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- ボールがカート道へコロコロ…“救済を受けない”も選択肢に入れたマネジメントが賢い理由
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回は、国内女子ツアー「Vポイント×ENEOSゴルフトーナメント」で5位タイに入った竹田麗央(たけだ・りお)です。
最終日最終組が2週連続で同じ顔触れ
国内女子ツアー第3戦「Vポイント×ENEOSゴルフトーナメント」が開催されました。悪天候で45ホール短縮競技、セカンドカットを実施した最終日は、前週優勝した鈴木愛選手と小祝さくら選手、竹田麗央選手が最終組でプレーしました。このペアリングは、前週の最終日最終組と同じ組み合わせ。2週連続で同じ顔ぶれになったのはデータが残る02年以降で初めてのことだそうです。

最終日は通算10アンダーで並んだ鈴木選手と小祝選手のプレーオフになりました。勝負がついたのは2ホール目でした。2打目をグリーン手前のバンカーに入れた鈴木選手の3打目は、ピンの手前約3メートルにオン。一方、2打目をピンの真横5メートルにつけた小祝選手は、バーディパットを沈めれば優勝という状況でした。
しかし、小祝選手のファーストパットは2メートル近くオーバーしてしまいます。続く鈴木選手は、パーパットをしっかりと沈めてパー。小祝選手が入れればプレーオフ3ホール目に突入、外せば鈴木選手の優勝というシチュエーションで、小祝選手のパーパットはカップの右に外れ、勝負あり。鈴木選手の2週連続優勝、通算20勝目が決まりました。
鈴木選手が2打目をバンカーに入れ、小祝選手が2打目をピン横5メートルにつけた時点では、小祝選手が優勢でした。しかし、鈴木選手のうまさや決定力の高さが分かっている小祝選手は、このチャンスを逃すまいと入れにいった結果、2メートルもオーバーしたように感じます。鈴木選手の存在感が小祝選手のミスを誘う形になったような結末でした。
ところで、今大会で印象に残っているのが鈴木選手、小祝選手と同組だった竹田選手のプレーです。あるホールでボールがカート道方向へ。ボールはラフに止まりましたが、スタンスをとると足元がカート道にかかってしまいます。救済を受けることもできましたが、竹田選手はそのまま打つ方を選択しました。
“救済”もどちらが有利か状況を見極めて選択
アドレスがカート道にかかる状況は、無罰で救済を受けることができますよね。カート道路内部に電磁誘導線が埋め込まれている場合は、ローカルルールで「必ず救済を受けなければいけない」とされていることもありますが、それ以外のケースは「救済を受けなければいけない」わけではありません。受けなくてもいいわけです。
救済を受けると、極端な傾斜や深いラフから打つことになったり、かえって状況が悪くなることもあります。どちらが有利にゲームを進めることができるのか、状況を見極めて選択するといいでしょう。
ちなみに「足場がカート道、ボールが芝の上」という状況から打つ場合は、足元が滑りやすいので要注意。クラブを短く持ち、大振りせずにコンパクトに振ることを心がけましょう。
竹田 麗央(たけだ・りお)
2003年生まれ、熊本県出身。母は女子プロの平瀬哲子、叔母は1993年、94年に賞金女王を獲得した平瀬真由美。2021年の日本女子オープンでローアマを獲得し、その年のプロテストに合格。23年はドライビングディスタンス2位(258.91ヤード)の飛距離を武器にメルセデス・ランキング22位と躍進した。ヤマエグループHD所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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