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- かつて主流だった木製ドライバー「パーシモン」ってどんなクラブ!? あえて所有する理由はあるの?
現在、ドライバーやフェアウェイウッドといったウッド系クラブは、金属やカーボン(炭素繊維)で作られています。しかし、30年ほど前までは、主に「木」を使って作られており、使用された木の名前から「パーシモン」と呼ばれました。このパーシモンとはどんなクラブだったのでしょう。
クラブとしての難易度は高く、手入れにも手間がかかる
ゴルフでは、ドライバーやスプーン、クリークといった飛距離に特化したクラブを「ウッド」と呼びます。現在、流通しているクラブヘッドのほとんどが金属やカーボンで作られているなか、なぜ「木」を意味する名称になったのでしょう。
ゴルフの歴史を見ていくと「ウッド」という名前の通り、実際にクラブヘッドが木で作られていた時代がありました。その期間はむしろ、金属などよりもはるかに長くなっています。
そういった木製クラブは「パーシモン」と呼ばれ、古典的なクラブの一種として知られていますが、一体どのようなものだったのでしょうか。クラフトマン兼レッスンプロの関浩太郎氏は以下のように話します。
「パーシモンとは『柿の木』を意味し、当時は硬くて、比較的耐久性に優れた素材としてクラブヘッドに使用されました。今となっては金属製のドライバーが当たり前のように使われていますが、私がゴルフを始めた中学生の頃、およそ35年前は、世界中のほとんど全てのウッド系クラブはパーシモンでした」
「ちょうど日本で、昭和から平成へ時代が移り変わるタイミングで、テーラーメイドがステンレス製のドライバーを発表し、それをきっかけに他メーカーもいわゆる『メタルドライバー』の開発をスタートし、急ピッチで世に広まっていきました」
「それからわずか5年ほどでメタルドライバーのシェアが一気に増え、パーシモンは製造されることがなくなり、使用するゴルファーもどんどん減っていきました。パーシモンのヘッドは木製ゆえに中身が詰まった構造になっていましたが、金属は内部を空洞にすることができたので、飛距離性能など、性能が飛躍的に高まったのです。プロの世界でも一瞬でメタルドライバーが主流になったほどです」
「実は一時(いっとき)、高校野球で金属バット、プロ野球で木製バットを使用しているのと同じで、プロの試合では木製ヘッドに戻すべきという議論があったようです。この議論は、クラブメーカーが契約選手を通して新しいクラブをPRしたいという思惑もあり、実行されることなく今に至ります」
年月を重ねることで「味が出てくる」ことが魅力
では、パーシモンのクラブにはどんなメリット、デメリットがあるのでしょう。関氏に聞いてみました。
「まず、メタルドライバーに比べて、圧倒的に扱いが難しいというデメリットがあります。メタルドライバーは、ヘッドの体積を大きくできるぶん、スイートスポットが広くなり、多少、芯を外したとしてもミスが最小限に抑えられます。メンテナンスがほとんど必要ないことも、メタルドライバーが一気に普及した要因です」
「一方でパーシモンは、曲がりやすくて飛ばないです。フェース面が小さいぶん、ミスショットの確率も上がります。樹脂が塗られているフェース以外は耐久性にも不安があり、他の部分に強い衝撃が加われば、簡単にヒビ割れてしまいます。日々手入れを行わなければならないので、今のメタルドライバーに慣れた人からすれば、とても手に負えない代物と言えるかもしれません」
「しかしパーシモンにしかない魅力もあります。ただボールを真っすぐ、遠くに飛ばすための道具として考えるならメタルドライバーは非常に魅力的ですが、どれだけ時間が経っても見た目はほとんど変化しません。趣味・趣向のアイテムとしては物足りないところがあるとも言えます」
「それに対してパーシモンは、使い続けることで色味が変化し、いわゆる『味が出る』のが特徴です。インテリアのひとつとして部屋の片隅に置くなら、パーシモンの方が美しく見えるのではないでしょうか」
ジーンズなど、ものの経年変化を楽しむ人は多くいます。パーシモンも同じで、使い続けるうちに自分の色に染まって、どんどん味が出てきますので、我が子を育てるように、道具に愛情を注げる人におすすめのクラブと言えそうです。
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