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- バブル時代の遺産!? ゴルフ場のクラブハウスにある「運転手控室」ってどんなところ?
ゴルフ場には「運転手控室」と呼ばれる部屋を見かけますが、どのような場所で何ができるのでしょうか。
運転手がくつろげる設備が整った部屋
ゴルフ場のクラブハウスには、ゴルファーがラウンドの前後に使用するロッカールームやレストラン、進行管理などを対応する「マスター室」などさまざまな部屋があります。

また「運転手控室」と書かれた部屋も、一部のクラブハウスに存在しますが、どのように使われるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。
「日本では、バブルの時代にゴルフ場が一気に建設され、その多くが『接待ゴルフ』に対応した構造となりました。会社ぐるみで会員権を購入し、社長や役員など立場の高い人が運転手付きの車でゴルフ場にやってきます。『運転手控室』は、プレーが終了するまでの間、運転手が休めるように作られたものです」
「昭和の終わりから平成初期にかけての時期では、接待ゴルフが当たり前のように行われており、ゴルフ場側も企業を対象とした高級会員権を多数販売していました。しかし、バブル崩壊後は接待ゴルフも急激に減少してきたので、現役で運転手控室を使用しているところは少数派になりつつあります。使用しなくなったゴルフ場は、従業員の休憩スペースや物置などに転用していると思います」
では、運転手控室の中はどのようになっているのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「ゴルフはラウンドに出てから帰ってくるまではかなりの時間を要するため、運転手がくつろげるように一通りの設備が整えられています。例えば仮眠室やシャワー室、もちろんトイレもつけられています。ほかには『運転手食堂』と呼ばれる専用の食事スペースもあります」
「運転手は、乗せている人間から見れば目下の立場になるので、主従の関係もあって通常の食堂は使用してはいけない『暗黙の決まり』がありました。なので、プレーヤーとは食堂も別々にしてすみ分けを図っていたのです」
近年は、運転手控室を閉鎖したゴルフ場も増えているといわれていますが、いまだにハイヤーなどでゴルフ場に訪れる人は多いようです。
運転手はもしもの時にすぐに駆け付けられるように待機
ゴルフは1ラウンド4時間30分に加え、前後の着替えや昼食も含めると最低でも6時間近くかかります。運転手はその間に何をしているのでしょうか。

一般的に、役員運転手を雇う会社ではゴルフ場での待機時間も原則「勤務時間」としてカウントします。緊急事態が発生した際にはすぐ駆けつけられるように、特別な事情などがない限り、無断でゴルフ場から離れてはいけないと指導されています。
ラウンド中は、昼休みをストレスフリーで過ごしてもらうために前もって食事の注文や、帰りに備えて車の清掃・点検、経路の混雑情報も把握しておくことが運転手の望ましい待ち方と言われています。そのためゴルフ場に到着したからと言ってすぐに休めるわけではなく、スムーズに帰宅できるように最適な方法を考える必要があります。
運転手控室は、日本経済が最高潮に達し、社員たちが必死になって「お偉いさん」をおだて上げていた時代の名残で、今ではほとんど見られない社会的背景に沿って生まれました。好景気も10年弱で終焉を迎え、会社全体で優雅にゴルフができたのもほんの一瞬だったのです。運転手控室も、激動の時代に翻弄されたものの一つだといえるでしょう。
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