「オープン」はアマチュア選手も出場できる大会
スポーツの大会名には、スポンサーとなっている企業やブランド名が先頭につき、優勝杯を巡る戦いを指す「カップ」やシンプルに「選手権大会」と付いているものがありますが、ゴルフの場合「オープン」や「クラシック」と呼ばれている試合もよく見かけます。

普段、選手のプレーを中心に見るためあまり気にする機会はありませんが、いざ考えてみるとどのような目的で付けられ、また区別しているのかと思う人は多いかもしれません。
では「オープン」や「クラシック」に込められた意味は一体何なのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。
「ゴルフの試合には、大きく分けて2種類の参加資格があり、プロしか出られない大会と、予選会の突破や推薦を受けたアマチュアも出場が可能な『オープン』とつけられた大会があります。これは、プロに限らず全てのゴルファーに門戸が開かれていることを示しています」
「一方で『クラシック』は、一般的には『クラシック音楽』などに代表されるように、古典的や伝統的という使い方をしますが『一流の・最高水準の』という意味もあり、ゴルファーの中でも特にランクやレベルの高い人たちが集まる大会に名付けられるのが本来の意味です」
「しかし、最近のトーナメントはスポンサーとなる企業が自由に考えてつけている場合が多いので、歴史が比較的浅い大会でも『クラシック』が冠されていることもあります」
他の呼称を挙げると「トーナメント」「選手権」「カップ」などがあります。「カップ」は国内男女ともに、ツアーが定める公式戦(国内メジャー競技)に付いているケースが多くなっています。権威ある大きなタイトルにスポンサーの名前を入れる際、メインの大会名の後に企業名を持ってきて「(企業名)カップ」とすることが慣例化しているようです。
全英オープンには全英という表現がない
ほかにも、海外で実施されるトーナメントには独特の理由でつけられたものもいくつか存在します。例えば、スコットランドのセントアンドリュースなどで行われるメジャー大会と言えば、日本語では「全英オープン」と訳されますが、「The Open Championship」が正式名称であり、ゴルフはおろか「全英」のような表現もありません。

これは、第1回大会が開催された当時に別のトーナメントがまだ無かったためで、各地でさまざまな大会が開催される現在でも「最も歴史の長いゴルフトーナメント」を象徴するために、あえて名称変更はせずにそのままの状態で残しています。
さらに、アメリカのオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブで実施される「マスターズ」の場合、大会側が招待した世界最高峰のプレーヤー、つまりゴルフ界のマスターだけが参加を許されることから、このように呼ばれています。
最初の5年間は「Augusta National Invitation Tournament」と今とは異なる名称で開催していましたが、第6回から現在の名前が使われ始めました。
日本のトーナメントでは、参加基準を除けば名称に関する規定がないので「カップ」であろうと「クラシック」であろうと、あまり深い意味合いは兼ね備えていないといえます。しかし、長い歴史を誇るメジャートーナメントには、その名称にまつわる興味深い背景があるようです。