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“統合宣言”から1年もサウジファンドとの交渉はブラックボックス…ウッズ、マキロイら中心メンバーと他の選手に溝!?
PGAツアーとリブゴルフを支援するサウジアラビアの政府系ファンド「PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)」が統合合意を発表してから1年が経過したが、交渉の過程、内容は見えず、選手たちからは苛立ちの声も聞かれる。
「ビジネスのプロでない人々がビジネスを推し進めている」
そんな中、進捗状況を少しだけ明かしたのは、経済アナリストのオギルビーだった。
NYで初めて直接会ったルマイヤン会長は「しっかり目を見ながら握手を求めてくる人柄だった」と振り返ったオギルビーは、米ゴルフダイジェスト誌の取材に答え、交渉の難しさがどこにあるのかを、こんなふうに語っていた。

「PGAツアーがSSGとパートナーシップを結び、最大30億ドルの投資を得ることが決まったことで、PIFにとっては『それ以上の投資をするべきか、それとも?』という具合にハードルが上がり、判断が難しくなっている。PGAツアーにとっては、PIFとはパートナーシップを結ぶとしても、PGAツアーとリブゴルフは(ツアー同士)相容れないところがあるため、そのあたりの判断が難しい」
オギルビーのこの言葉からは、PGAツアーとPIFが今、何を最も問題視しているのかをうかがい知ることができる。
さらにオギルビーは、これまでのPGAツアーのお金の流れは「機能不全」だと言い切り、だからこそPGAツアー・エンタープライズ創設に意味があったと強調した。
また、選手理事からの辞任を申し出たウェブ・シンプソンが、自分の後任としてマキロイを指名したところ、他の選手理事から不満の声が上がり、マキロイが「歓迎されないのなら理事にはならない」とした出来事に関しては、「理事が自分の後任を指名することは、企業なら、株式を9割以上持ってでもいない限り、ありえない。理事の就任は正式手続きを踏まなければならない」と語った。
しかし、その語尾に「タイガーは手続きなしに就任したけどね」と付け加えていた。
その通り、ウッズが選手理事に就任したことは、突然発表された。しかも、他の選手理事の任期は2年と定められているのに対し、ウッズだけは、いつの間にか「無期限」とされている。ウッズを筆頭とする交渉分科会もいつの間にか創設されていた。
モノやコトが知らぬ間に進められ、決められることは、昨年のモナハン会長がそうだったように、他選手たちからの不満や批判を招きかねない。
全米オープン覇者のルーカス・グローバーは「ビジネスのプロではない人々がビジネスを推し進めようとしている」と批判の声を上げ始め、だからこそ今回の初会合の際は、マキロイが「僕ら選手理事は聞き役」などと前置きしたのだが、PGAツアー内部の揺れは、とどまるところを知らない様子だ。
いずれにしても、ファンあってのPGAツアー、スポンサーあってのPGAツアーである。PIFとの交渉が進んでいて、本当に前進しているのであれば、そのことを一刻も早く周囲に実感させ、安心させるPGAツアーになっていただきたい。
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
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