが目立つが未だに勝利ゼロも10県存在
2位タイのうち埼玉県は樋口久子が1人で69勝を稼いでいる。2008年を最後に優勝者が出ていないのは少し寂しい。

同じく2位の愛知県は優勝経験者数なら17人で東京都と並んで最多である。ちなみに熊本県の優勝経験者は12人だ。
4位の宮崎県は大迫たつ子、大山志保と賞金女王を2人輩出している。日本選手の賞金女王経験者は18人いるが、うち8人が九州出身。既出の熊本県4人、宮崎県の2人に福岡県の高村博美、鹿児島県の横峯さくらという内訳である。
優勝数トップ10にも熊本、宮崎、鹿児島と九州が3県入っている。九州強しだ。トップ10には惜しくも入れなかったが宮里藍や諸見里しのぶらを擁する沖縄県が40勝で11位につけている。
昨シーズン最もホットだったのが5位の東京都だ。9勝を挙げた稲見萌寧は1999年の村口史子以来2人目の東京都出身賞金女王に輝いた。
国内2勝のほか全米女子オープンを制した笹生優花も公式プロフィールの出身地は東京都である。
華々しく活躍する女子プロが次々に誕生しているところもあれば、そうでないところがあるのも現実。まだ優勝者が出ていないところは存在する。
秋田、宮城、長野、石川、三重、奈良、和歌山、島根、高知、佐賀の10県である。
この10県出身者のうち今シーズンのシード選手が1人だけいる。メルセデス・ランキング47位で初シードをつかんだ宮城県出身の山路晶だ。昨シーズンは最終日最終組も経験し、3位という実績もある。今シーズンもチャンスをつくれるはず。宮城県勢悲願の初優勝成るか、注目される。