3番ウッドのシャフトを0.75インチ伸ばしてドライバーの替わりに
◆国内男子プロゴルフ<三井住友VISA太平洋マスターズ 2023 11月9~12日 太平洋クラブ 御殿場コース (静岡県) 7262ヤード・パー70>
首位の今平周吾と2位・吉田泰基とのマッチレースの様相を呈してきた最終日、今平の3打リードで17番パー3を迎えた。

「バーディー、ボギーで一気に差が縮まりますからね。自分の中では差がないものと思ってプレーしていました」と今平が振り返れば、吉田も「2打縮めればチャンスは十分ある」と考えていた。
先にティーショットを放った今平の打球はグリーン左に外れる。ピンは左に切られていただけに、いくらアプローチ名人の今平といえども、ボギーは十分考えられる状況だ。
それを見届けた吉田はしっかりとピン左3メートルに乗せる。今平のアプローチはピンを4メートルオーバー。先に吉田がバーディーパットを沈めた後、今平がパーパットを外し、一気に2人の差は1打に縮まった。
最終18番パー5は、これまでいくつもの名勝負を演出してきた名物ホールだけに、ギャラリーの多くはドラマを期待したが、ともに3オン2パットのパーに終わり、今平が辛くも1打差で逃げ切った。
「本当はどんどん差を広げるつもりで戦っていたんですが、最後はハラハラするような感じで終わってしまいました」と振り返った今平。それでも勝ち切れなかったACNチャンピオンシップの借りは返した。
実は今回、あえてドライバーを入れず3番ウッドを2本入れていた。「水曜日の時点でドライバーが不調だったので、飛距離が出ると評判の“ヤマハRMX VD”のシャフトを0.75インチ伸ばしたところ280ヤードを打てるようになり、これは使えると思いました」。ティーショットのストレスが軽減されたことで、思うようなコースマネジメントができたことも優勝の要因となった。
これで賞金ランキング3位に浮上した今平。「今年は1ミリもチャンスがないと思っていましたが、優勝賞金の高いこの試合で勝てたのは大きいです」と笑顔を見せる。首位の中島啓太とはまだ約3500万円の差はあるが、自身3度目の賞金王獲得に向けて逆転の範囲内ではあることは確かだ。
また、敗れた吉田も賞金ランキング13位に浮上。「悔しいですが、2位は今年のベストフィニッシュなので上出来かなと。次にチャンスがあれば周吾さんを倒して優勝したいですね」と前を向いた。
中島啓太は米ツアー最終予選会に出場
今大会終了時点での賞金ランキング1位の選手には、12月に開催される米ツアーの最終予選会に出場する権利が与えられるが、中島がそれを獲得した。
「PGAツアーに行きたくて戦っているので、まずはトップ5を目指したいです」と、5位以内に入れば来季の米ツアー出場権を手にできるだけに気合が入る。もちろん、その前に国内ツアーで賞金王をしっかりと獲得するつもりだ。今大会では20位タイに終わったが、「最後競り勝てるように、次戦も優勝を目指します」と力強く語っていた。
その中島を追いかける今平も、海外ツアーへの思いは強い。
米ツアーの最終予選会出場には手が届かなかったが、昨年から賞金ランキング3位以内の選手には欧州ツアーへの出場権が与えられる。仮にその権利を取得した場合は挑戦するつもりだという。
「世界に出て行きたい気持ちはすごくあるんですが、なかなか挑戦する場がないという状況なので、海外に行ける権利をもらえたなら行きたいと思います」と新たな自分の可能性を模索する。
今平 周吾(いまひら・しゅうご)
1992年生まれ、埼玉県出身。高校1年時の「日本ジュニア」で優勝し、翌年から高校を中退して渡米、IMGゴルフアカデミーで腕を磨く。帰国後、2011年にプロ転向。14年は国内下部ツアーで賞金王に。15年にレギュラーツアー初シードを獲得し、17年に初勝利。18年、19年は2年連続賞金王に輝いた。ダイヤゴルフ所属。