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コラム

実は「プロV1x」が女性に合うって本当!? パワーがなくてもスピン系ボールを使うべき?

2022.05.29 ゴルフのニュース編集部
ゴルフギア ゴルフボール タイトリスト

ボールには大きく分けてスピン系とディスタンス系があります。多くのゴルファーは、パワーがあるからスピン系、ないからディスタンス系、という選び方をしていると思いますが、果たして正しいのでしょうか?

ドライバーが最もボールの性能差が出にくい

「自分の技術やヘッドスピードでは、ボールなんて何使っても一緒だよ」あるいは「飛距離が出ないからディスタンス系1択だよ」そんな風に考えているゴルファーは多いかもしれません。でも、その考え、スピン系とディスタンス系のボールをしっかり打ち比べた上で至ったものでしょうか?

女性編集部員も「プロV1x」が最適なボールという結果に

「そう聞かれると自信がないな」という人も多いかもしれません。果たしてパワーがなかったり、まだ技術レベルが低いゴルファーがスピン系ボール、いわゆるツアーボールを使ってスコアアップにつながるものなのか? 世界のツアー使用率、市場シェアともにトップを走り続けるタイトリスト(アクシネット)に、ゴルファーの間で長く論争が続く疑問をぶつけてみました。

 答えてくれたのはアクシネット社でツアープロへのフィッティングも担当するタイトリスト ゴルフボールフィッティングスペシャリストの向井伸吾氏。「向井さん、、筆者のような100を切れないゴルファーがツアーボールを使って意味があるんでしょうか?」と問うと、向井氏から開口一番、思いがけない箇所を突っ込まれてしまいました。

「まず、弊社では『ツアーボール』という言い方はしません。『プレミアムパフォーマンスボール』と呼びます。なぜなら、『ツアーボール』という言い方だと、あたかもプロや上級者だけのものという印象を与えてしまうからです。『プレミアムパフォーマンスボール』は技術やパワーのある一握りのゴルファーのためのものではなく、すべてのゴルファーにとって最も高いパフォーマンスを発揮するボールなんです」

 とは言っても、シニアや女性など、ヘッドスピードが最も低い層にはさすがに向かないのでは?

「そこが一番大きな勘違いです。弊社のボールでどれが一番合うかフィッティングを行うと、女性の7~8割が『プロV1x』が最も合うという結果が出るんです」

「プロV1x」というと、タイトリストのツアーボール、もとい「プレミアムパフォーマンスボール」の中でも最もコンプレッション(ボールの硬さの目安)が硬く、ヘッドスピードがないとコアをつぶせなくて飛ばないイメージしか湧きません。いったいどうして?

「きっとそのイメージは、ドライバーのヘッドスピードだけでボールを選ぶ習慣がしみついているから生まれたのかもしれません。これは弊社のPRも足りないのかもしれませんが、ショップの方やプロでもドライバーのヘッドスピードだけを聞いてアマチュアの方に勧めるボールを決めているのが現実です」

 でも……と、向井さんは続けます。

「ゴルフボールは、すべてのショットで使用する唯一のギア(道具)です。ロングゲームからフルアプローチ(セカンドショット)、ショートゲームまで、あらゆるショットの中で実際はドライバーにおけるボールの性能差が最も小さいんです。グリーンに近づくショットになるほど、ボールの性能差は顕著になります。また、どのレベルのゴルファーでもラウンドの中でドライバーを使用する機会は、多くても14回程度。フルアプローチやショートゲームでのショット数が圧倒的に多くなります。スコアに直結するのはアイアンショットやショートゲームですから、ドライバーのヘッドスピードだけでボールを決めるということは、スコアアップを目指すという目的においては、間違ったアプローチだと考えます」

 つまり、飛距離が多少劣ったとしても、それを補って余りあるメリットがスピン系ボールにはある、ということでしょう。

ショートゲームではスピン量が倍以上違うことも

“論より証拠”ということで、後日、ツアープロと同様のボールフィッティングをコースで受けさせてもらったのですが、スコアリングを重視するタイトリストの考え方を反映してか、最初は50ヤードのアプローチから始まりました。やはり何球かずつ同じ地点から打たせてもらうと、スピン系とディスタンス系の違いが如実に出ます(この時点ではブラインドテストのため銘柄までは分からず)。

