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全米女子OP優勝キャディーの超異色な経歴とは? 英雄との出会いから始まった映画のような半生
竹田麗央(たけだ・りお)、西郷真央(さいごう・まお)、渋野日向子(しぶの・ひなこ)の3人が優勝争いに加わり、日本でも大いに盛り上がった全米女子オープン。優勝したマヤ・スタークのバッグを担いでいたキャディーは米欧ツアーを股にかける名物キャディーで、しかも超異色な経歴を持っていた。
「『刻もう』『安全に行こう』と言って、暴走を止めてくれた」
全米女子オープン最終日を単独首位でスタートしたマヤ・スタークが、「超」が付くほど難設定だったエリンヒルズで、リーダーボードの最上段から滑り落ちることなく自分のゴルフをしっかり維持しながら戦っていたとき、そばでアドバイスを続けていた相棒キャディーの熱心な仕事ぶりが、終始、視界に入ってきた。

スタークはスウェーデン出身の25歳。LET(欧州女子ツアー)では通算6勝の実績を持つ。米LPGAでは、ノンメンバーだった2022年に「ISPS Handaワールド招待」で勝利して正式メンバーに昇格したが、その後の優勝は一度もなかった。
ロレックスランキング33位で臨んだ今大会。「自信レベルはとても低かった。他の選手ではなく、コースと自分自身を相手に戦うつもりでここへ来た」と謙虚に語っていたスタークは、開幕前は優勝候補には、まったく上がっていなかった。
しかし、蓋を開けてみれば、米LPGA正式メンバーとしては未勝利だった彼女が首位へ浮上。最終日は世界ランキング1位のネリー・コルダや「ジャパニーズ・トリオ」と呼ばれた竹田麗央、西郷真央、渋野日向子らによる猛追に遭う可能性も十分にあった。
だが、スタークは自身の言葉通り、他選手の動きに惑わされることなく、自分自身とコースとの戦いに徹し、見事2位に2打差でメジャー初優勝を遂げた。
優勝争いの真っ只中、スタークと相棒キャディーが攻め方やクラブ選択を詳細に話し合う場面が何度も見られた。
マイクに拾われた2人の会話は、多くの場合、スタークが「こう攻めたい」「あそこを攻めれば、次はPWで行ける」という具合にアグレッシブな攻略法を口にすると、相棒キャディーが首を横に振り、セーフティールートを提案し直すというやり取りだった。
意見が食い違っていることは明らかに見て取れたが、真剣なまなざしと静かな口調でスタークを説き伏せるように納得させていた相棒キャディーの姿が、とても印象的だった。
「私のゴルフは攻めるゴルフになりがちだけど、キャディーが『刻もう』『安全に行こう』と言って、暴走を止めてくれた。彼がいてくれたおかげで優勝できた」と、スタークは心から感謝していた。
その相棒キャディーの名は、ジェフ・ブライトン。驚くなかれ、元コメディアンという異色の経歴を持つ彼は、男女双方の欧米ゴルフ界で、なかなか有名な名キャディー、そして名物キャディーである。
「100人以上の女子選手に手紙を出して、雇ってほしいと願い出た」
スコットランドが誇る名門ゴルフクラブ、ターンベリーのすぐそばで生まれ育ったブライトンは英国人。幼少期からゴルフに親しみ、地元の英雄であるコリン・モンゴメリー、通称「モンティー」に心底憧れていたという。
ブライトンが12歳だったある日、町の書店でモンティーのサイン会が開かれることを彼の母親が聞き付け、ブライトンは学校を休んで、母子ともども早朝から書店へ駆けつけた。
一番乗りとなり、地元のTV局のローカルニュースに取り上げられたブライトン母子は「小さな田舎町なので、あのときの母と僕はちょっとした有名人になった。振り返れば、あの出来事が僕の人生を変える転機だった」。
自身のゴルフの技量を冷静に見つめたブライトンは、プロゴルファーになることは難しいだろうと早いうちから悟り、ターンベリー所属のジュニア・キャディーになって、キャディー術の腕を磨いたそうだ。
しかし、地元の大学卒業後はラジオ局勤務に始まり、リゾート会社のゴルフイベントの企画コーディネーター、旅行会社のセールスチーム・リーダーという具合に職を転々と変えていった。
それらと同時進行で、昔からゴルフ同様に大好きだったコメディアンの仕事にも従事し、2008年にはスコティッシュ・コメディアン・オブ・ザ・イヤーを受賞した。
そして12年からは、英国のエンターテインメント企業からエジプトに派遣され、彼の地でコメディアンとしてさまざまな舞台に立っていたという。
その後、母国スコットランドに戻り、マーケティング・コンサルタントをしていたが、そのころから、キャディー業を本業にすることを考え始めたところ、15年の全英女子オープンが地元のターンベリーで開催されることを知った。
「100人以上の女子選手に手紙を出して、僕を1週間キャディーとして雇ってほしいと願い出た」
韓国のコ・ジンヨンからオファーがあり、キャディーとしてメジャーデビューを果たしたブライトンは、幼いころから熟知しているターンベリーの攻略ポイントを丁寧に教授し、ターンベリー初挑戦だったコをいきなり単独2位に導いた。
「スコットランドに名キャディーがいる」
そんな噂が広まり、以後、ブライトンは米欧ゴルフ界で活躍するツアーキャディーとなって、コはもちろんのこと、クリスティー・キム、ブロンテ・ローなどのバッグを担いできた。
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