正直ないほうがありがたいんだけど…なぜ日本のゴルフ場にはだいたい「池」や「林」があるの? | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

正直ないほうがありがたいんだけど…なぜ日本のゴルフ場にはだいたい「池」や「林」があるの?

ゴルフ場にある池や林は、ゴルファーを苦しめることも多々あります。ボールをいくつ献上したか分からないという人も多いのでは? そもそも、これらは何のために設けられているのでしょうか。

池と林に共通するのは「景観」「戦略」そして「安全」のため

 ゴルフ場では、主にグリーンの周辺などに池が設置されていることがよくあります。緑が広がるコースのワンポイントとして池があることで、ゴルフ場の美しさをより際立たせているようにも見えます。

池も林も大嫌いという人は少なくないかもしれませんが、なくてはならないものなのです 写真:AC
池も林も大嫌いという人は少なくないかもしれませんが、なくてはならないものなのです 写真:AC

 しかし、プレーを進めていく中で特に「厄介なもの」と捉えられがちなのも事実であり、ビギナーはもちろん上級者であっても悩まされることは珍しくなく、「池ポチャ」をして悔しい思いをするのはゴルファーの常です。

 では、なぜゴルフ場には池が設置されているのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「1つ目の理由は戦略性を高めるためであり、池があることによって『どのクラブを選択すべきか』や『右と左のどちらから攻めたほうが安全か』といった攻略方法をゴルファーに考えさせ、コースマネジメントを豊かにする効果が見込まれます。ほかにも、例えばグリーンの周りを囲むように池を配置することによって、ショットをより難しくする機能を持たせています。2つ目は景観を良くすること。緑の芝生に対して水辺の空間をアクセントで付け加え、ゴルフ場を一層美しくさせています」

「さらに、ゴルフ場の池には災害に備えての『調整池』としての役割があります。なかでも山間部のコースの場合、もともと林や森だった場所を切り開いて造成されていますが、樹木を大規模に伐採すると地面の保水力が衰えてしまいます。そうすると、万が一大雨が発生した際に地中にしみ込まれなかった雨水がすべて河川に集中し、増水したり氾濫したりして最悪下流の地域に甚大な被害を及ぼす恐れが考えられます。そのため、コース内に水の勢いを弱らせて一時的に貯めておける『ダム』のような設備が必要となることから、池にはその機能が兼ね備えられているものが多いです」

 1973年頃から行政による大雨災害への対策が強化されるようになり、ゴルフ場には洪水や土砂崩れを防止する観点から調整池、または調整池と戦略上のトラップや景観保全を両立させた池の造営が義務付けられました。

 しかし、ゴルフ場によってはコース内に池がまったく設けられていないところも数は少ないながら見受けられます。そのような場合は、プレーには関係ない敷地のはずれに専用の遊水池を造っていたり、そもそも近隣に河川が流れておらず池がなくても支障がなかったりすることが挙げられます。

 また、ゴルフ場の特徴の1つとして両脇に木々が生い茂っているのもよく見かけます。きれいに一列に並んで立っている様子は壮観ですが、一度その中にボールが入ってしまったら戻すのが難しいこともしばしばあります。

 ホールによっては、フェアウェイのど真ん中で行く手を阻むかのように立っている木もあり「あの木がなければ簡単にグリーンを狙えるのに」と思った経験のある人も多いかもしれません。

林は隣のホールへの打ち込み防止のフェンスの役割を果たしている

 池と同じく、プレーを進めるうえでの大きな障壁になりがちですが、木はどのような目的で存在するのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。

「木が置かれている理由は、戦略性を高めるのと景観をよくするという意味では池と同じ役割を持っています。例えば、進路を邪魔するような配置によってプレーヤーに考えることを要求したり、スギやヒノキ、ケヤキなど多種多様な樹木を植えることで季節に応じてさまざまな景色を楽しむことができ、何回来ても飽きさせないような工夫が凝らされています」

「また、各ホールの間を木でセパレートすることで、打ったボールが万が一大きく曲がっても木々がフェンスのような役割をして、隣のホールへの打ち込みや打球事故になるのを防ぐというのが3つ目の働きです」

 つまり、ゴルフを単調なものにしないようにするだけでなく、四季折々でコースの風景に変化を与え、さらにはトラブルや大きなケガにもつながりかねない打ち込みからゴルファーの身を守ってくれるのが林ということになります。

 厄介な池や林もゴルフ場にはなくてはならない存在だといえます。

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池も林も大嫌いという人は少なくないかもしれませんが、なくてはならないものなのです 写真:AC

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