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- 馬場咲希が挑む米下部ツアーが今週開幕! 有村智恵が経験者しか知らない“過酷さと楽しさ”語る
大物ルーキー、馬場咲希(ばば・さき)のプロ1年目は米下部の「エプソンツアー」が主戦場となる。米下部ツアーでの転戦経験のある有村智恵(ありむら・ちえ)に馬場の展望や下部ならではの難しさなどを聞いた。
レギュラーと下部では「求められるゴルフが違った」
全米女子アマ覇者で、昨年、日本のプロテストに合格した馬場咲希。プロ1年目の今季は米下部の「エプソンツアー」が主戦場となる。同ツアー(当時はシメトラツアー)経験者の有村智恵にレギュラーツアーとの違いや難しさ、今季の馬場の展望などについて語ってもらった。
※ ※ ※
私は2013年から16年途中まで米女子ツアーでプレーし、一時は下部ツアーにも挑戦しました。私のときは「シメトラツアー」という名称で、今は「エプソンツアー」に変わりましたし、年数もたっています。当時と比べれば環境面では大きく変わっているかもしれませんが、馬場咲希選手がプロ1年目の今季、米下部ツアーに挑戦するということなので、私が当時、いろいろと経験したことを振り返りながら話したいと思います。
下部ツアーはレギュラーツアーと比べると、もうすべてが違います。では何が大きく違うのか。それは環境とコースセッティング。もちろん賞金額も大きく違いますが。
米ツアー1、2年目はレギュラーツアーでプレーしたので、それこそ下部ツアーに初めて行ったときは、まずコースセッティングがすごく違うなと思わされることが多かったんです。
当時、私が戦っていた時は飛距離が物をいう時代になってきていたので、距離に悩まされることが多かった。でも、下部ツアーのコースセッティングは、どちらかというと日本っぽいコースというイメージがありました。ティーショットで刻まないとセカンドはいいところから狙えないようなコースが多くて、220~230ヤードくらいのところに止めておかないといけないホールも多かった。
つまり「圧倒的に求められるゴルフが違った」ということです。飛距離が優勢のレギュラーツアーに比べると、日本のコースに慣れていれば、米下部ツアーはどちらかというとプレーしやすいと思います。
森田遥選手がプロ転向後に米下部ツアーで優勝(2015年シメトラクラシック)もしていましたから、日本の選手にとって優勝のチャンスがあるコースが多いと感じていました。
キャディーは先着順「自分で担ぐ場合も」
そういう意味で馬場選手のプロ1年目デビューが米下部ツアーなのは、いろんな経験を積むうえで、すごくいい環境だと思います。練習環境もレギュラーツアーのゴルフ場より劣るとはいえ、アプローチやパッティンググリーンも充実していて、悪くはないので心配はいりません。
気を付けておきたいことがあるとすれば、一つはキャディー。米レギュラーツアーでは、プロキャディーがいない場合は、(経費がかからない)ボランティアキャディーを必ず用意してくれるのですが、下部ツアーは先着順で、数が決まっていたんです。そこから漏れると自分でバッグを担ぐしかないんです(笑)。
ただ、米下部ツアーでもプロキャディーに頼めば、経費が必要となります。当時はキャディーを頼むと、毎週トップ3に入らないと経費でまかなえないくらいだったので、移動や食事、宿泊費など諸々のお金がかかるというのは、米ツアーでは考えておかないといけない部分ですよね。馬場選手はそのあたり、家族や支えてくれるスタッフ、キャディーもいると思うので、大丈夫でしょう。
一軒家に5~6人で泊まる「ハウジングシステム」
私が経験して良かったなと思うことが一つあります。宿泊の経費を少しでも浮かせるために、「ハウジングシステム」というのがあります。これは、試合会場近くのホームステイ先を紹介してもらえるシステムのこと。
レギュラーツアーは基本的に1軒につき1人を紹介するシステムなのですが、下部ツアーは1軒の家に複数人の選手が泊まることはよくあります。私も1人の時もあれば、何人かの選手が同宿になることも結構多かったんです。でも、そのお陰で選手同士のコミュニケーションがすごく取りやすくなるんです。
選手の仕事はプレーするだけではなくて、コースにヤーデージの100とか150ヤードというマーカーを練習日に設置するといった係もあるんです。今は分からないですが、そうして選手みんなで協力してツアーをつくっていくというスタンスも、すごく楽しかった記憶があります。
というのも、私は当時、米ツアーに行く目的として、試合で結果を残すこともそうですが、米国の文化を吸収したり、さまざまな国の人たちとのコミュニケーションをしっかり取りたいという思いを持っていました。そうした場面は下部ツアーの時のほうが多かったので、とても貴重な経験になりました。
ただ、過酷だったなと思うのは、1人でレンタカーを運転して試合会場から次の会場へ移動していたこと。違う州への移動となると、6時間くらい運転した時もありました。本当に途中に何もないので、1人だと怖いなと思うこともありました。ガソリンスタンドもなかなかないので、半分なくなったら入れるようにしていたとか(笑)。
そういう行動ができたのは、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の小林浩美会長から「1人で行ったほうが、みんながすごく受け入れてくれて、いろいろ協力してくれる」という言葉を頂いたのがきっかけです。みんなそうやって1人で動いているので、下部ツアーの選手はたくましいですよ。
馬場選手は1年目なので心配事も多いでしょうが、まだ10代なので環境に慣れるためにもいろんなことを経験してみることをお勧めしたいです。
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