バンス角の大きさが影響している
サンドウェッジとは、名前に「砂」という英語が使用されている通り、主にバンカーショットを目的として考え出されたクラブです。クラブのソールには「SW」もしくは「S」と刻印がされています。

そのため、ゴルフを始めたばかりのビギナーの中には、なんとなく「バンカーショット=サンドウェッジ」というイメージがある人は多いかもしれません。そもそも、サンドウェッジのどのような特徴がバンカーからボールを出しやすくしているのでしょうか?
レッスンプロの関浩太郎氏は、以下のように話します。
「ソールが広くてバンス角が大きいクラブほど、バンカーからボールは出しやすいです。サンドウェッジともう一つ、ロフト角が60度前後の『ロブウェッジ』というクラブが存在しますが、両者の違いはバンス角の大きさです」
「池や川で石を投げる『水切り』と同じで、水面に石がお尻側から着水すると跳ねますが、前側から突っ込むと水中に沈んでしまいます。石のお尻側がバンスに当たる箇所なので、バンカーショットではバンス角が大きく、地面を滑りやすいサンドウェッジがボールを出しやすいというわけです」
ソールとは、クラブヘッドの底を指します。また、バンス角とはクラブのシャフトを地面と垂直にしたときに、ヘッドのリーディングエッジ(刃の部分)とソール面がつくる角度のことで、この角度が大きくなるほどソールの張り出しが大きくなります。
この角度が12度以上のクラブを「ハイバンス」、8度以下のクラブが「ローバンス」と区別され、ハイバンスはアベレージゴルファー向け、ローバンスは上級者向けと言われています。
では、ビギナーはどのようなサンドウェッジがオススメなのでしょうか?
「当然ながら、ソールが広くバンス角が大きいものが良いでしょう。サンドウェッジはロフト角がだいたい56~58度あたりです。60度のほうがボールが上がりやすいからと使っている方もいますが、ロブウェッジですので、サンドウェッジよりバウンス角が小さいです」
「バンス角が小さいと、ビギナーはバンカーから出しにくいので、56~58度のロフト角でソールが広いものを選び、重いクラブのほうがバンカーから出しやすいので、アイアンセットよりも15グラム以上重いシャフトにすると良いでしょう」
上級者はバンス角の小さいクラブもアリ
一方、上級者の場合は、あえてバンス角の小さいクラブを選択すると関氏は話します。
「バンス角が大きいほうが、操作性が楽でオートマチックに扱うことができる一方、細かい調整は難しくなります。上級者の場合は、とりあえずボールがバンカーから出れば良いというだけでなく、少しでもカップへボールを寄せるために『高く球を上げたい』『転がしたい』などの調整が必要になってきます」
「バンス角が小さいほうがショットの難易度は上がりますが、細かな調整が利くようになるので、技術があり、スコアを追い求めている上級者が使用するケースが多いです」
このように、使用するクラブによってメリットとデメリットが存在するので、自身の技量を考えて、自分に合ったクラブを選択する必要があります。
ビギナーの場合はラウンド経験が少ない人が大半なので、めったに練習できないバンカーからのショットには苦戦することが多いです。
そのため、ひとまずバンカーからボールを出せる確率の高い、ソールが広くバンス角が大きいサンドウェッジを選択するのが無難でしょう。