- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ツアー
- 手首は「タテ」と「ヨコ」どっちに曲げるのが正解? 「コック」は飛ばしにもアプローチにも不可欠
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回は、米女子ツアー「ホンダLPGAタイランド」で優勝したパティ・タバタナキットに注目した。
今季は上り調子のパティ・タバタナキット
米女子ツアー「ホンダLPGAタイランド」を制したのは、タイ出身のパティ・タバタナキット選手でした。2018年の「全米女子オープン」で5位に入ってローアマを獲得したタバタナキット選手は、プロ転向後の19年に米下部ツアーで3勝挙げて賞金ランキング2位。同ツアーのルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得しました。また、レギュラーツアーでは、21年にメジャー大会「ANAインスピレーション」でツアー初勝利を挙げるなど活躍し、レギュラーツアーでもルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得しています。
順調にスタートしたプロ生活ですが、その後はなかなか2勝目に届かず、22年はCMEグローブポイントランキング61位、昨年同54位に終わっています。
しかし、昨年はベスト5フィニッシュが2回あり、国別対抗戦「ハンファライフプラス インターナショナルクラウン」では、アタヤ・ティティクル選手、アリヤ・ジュタヌガン選手、モリヤ・ジュタヌガン選手とともに母国に初優勝をもたらしました。
上り調子で迎えた今シーズンは、前週の欧州女子ツアーで復活優勝。その勢いのまま、「ホンダLPGAタイランド」で母国優勝を飾りました。
彼女の一番の武器は、手足をしなやかに、ゆったり使って飛ばすドライバーショットでしょう。ドライビングディスタンスは278.625ヤードでランキング5位につけています(ホンダLPGAタイランド終了時)。ゆったりとしたスイングテンポにもかかわらず、これだけ飛ばせる要因の一つは、手首の使い方にあります。手首を柔らかく使ってスイングにラグをつくり、効率的にエネルギーを生み出しているのです。
この手首の柔らかさはドライバーショット以外でも生きてきます。今大会の最終日最終ホール(パー5)の3打目。グリーン手前から土手にクッションを入れ、カップにピタリと寄せて優勝を決定づけました。このウイニングショットも、手首使いのうまさが光ったシーンでした。
また、最終日は7番ホールで林の中から、15番で長いラフから打つシーンもありましたが、その際も上手にコックを使って脱出していたのが印象的です。
手首は「斜めに曲げる」のがオススメ?
ところで、手首はタテに曲げたほうがいいのか、ヨコに曲げたほうがいいのかと悩んでいる方がいますよね。基本的には、手首はタテ方向とヨコ方向をミックスさせ、斜めに曲げるのがオススメです。バックスイングで右の肩口に向かって手首を折るイメージです。この方向に柔らかく曲げていくと効率的にクラブを動かしやすくなります。
ちなみに、状況によっては手首をタテに曲げたり、ヨコに曲げるコッキングも有効です。親指側に手首を折るタテ方向のコックは、アウトサイド・イン軌道になりやすく、フェースが開く方向に動きます。ですから柔らかい球を打ちたい時やバンカーショットなどで有効になります。
一方、ヒンジといわれるヨコ方向に手首を曲げる動きは、インサイド軌道になり、ロフトが立つ傾向にあります。低い球を打ちたい時や転がしのアプローチを打つ時はヨコ方向に手首を折っていくといいでしょう。
いずれにしても、コックを使う時は手打ちになりやすいので注意してください。胸板をしっかりと回しながら、求める球筋に応じて斜め、タテ、ヨコ方向にコックを入れていくと、イメージ通りに打ちやすくなるはずです。
パティ・タバタナキット
1999年生まれ、タイ出身。2018年の「全米女子オープン」で5位に入ってローアマを獲得。19年にプロ転向し、同年に下部ツアーで3勝を挙げて賞金ランキング2位に。レギュラーツアーに昇格した後は、21年のメジャー大会「ANAインスピレーション」で初優勝を飾った。以降、優勝から遠ざかっていたが、今シーズンは母国開催の「ホンダLPGAタイランド」で米ツアー2勝目を達成した。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
- 1
- 2
最新の記事
pick up
ranking