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PGAツアーで選手とギャラリーの関係が悪化!? マキロイに心ないヤジ浴びせた男性の正体はなんと… 原因はオンラインカジノやSNSか?
“第5のメジャー”と呼ばれるプレーヤーズ選手権で3ホールのプレーオフを制して優勝したローリー・マキロイ。しかし、大会開幕前、ギャラリーから彼の心を深くえぐる心ない言葉が浴びせられ、マキロイが激高するという場面があった。
「まるで2011年のオーガスタみたいだな」
PGAツアーのフラッグシップ大会であり“第5のメジャー”と呼ばれている「ザ・プレーヤーズ選手権」で、ローリー・マキロイがJ.J.スポーンとの3ホールプレーオフを見事に制して通算28勝目を挙げたことは、世界ランキング2位のマキロイの実績を思えば「勝って然るべし」と言えるのだろう。

しかし、開幕前の出来事を振り返ると、「あんなことがあったのに、よく勝ったなあ」と、今さらながらつくづく思う。
プレーヤーズ選手権の練習日、マキロイはTPCソーグラスの18番でティーショットを大きく左に曲げ、ボールは左サイドに広がる池の中に沈んだ。
そのとき、ティーイングエリアの左後方に立っていたギャラリー男性が、大声でこんな言葉を口にした。
「まるで2011年のオーガスタみたいだな」
その声は、マキロイの耳にも届いていた。2球目を打ち終えたマキロイはすごい形相でその男性に近寄り、男性が手にしていたスマホをいきなり取り上げて、そのままフェアウエイ方向へと歩き去っていった。
それはマキロイがわれを忘れるほど激怒したからこその行動だったことは、誰の目にも明らかだった。言葉も出ないほど怒り心頭となり、ギャラリー男性に有無を言わせず、いきなりスマホを奪い取ったマキロイは、「2011年のオーガスタ」というフレーズに敏感に反応し、激怒していた。
忘れもしない。2011年マスターズ最終日、マキロイは悠々と単独首位を走り、彼の圧勝は間違いないと思われていた。
しかし、折り返し後の10番で、マキロイのティーショットは大きく左に曲がり、左サイドの林のさらに左奥に建つ民家の庭に飛び込んだ。あの1打のミスがきっかけとなり、そこから先のマキロイはガラガラと音を立てて崩れ、80を叩いて15位タイで終戦。
目前だったマスターズ初優勝を逃したマキロイは、母国にいた父親と電話で話しながら、一晩中泣き続けた。
あのときの大崩れは実に衝撃的だったが、一番ショックを受けたのはマキロイ自身だったに違いなく、あのときの心の傷は今でも癒えてはいないのだろう。
だからこそ彼は「2011年のオーガスタ」という一言に敏感に反応してしまったのだ。
残念ながら選手の側にもキレやすい面が見られる
練習日に、そんな出来事があったにもかかわらず、マキロイは気持ちを立て直して試合に臨むことができた。
月曜日に持ち越されたプレーオフでは、惜敗して悔し涙を飲んだスポーンが「恥ずかしい負け方だけはしたくないと思った(ことが敗因だった)」と語ったことを知り、「そう思う時期は誰にもある。僕もそうだった」とねぎらうなど、すでに心に余裕が生まれていた様子だった。
そのあたりは、さすが世界ランキング2位に座る百戦錬磨のトッププレーヤーだけのことはあった。
とはいえ、それは「そうなってくれて良かった」という結果論だ。
ギャラリーの心ない一言が選手の胸に突き刺さり、プレーや成績、勝敗を左右する可能性はある。ともすれば、選手のキャリアや選手生命にまで影響を及ぼすことも、ないとは言えない。
だが、昨今はギャラリーが無神経な言葉を選手に投げつけるケースが増えつつある。
今季のマキロイは3月の「ザ・プレーヤーズ選手権」のみならず、2月の「ジェネシス招待」でもギャラリーとの確執があった。
その2週前の「コグニザントクラシック」では、素晴らしいファンサービスで知られるリッキー・ファウラーがバーディーパットを外した瞬間、ギャラリーから投げかけられた言葉に激怒し、大声で応酬した。
ギャラリーが選手を野次ること自体は今に始まったことではないのだが、たとえば2019年の全米プロでは、首位を走っていたブルックス・ケプカに向かって、ギャラリーが「DJ! DJ!」と、2位で追っていたダスティン・ジョンソンを応援するDJコールを浴びせるなど、野次り方が年々激しく、そして嫌らしくなっている感は否めない。
そうした現象の背景にあるのは、米国では合法化されているスポーツギャンブルの存在だ。自分が儲かる結果を期待して応援し、お金が動くからこそ必死になる。
アルコールが入れば、その傾向はさらに高まり、えげつない野次にもなり、選手に対して心ない言葉を投げつけるようにもなる。
SNSの影響も無視できない。目立つことをやりたい。あっと驚くようなシーンを撮影して公開したい。そんな欲望がギャラリーを奇抜な言動に走らせている面も見て取れる。
だが昨今は、残念ながら選手の側にも「キレやすい」という面が見られる。
先週のバルスパー選手権でも、パットン・キザイアはパターを投げ飛ばし、サヒース・ティーガラはアイアンをブーメランのように放り投げた。
きわめつけは、アダム・ハドウィンが手にしていたウェッジでスプリンクラーヘッドを一撃したところ、スプリンクラーヘッドが壊れ、噴水のように水が噴き出して、ハドウィンが右往左往した、とんでもない出来事。
大勢のギャラリー、とりわけ子どもたちの目の前で、こんな言動を見せてはならないことは言うまでもない。
選手がキレる姿を頻繁に見せてしまうことは、ともすると、ギャラリーの悪態を助長するという面もあるように思えてならない。
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