朝の練習と同じタッチのつもりが大ショート!? 練習グリーンと本グリーンの速さは同じ? 違う? | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

朝の練習と同じタッチのつもりが大ショート!? 練習グリーンと本グリーンの速さは同じ? 違う?

練習グリーンは自分のパッティングのタッチを確認するだけでなく、その日のグリーンの速さを把握する場所でもあります。しかし、練習グリーンでスピードをインプットしたつもりで打ったのにスタートホールのグリーンでまったくタッチが合わなかったなんていう話はよく聞きます。練習グリーンと本グリーン、速さは同じなのか違うのか、グリーンキーパーに聞きました。

多くのゴルファーが何往復もする練習グリーンは“踏圧”で速くなる

 練習グリーンでボールを転がしたらグリーンが速いと感じた。でも、その感覚で1番ホールのファーストパットを打ったら大きくショートしてしまった。反対に、練習グリーンが重く感じて本グリーンでしっかり打ったら大きくオーバーしてしまった。

 皆さんは、そういう経験をしたことはありますか? このように練習グリーンと本グリーンの速さが違うとプレーヤーは混乱します。なにより“練習”にならないですよね。

コース管理のスタッフはなるべく同じスピードになるように仕上げてはいるものの、いろいろな条件が絡んで違ってしまうのが実情のようです(写真はイメージです) 写真:AC
コース管理のスタッフはなるべく同じスピードになるように仕上げてはいるものの、いろいろな条件が絡んで違ってしまうのが実情のようです(写真はイメージです) 写真:AC

 ゴルフ場がわざわざ練習グリーンと本グリーンの速さを変えるように設定をするとは考えにくいですから、練習グリーンと本グリーンの速さが違うと感じるのは気のせいなのでしょうか。それとも、何か理由があってどちらかのグリーンの速さが変わってしまうことがあるのでしょうか。ゴルフ場によってそれぞれ事情や方針があるのでしょうか。

 練習グリーンと本グリーンの違いについて話を聞かせてくれたのは、茨城県のJGMセベバレステロスGCです。同ゴルフ場は、全国に11コースを展開する(株)ジャパンゴルフマネージメントのグループコース。グリーンをはじめとするコースの戦略性、また都内からのアクセスの良さでも、多くのゴルファーから人気を集めています。

 さっそく戸島義貴グリーンキーパーに聞きました。戸島さんは12人の部下を従え、毎朝4時半から業務にあたっているコース管理のプロです。

「練習グリーンと本グリーンとは、日々の設定はもちろん、メンテナンスの仕方も同じように行っています。とはいえ、時間や天候やそのほかの要因によって、せっかく同じように仕上がったとしてもそれを保ちにくいのは事実です。それに対してジレンマもあります」

「同じ仕上がりを保てない原因のひとつは“踏圧”です。練習グリーンでは、朝早くからほとんどのプレーヤーが10分、15分とボールを転がします。本グリーンに比べて多くの人が長時間グリーン上を行き来することによって、“踏圧”がかかるのです。芝は踏まれて倒れ、地面は踏まれて固まり、その結果どうしても練習グリーンが速くなってしまうのです。当コースの練習グリーンは細長い2段グリーン構造で、その先にスターティングホールがあるため、上のほうの段はプレーヤーの通り道になります。より多くの“踏圧”がかかるため、特に速くなる傾向があります」

 練習グリーンが速かったから、そのつもりで1番ホールの10メートル近くあるファーストパットを「オーバーしないように」打ったところ、2メートルも3メートルもショートしてしまう……。

 出だしのホールでパットを大ショートするのは、“踏圧”のかかった練習グリーンでタッチを合わせたからかもしれません。それならほとんどの本グリーンは、練習グリーンより遅いと考えられます。それを踏まえてしっかり強めに打てば大きなミスは防げるように思います。

 ところが、そうとも言い切れないようです。時間の経過とともに太陽の光を浴びて芝が伸びてくるからです。

「当コースのグリーンの刈高は、4.0~4.5ミリが普通です。ベントは夏に弱いため今の時期は短くできませんが、春や秋のトップシーズンには3.8ミリくらいまで落とします。いずれにしても、朝トップスタートの組と最後に出ていく組とでは、本グリーンの芝の長さはおよそ0.2ミリから0.3ミリ変わってきます。4.5ミリの刈高なら最終組がプレーする頃には4.7から4.8ミリに、3.8ミリの刈高でも4.0から4.1ミリになるのです。『ならば本グリーンはますます遅くなるだろう』と思いますよね。確かに、一般的には遅くなるのですが、芝が伸びて立ってくるぶん踏まれて倒れやすくもなり、かえって速くなる場合があるのです。そこへもってきて風が吹いたりすれば、乾燥してさらに速くなりますよ」

