グリップに“テカリ”が出てきたら交換のサイン
コロナ禍以降、ゴルフ業界ではグリップの供給不足が続いています。ショップや工房の品揃えが、コロナ禍前に比べて寂しくなり、最近は価格が全体的に高騰しているとも聞きます。

そうなると、少しでもグリップを長持ちさせたくなります。そもそもグリップはどのくらいもつもので、長持ちさせるために何か裏ワザはあるのでしょうか?
今回はグリップに詳しい人気クラフトマンの関浩太郎氏に話を聞きました。
まず、基本的にグリップはどのくらいで交換する必要があるのでしょうか?
「一般的なゴム系のグリップは未使用の状態でも経年劣化の問題で最大2年しかもちません。その上で週に1、2回練習をして月に2、3回ラウンドするようなゴルファーの場合だと2、3カ月でグリップ交換が必要になります」
交換するタイミングはどのように見極めれば良いのでしょうか?
「グリップに“テカリ”が出てきたら、それは手の脂(あぶら)や汗が染み込んでしまってヌルヌルになってしまった状態なので、交換したほうが良いでしょう。また練習量が多い人はグリップがどんどん減ってきて、少しへこんできたりもします。それはもうグリップ性能が発揮できない状態なので、すぐに交換しないといけません」
交換時期を超えたグリップを使っていると、どうなってしまうのでしょうか?
「新品のグリップはフィット感があって気持ちよく手に馴染んでくれる感覚があると思いますが、交換時期を超えたグリップはフィット感を失っているので、どんどんグリップを強く握ろうとしてしまいます。その結果、手打ちの癖がついてしまうゴルファーも多いのです」
月に1度は台所用洗剤で洗って汗や油を取る
では、グリップを長持ちさせるためにはどうすれば良いのでしょうか?
「1つは素材選びです。ゴム系のグリップは未使用でも最大2年ですが、樹脂系のグリップであれば未使用で3年から4年の寿命があります。また、樹脂系グリップのほうが硬さがあるので耐久性もあります。同じペースでラウンドや練習をしていても、ゴム系のグリップよりは長く使えると思います」
ゴム系より長持ちする樹脂系グリップの主なメーカーには、IOMIC、NO1グリップ、エリートグリップ、STMグリップ、CADEROなどがあります
さらに日々のメンテナンスによってテカリを抑えることも可能になるそうです。
「テカリの原因となるのが手の脂と汗です。ラウンド後や練習後はこまめにスポンジやタオルで水洗いすることが大切です。また、1カ月に1回は台所用洗剤を使ってタワシでゴシゴシ洗うとヌルヌルになったグリップがサラサラに戻ります。洗うとき気をつけてほしいのは、グリップエンドに水がかからないようにすることです。グリップエンドにはグリップ交換用の小さい穴が空いているので、注意しないとそこから水や洗剤がグリップやシャフトの内部に入ってきてしまいます」
そうやってしっかりメンテナンスをすると、グリップはどのくらい持つのでしょうか?
「使用頻度にもよりますが、ゴム系のグリップを使っていてまったくメンテナンスをしない人が2カ月でダメにするとすれば、樹脂系のグリップにして日々のメンテナンスと月1回の洗剤洗いをすればプラス1、2カ月は長持ちすると思います」
実際のアマチュアゴルファーは3カ月はもちろん半年から1年、中には「アイアンを購入した3年前から一度もグリップを交換していない」という人もいます。そんな人はグリップ交換をするのがベストですが、時間がない場合は台所用洗剤とタワシで洗うだけでもヌルヌル感を少しは解消できるでしょう。
最後に関氏はグリップが減りやすい原因はスイングにあると教えてくれました。
「ほとんどのアマチュアゴルファーはグリップに力が入りすぎています。だから、すぐにグリップの表面がへこんだり、溝にキズが入ったりしてしまうのです。ちなみに、私もよくお客さんのグリップ交換をしていますが、上級者やプロはグリップの左手部分から擦り減っていますが、アベレージゴルファーは右手部分から削れていきます。つまり、右手に力が入りすぎている人が圧倒的に多いのです。だから、まずは右手の力を抜くことだけでもグリップを長持ちさせることにつながるでしょう」
グリップが減りにくいプレッシャーで握ることが、スイングの改善にも役立つようです。