海外から松山英樹・復活Vに日本と異なる角度の称賛 「オーガスタとリビエラ両方で勝利」が凄い理由

ジェネシス招待最終日、首位に6打差の7位タイからスタートした松山英樹(まつやま・ひでき)は9バーディー、ノーボギーの猛チャージ。2位以下に3打差で約2年ぶりに優勝したが、この勝利に海外メディアによる様々な角度の称賛が寄せられている。

「マツヤマ=ペイン」だった

 松山英樹がPGAツアーの「シグネチャーイベント」の1つであるジェネシス招待(2月15~18日)を制し、通算9勝目を挙げた。

 最終日を首位から6打差の7位タイで迎えた松山は、出だしから3連続バーディーを奪って好発進すると、後半も10番から3連続バーディー、終盤も15番から3連続バーディーを奪い、「3連続バーディー×3、0ボギー」の快進撃で62をマークし、ホールアウトして後続組のフィニッシュを待った。

 そんな松山のビッグランに追いついた選手は誰ひとりおらず、2位に3打差で松山の勝利が決まった。

会心のラウンドを終え、早藤将太キャディーとガッチリ握手する松山英樹 写真:GettyImages
会心のラウンドを終え、早藤将太キャディーとガッチリ握手する松山英樹 写真:GettyImages

 2014年のメモリアルトーナメントで初優勝を挙げた松山は、16年にフェニックスオープンで2勝目を挙げると、17年にはフェニックスオープン連覇を含む年間3勝を達成。

 そして21年には夢だったマスターズ制覇を成し遂げ、メジャーチャンピオンになった。その年の秋、日本で開催されたZOZOチャンピオンシップでも優勝。

 22年の年明けにはソニーオープンでも勝利し、通算8勝目を挙げた。

 だが、以後は勝利から遠ざかり、23年は0勝、今季もこれまで5試合に出てベストフィニッシュはファーマーズインシュランスオープンの13位タイと振るわなかった。世界ランキングもトップ50圏外に押し出されていた。

 そんな松山が、ここへ来て突然勝者に輝いた姿に、米ゴルフ界は驚きの視線を向けていた。

 大会のTV中継でCBS局のアナウンサーは「マツヤマは、いつも肉体のペイン(痛み)を口にしていた」と何度も強調していた。

 優勝直後に松山にマイクを向けた同局のインタビュアーも「痛みで顔を歪めながら去った大会と今回、何が違ったのですか?」と問いかけていた。

 それほど、「マツヤマ=ペイン」が米ゴルフ関係者に強く印象付けられていた証だった。

 その問いに、松山自身はこう返答した。

「去年までは痛みがいつ出るかと不安ながらやっていた。今年は、ストレスフリーでできている。今週も、いい状態でできて良かった」

コースレコード「62」以外にも注目された数字が

 最終日の松山のラウンドで注目されたのは、彼が記録したさまざまな数字だった。

 9バーディー、ノーボギーでマークした62というスコアは、大会コースレコードだが、何より注目されたのは、松山が15番と16番で続けざまに見せた奇跡のような快打が、どれほどピンに近かったかを示した数字だった。

 15番パー4の第2打は「189ヤードをピン8インチ(約20センチ)」につけ、16番パー3のティーショットは「160ヤードをピン6インチ(約15センチ)」につけ、あわやホールインワンというグレートショットで、リビエラの大観衆を沸かせた。

「15番は(実質)184ヤードで左からのアゲンストを6番アイアンでカット。打った瞬間、完璧だと思ったので、『ついてくれ!』と(祈った)」

 その通り、ピンにぴったりつけてタップインバーディー獲得。その好感触と流れを16番、17番と持続させ、勝利への階段を走り抜けた。

 日本を含めたアジアの国々からは、松山が韓国出身のチェ・キョンジュ(崔京周)によるPGAツアー通算8勝の記録を追い抜き、アジア勢最多の通算9勝を挙げたことを賞賛する声が上がっている。

 だが、米ゴルフ界のとりわけ“外野”からは、松山が勝ったこと以外に、彼がいくらを手に入れたかに興味を示す声が聞こえてくる。

 この大会は、賞金総額2000万ドルのシグネチャーイベントで、優勝賞金は超破格の400万ドル。日本円に換算すると約6億円となる。振り返れば、21年マスターズで松山が手にした優勝賞金は207万ドルだった。

「マツヤマが1試合で得たペイチェック(優勝の小切手)の中では、キャリア最高額だ!」

 そんなフレーズがSNSに溢れている。

「ジャパニーズ」ならではの注目も

 米メディアが着目しているポイントの中で、興味深いなと感じさせられるのは、やっぱり「ジャパニーズ」に注目していることだ。

 松山はマスターズを制した初の日本人選手だが、「ジェネシス招待を制した初のジャパニーズ」というフレーズは、米メディアに好まれ、多用されている。

「オーガスタナショナルとリビエラの両方で勝利した選手」という表現もある。

 この「両方で勝利した選手」リストには、サム・スニードやベン・ホーガンをはじめ、ニック・ファルドやフレッド・カプルス、フィル・ミケルソン、近年ではバッバ・ワトソンなど結構な人数が並んでおり、そこに松山が加わったということになる。

 だが、ちょっと見方を変えると、マキロイはどうしてもオーガスタナショナルで勝つことができず、ウッズはどうしてもリビエラで勝つことができないでいる。

「それなのにマツヤマは、その両方ですんなり勝った。だからこそ、すごい」

 日本とは少々異なるそんなトーンで、松山の勝利は米国、いや世界中から絶賛されている。
 
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。

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アジア勢単独最多となる9勝目を手にした松山英樹 写真:Getty Images
ジェネシス招待最終日に大逆転優勝を飾った松山英樹 写真:GettyImages
会心のラウンドを終え、早藤将太キャディーとガッチリ握手する松山英樹 写真:GettyImages
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