 ジュニアの頃から20代までトップレベルで競技ゴルフに打ち込んだ戸島さんならではの、プレーヤー目線に立った細かい分析です。

練習グリーンと最終ホールでは芝を刈り始める時刻が3時間違う

 練習グリーンと本グリーンの設定は基本的に同じ。したがって朝一番は両者のグリーンスピードは同じです。とはいえ、18ホールすべてのグリーンを刈るのには時間がかかります。JGMセベバレステロスGCでは、練習グリーンから芝を刈り始め、最後のホールを終えるまで3時間かかるといいます。

 練習グリーンと最後に刈られたグリーンとでははじめからそれだけの時間差が生じます。それに踏圧、さらに時間の経過、天候などの要因が加わり、グリーンによってスピードが違ってしまうのは仕方がない現象といえます。

 では、プレーヤーとしてどうすべきか対策を考えると、

・練習グリーンは踏圧によって設定より速くなりがち。その感覚で1番の本グリーンを打つとショートしやすいので要注意

・本グリーンは、スタート時間や時間の経過とともに芝が伸び、一般的に練習グリーンより遅くなりがちなのでしっかり打つ

・ただし、時間が経って芝が伸びても、踏まれたり風が吹いたりしてかえって速くなることもあるのでオーバーしないようする

 グリーンや芝の奥深さを知り尽くすことはできないとしても、スタートから3番グリーンまでは油断しないよう慎重にタッチを合わせることが大事ですね。

 また、練習グリーンは比較的平らですし、あくまで練習ですからストレスなく打てると思います。本コースでも同じように緊張せずにストロークできれば、少々の速さの違いは気にならないのではないでしょうか。

【写真】コース管理のプロが教える正しいボールマークの直し方/目土の仕方

画像ギャラリー

グリーンフォークを刺した後の動作が間違っている人が多い
まずボールの進行方向側からグリーンフォークを入れて戻す
2~3センチあけて戻すを繰り返し、ぐるりと円状に
2~3センチあけて戻すを繰り返し、ぐるりと円状に
2~3センチあけて戻すを繰り返し、ぐるりと円状に
2~3センチあけて戻すを繰り返し、ぐるりと円状に
2~3センチあけて戻すを繰り返し、ぐるりと円状に
この時点でかなり戻っている
窪みが大きい場合は円を広げて、またぐるりと戻す
窪みが大きい場合は円を広げて、またぐるりと戻す
窪みが大きい場合は円を広げて、またぐるりと戻す
窪みが大きい場合は円を広げて、またぐるりと戻す
最後にパターで軽くトントンとならす。手で軽く押さえても良い
まず斜めにグリーンフォークを入れたら…
フォークのお尻を上げるようにして芝を寄せる
先端を上げるような使い方は芝の根を切るのでNG
上が一般的なグリーンフォーク、下が戸島キーパーの使う業務用のグリーンフォーク
JGMセベバレステロスGCの戸島義貴グリーンキーパーいわく、ほとんどの人は砂の量が少なすぎる
自分がつくったディボット跡にボールが入ったら後続組に申し訳ない
スコップにこんもりと盛った砂を…
ディボット跡にバサッと落として…
芝と同じ高さになるように足の裏で広げる
踏み固めずに平らにならす要領で
目土をした端のところから芝が顔を出しているような仕上がりを目指そう
バラバラになったターフは戻さなくてOK
JGMセベバレステロスGC グリーンキーパーの戸島義貴さん
取材に協力してもらったJGMセベバレステロスGC
取材に協力してもらったJGMセベバレステロスGC
取材に協力してもらったJGMセベバレステロスGC
レーキをかける場合は柄をなるべく平行にしてならす 写真:Getty Images
レーキはバンカーの外に置くのが最も一般的 写真:AC
バンカーの内側にフチと平行に置くパターン 写真:AC
レーキのヘッドをバンカー内に入れ、柄の部分をフチと垂直に置くパターン 写真:AC
コース管理のスタッフはなるべく同じスピードになるように仕上げてはいるものの、いろいろな条件が絡んで違ってしまうのが実情のようです(写真はイメージです) 写真:AC
左手でスティックを持ち先端をみぞおちに当て、右手でウェッジを持つ
バックスイングで上体を回していればスティックの先端は右を指す
上体が回っていれば、フォローでもスティックが先行する
上体が回っていれば、フォローでもスティックが先行する
スティックよりもウェッジが先行する人は体が止まっている証拠
小さなバックスイングでも胸を右に向ける意識を必ず持つ
逆に、フォローではしっかりと胸を左に向けていく意識を持つ
インパクトではスティックがウェッジよりも先行している形が正しい

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