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- 岩井明愛はなぜショット前に視線を何度も上下に動かすのか? 超攻撃的ゴルフを支えるルーティンの効果
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。独自の視点で分析する。今回注目したのは、「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で完全優勝を果たした岩井明愛(いわい・あきえ)です。
多数の部門でスタッツ1位から見える攻撃的なプレー
9月22~24日の期間、宮城県の利府ゴルフ倶楽部で「第50回ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント」が開催されました。優勝したのは岩井明愛選手です。初日から首位を守り、最終日は1イーグル、3バーディー、2ボギーの「69」でプレー。2位に2打差をつけ、通算13アンダーでツアー3勝目を挙げました。明愛選手は、前週の「住友生命Vitalityレディス東海クラシック」でも完全優勝しており、2週連続の完全優勝となります。
これまで2週連続完全優勝を果たしているのは、2015年のイ・ボミ選手、18年の申ジエ選手、19年の鈴木愛選手の3人です。歴代の達成者は誰もが認める実力者ばかり。明愛選手はこの選手たちと肩を並べたことになります。

明愛選手の今大会終了時点のスタッツを見てみると、パーオン率が75.5283で1位。他にも平均バーディー数が4.3558で1位、パーブレーク率が24.5399で1位、バウンスバック率が25.1497で1位、バーディー数が355で1位と、多くの部門で1位に立っています。このデータを見ても、明愛選手が攻撃的なプレーをしていることが分かります。
攻めのゴルフが身上の明愛選手ですが、実は緻密な部分を持ち合わせているのも特徴の一つ。その一面を垣間見ることができるのが、ショットを打つ前のルーティンにあります。
ボールの後方に立ち、ターゲットを確認すると、視線を下げてボールに目をやります。この「ターゲット」と「ボール」を交互に見る作業を何度も何度も行った後、明愛選手はアドレスに入るのです。ターゲットとボールを交互に見るというルーティンは、多くの選手が取り入れていますが、明愛選手ほど何度も目線を往復させるプレーヤーはあまりいません。
何度も目線を往復させることでラインがより明確になる
彼女はなぜ、何度も何度も確認するのでしょうか。それは、ターゲットとボールを結んだラインをより明確にイメージするためだと考えられます。
ゴルフのスイングでは、どうしても自分とボールの関係だけを考えてしまいがち。「このボールをどう打つか」や「このボールに対してどうやって体を動かすか」に集中しすぎると、ターゲットへの意識が薄れてしまうのです。
明愛選手のように何度も目線を往復させることで、ラインがより明確になり、ターゲット意識を持ちながらアドレスし、スイングを始動することができます。ターゲットに対してスクエアに構えるのが苦手という人は、明愛選手の目線の使い方を参考にして、アドレスに入ってみてはいかがでしょうか。
岩井 明愛(いわい・あきえ)
2002年生まれ、埼玉県出身。21年のプロテストに合格。今季は、「KKT杯バンテリンレディス」でレギュラーツアー初優勝を挙げた。妹・千怜との双子優勝は国内女子ツアー初の快挙。「RKB×三井松島レディス」では、山下美夢有と千怜の3人によるプレーオフに。ツアー史上初の双子でのプレーオフを実現した。「住友生命Vitalityレディス東海クラシック」と「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で2週連続完全優勝を達成している。Honda所属。
石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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