持ち味の飛距離を生かして6連続バーディーの爆発力
「勢い」と「ミス」と「踏ん張る力」。ツアーで初めての優勝争いの中で、内田ことこはそのすべてを経験した。

女子ツアーシーズン第3戦「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント」最終日に、内田は首位に5打差の8位タイで挑んだ。
プロデビューした昨年は、4試合に出場したがすべて予選落ち。新人戦加賀電子カップでは優勝争いを演じたが、プレーオフで桑木志帆に敗れている。
この日は「バーディーを4つ取る」という目標を持って臨んだ。圧巻のプレーを見せたのは、2バーディー、1ボギーで迎えた8番からだ。1.8メートルの下りを沈めてバーディーを奪うと、そこから怒涛の6連続バーディーで単独首位に立った。
中でも520ヤードの13番パー5では、残り220ヤードを3Wで2オンさせて2パットでのバーディー奪取と、武器である飛距離を十分に生かした。
落とし穴が待っていたのは300ヤードと短いパー4の15番。内田は14番パーの後に首位に立ったことを知る。驚いた直後のティーショットは、レイアップを選択した。そこまでは良かったのだが「引き算を間違えて、1クラブ大きいクラブで打ってしまいました。180ヤード打つつもりだったんですけど、190ヤードのイメージで打ってしまいました」。ボールは無情にもカサカサと音を立ててOBエリアに消えた。
動揺しつつも、打ち直しの3打目をフェアウェイへ。だが、4打目をグリーンオーバーさせ、ダブルボギーで首位転落。上がり3ホールはスコアカード通りで、通算7アンダーの4位に終わった。
「やる気がちょっと出て」初めての優勝争いに気持ちが揺れた
痛恨の1打を振り返り「やる気がちょっと出て」と、優勝争いならではの気持ちの揺れがあったと打ち明ける。
QTランキング25位での出場だが、前の2試合は予選落ちと32位タイ。2日目までの成績が良くないと入れない“最終日アウトスタート”すら初めての中での大健闘だった。
サンデーバックナインに単独首位に立ってからの自滅に「悔しいです」と唇を噛む。
それでも、OBの後、ずるずると崩れていくのではなく、しっかりとパーを重ねていった辺りにしぶとさも見える。
ジェットコースターのような1日の経験は、ルーキーにとって大きな財産だ。ギャラリーやファンにも、飛距離を武器にする大物新人の存在を十分にアピールできたのは間違いない。今後が楽しみな選手だ。
内田ことこ(うちだ・ことこ)
2002年10月4日生まれ、北海道出身。2021年6月にプロテスト合格。今年のTポイント×ENEOSゴルフトーナメントまで目立った成績はなかったが、2021のJLPGA新人戦 加賀電子カップではプレーオフの末、2位となるなど、期待のルーキー。今回の活躍もあり、平均バーディー数2位、パー5平均スコア1位など、抜群の爆発力を誇る(3月21日現在)。加賀電子所属