ゴルフの違反に対する罰には「1罰打」「2罰打」「失格」がある
「ゴルフ規則」は、以前に比べると体系(規則の構成)も表現も随分簡素化され、覚えやすくなりました。それでも競技経験のないビギナーには「規則」は難しく、覚えにくいもの。

なかでも「1打」「2打」、そして「失格」とある「罰(ペナルティー)の重さ」を熟知するのは大変で、よほど競技に精通した人でなければ正確には覚えられないでしょう。
競技を進めるうえで不可欠な「規則」、すなわち「違反になる行為や事象」は知っておくべきですが(なぜなら、スコアの向上につながるから)、各違反に対する「罰」は徐々に覚えれば良いこと。「違反」と疑われることがあれば、その都度、スコアカード提出前に確認すれば良いでしょう。そのためにも「ルールブック」はキャディーバッグに入れて携帯すべきです。
とはいえ、「罰の重さ(レベル)」を早く覚えるためにも、いくつかの種類に分けられる「違反」の基本的な違いは知っておいたほうが良いと思います。
前述のように、「罰」には「1打」「2打」「失格」の3段階がありますが、それぞれどのような種類の「違反」が該当するのでしょうか。
「1打の罰」は「利益が少ない場合」と「救済を受ける時」
いわゆる「1ペナ」ですが、これは「違反による潜在的な利益が少ない場合」と、規則17~19で規定される「罰ありの救済」にともなう罰打です。
前者は、その違反によるメリットはほとんどないと考えられる種類の違反です。例えば、以下のような場合です。
・グリーン上以外でボールに故意に触れたり、動かす原因になったとき(ボールを正しくリプレースすれば)。
・後でリプレースするボールを拾い上げる前に、マークをしなかったとき。
・リプレースすべきところでドロップしたとき(正しい位置にボールが止まっていれば)。
以上は、それぞれプレーヤーはルールに違反していますが、それによる利益、メリット(=スコアメイク上の得)はほとんどないと考えられます。
次に後者の「罰ありの救済」とは、ボールがそれぞれ、以下の場所に止まったり、その状態になったとき、「救済」の処置ができる代わりに課される「罰打」です。
・ペナルティーエリア
・OBやロスト
・アンプレヤブル
なお、OBには「2ペナ」との誤解がありますが、これは「OBのときは、打ち直し以降の打数に2打加える」といった便宜的な打数の数え方があるからです。しかし、規則上、「救済」に「2罰打」はありません。
「救済」は「無罰」、もしくは「1罰打」です。そして、「無罰」は「動かせる障害物」や「異常なコース状態(動かせない障害物も含む)」からの救済のケースです。
「2打の罰」は「1罰打で済まないほとんどのケース」
どのような違反が「2ペナ」になるのか、その規定は難しいのですが、ルールブックには「潜在的な利益が1罰打だけの適用で済む場合よりも大きいほとんどの規則の違反に対して適用する」と説明されています。
つまり、その違反をすることで、プレーヤーに利益が潜在的に生じると考えられる場合です。
例えば「誤所からのプレー」(2罰打)は、必ずしもプレーヤーのメリットになるとは限りませんが、「潜在的な利益」=「プレーヤーに得になったかも知れない」と考えられます。
また、「1打の罰」の例として「リプレースすべきところでドロップしたとき」を挙げましたが、逆に「ドロップすべきところでプレースしたとき(そのままストロークすれば)」は2打の罰です。これも、ドロップと比べるとプレースには「潜在的に利益が生じる」と認められるからです。
ゴルフには、前提として「プレーヤーの不利に解釈する」という基本姿勢があるのです。
「失格」は「過少申告など利益が大きすぎる場合」
ルールブックには「特定の行為や規則違反が重大な非行に関わる場合やスコア上、潜在的な利益が大きすぎる場合」との説明があります。
具体的には、「スコアの過少申告(認識して行われた場合)」「不適合クラブや非適合球の使用」「ティーイングエリア外からプレー(訂正しなかった場合)」「重大な違反と判断される誤所からのプレー(訂正しなかった場合)」などです。
しかし、この違反は、あえて不正を働いても意味のないレジャーゴルファーには「無縁」なのではないでしょうか。
以上、「罰の重さ」を「違反」の基本的な違いから分けてみました。「1罰打」「2罰打」「失格」を分ける基本的な考え方を知っておけば、単純に丸暗記するよりもルールを覚える上で助けになるのではないかと思います。