 キャリーで直接ヒットしたボールがグリーンにとどまる確率がディスタンス系と思しきボールは著しく低いのです。対してスピン系と思しきものは、乗る確率が高いだけでなく、さほどフェースに乗った感じがしなくても止まってくれるケースもありました。

 さらに驚いたのがスピン量の数値。スピン系のボールが6000回転前後だったのに対し、ディスタンス系のボールは3000回転に満たない数値です。まさか倍以上も違うとは……。

 フィッティングは女性編集部員も受けたのですが、スピンの絶対量こそ男性とは違うものの、スピン系とディスタンス系の相対的な差は同じようなもの。この時点で男女ともにエースボール候補からディスタンス系は脱落、ということになってしまいました。

 その後、7番アイアン、ドライバーとフィッティングは進むのですが、アイアンでのスピン量や落下角度が最適なボールを「プロV1」「プロV1x」「AVX」の中から候補として見極め、その選択肢の中から最終的にドライバーで最も飛ぶボールを最終決定する、という流れになります。データや弾道から性能的に最も適したボールに加えて、打感、プレースタイルなど好みも考慮したボールも選択肢となります。

 筆者の場合は「プロV1」と「プロV1x」のどちらでも良いということで、フィーリングで「プロV1」に決めました。しかし、女性編集は明確に「プロV1x」が最も良い数値が出たのです。

 正直、眉に唾して聞いていた冒頭の向井さんの言葉を裏付ける結果になったわけですが、なぜなのでしょう? 向井さんはこう種明かしします。

「弊社のボールで『プロV1』が最もスピン量が多いと思われている方が多いのですが、実際は『プロV1x』が最も多いんです。そのため、女性ゴルファーなどに多いアイアンショットやショートゲームなどでスピン量が適正値より少ない方や、弾道が上がりにくい方には『プロV1x』が最適、という結果が出やすいんです」

ビギナーほどスピン系への移行を考えるべき

 ましてや最近はウッドはもちろんアイアンも飛距離重視で低スピンのものが増えています。そうなると、低スピンのクラブに低スピンのボールを掛け合わせることになり、スピンが少なすぎる球が打ち出されることになります。十分な揚力が生まれないので球が上がりづらく、グリーンに落ちてからもバックスピンがほどけているので止まりにくくなります。

 アマチュアの多くがグリーンで止まる球が打てないのはある意味当然と言えるのです。そして、必ずしも腕前のせいではなく、ボールをスピン系に替えることで、補える可能性が高いということ。やはり、どんなヘッドスピード、技術レベルの人でもスピン系ボールを使うべきという結論?

「現在スピン系にカテゴライズされるボールは、ドライバーからアイアン、ショートゲームまですべてのショットで最適なスピン量をもたらす“トータルパフォーマンス”が高いボールと言えます。もっとうまくなりたい、スコアを良くしたいと思うなら、ぜひトータルパフォーマンスが高いボールを使用してください」

 ただし、向井さんはこうも付け加えました。

「弊社でも販売している通り、必ずしもディスタンス系を否定するものではありません。例えば普段からディスタンス系ボールを使用し、その性能を前提としたゴルフの組み立てになっている方はそのまま使い続けていただいて良いと思います。そうした方はグリーンを狙うショットでもエッジまでキャリーさせてそこからランで乗せていったり、転がし寄せるアプローチで距離感を合わせていらっしゃいますから」 

 なるほど、自分のゴルフが固まっている人はディスタンス系で良いということですが、逆に言えば、まだ固まっていないビギナーほど、ある程度確実に球をとらえられるようになった時点でスピン系に移行すべきと考えることもできるわけです。

「多くの種類のボールが販売されていますが、その性能の違いは、クラブ以上に大きいです。ボールを選ぶ上で最も大切なことは、ラウンド時に同じボールを使用し続けていただくことです。それによりボールの性能の違いによる影響を防ぐことができます。これがプレーの安定性を高めるため、かつスコアメイクにとって重要なことだと考えます」(向井さん)

「まだ早い」「飛ばないから合わない」などと決めつけず、ボールの重要性をいま一度考えてみてはいかがでしょうか。

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