“伸ばす”ではなく“温める”ことが重要
ゴルフ練習場でもほかの運動を始めるときと同じように、ケガを防止するために準備運動は入念に行うべきだと言われています。

なかには「練習前にこれをやっておくと最後まで調子がいい」などのようなルーティンを持っている人もいるかもしれません。
実際にゴルフを教える立場から見て、練習前にやっておくと効果的なルーティンやウオーミングアップの方法はあるのでしょうか。レッスンプロの関浩太郎氏は以下のように話します。
「打席に着いたら、いきなりフルスイングしてボールを打っている人も一部見かけますが、ゴルフは数あるスポーツの中でも最もボールを遠くへ飛ばせるスポーツです。必要なパワーや体にかかる負担も非常に大きいので、練習前のウオーミングアップは必須です」
「以前は、アキレス腱などを伸ばすストレッチが良いと言われてきましたが、近年の研究では腱が伸び切ってしまうとバネの機能が失われて、むしろパフォーマンスが低下してしまうという結果もあります。そのため、段々と練習前のストレッチはあまりよくないのではないかと考えられるようになりました」
「なので、素振りやランニングなどで、体を『温める』ことが重要だと思います。体の中でも特に運動中に負荷がかかりやすいのが首、ヒジ、手首、腰そして股関節の周辺です。ぐりぐりと回すように動かして汗がじんわりと出てくるまで、ボールを打つのを我慢して温めた方が良いでしょう」
また、自宅を出る前に熱めのシャワーを浴びたり湯船につかったりするだけでも、十分に効果が得られるそうです。
重りが付いた素振り用クラブがあると便利
さらに、ウオーミングアップ以外にも練習前にしておいた方がいい「ルーティン」があると関氏は話します。

「クラブを持たないで『左手だけ』『右手だけ』そして『両手』と3段階で素振りをするのも良いと思います。また、ゴルフ用品店などで重りの付いた素振り用クラブが売っているので、キャディーバッグの中に1本入れておいても便利でしょう」
「普通のクラブでは50回くらい振らないと温まらないのに対して、素振り用クラブでは10回ほど振れば汗ばんできます。普通のクラブしか持っていない場合でも2本束ねてスイングすると同様の効果が期待できるはずです」
まずは、素振り用クラブなどで体を慣らしてからウェッジなどの小さい番手で打ち始め、徐々にアイアンやウッド系へと番手を上げ最後にドライバーを打つようにしましょう。
「とりあえず体を動かしておけばいいんでしょ?」と軽い気持ちで準備運動をしている人もいるかもしれませんが、ケガを防いで効果的な練習をしたいのであれば最初の行動が一番肝心だといえます。