QTの失敗を糧に! 岩井ツインズの妹・千怜がルーキー一番乗りでツアー初優勝

NEC軽井沢72ゴルフトーナメントで岩井ツインズの妹・千怜(ちさと)が初優勝を飾った。

優勝後には姉妹で涙の抱擁

◆国内女子プロゴルフ<NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 8月12~14日 軽井沢72ゴルフ北コース(長野県) 6679ヤード・パー72>

 岩井千怜(ちさと)が、スキのないゴルフで激戦を制した。

 首位から4打以内に20人がひしめく混戦のまま、14日の最終日に突入したNEC軽井沢72ゴルフトーナメントは、20歳のルーキー岩井千怜が、落ち着いたプレーで初優勝を飾った。

緊張を感じさせない安定したプレーで初優勝を飾った岩井千怜 写真:Getty Images
緊張を感じさせない安定したプレーで初優勝を飾った岩井千怜 写真:Getty Images

 最終組で一緒に回ったのは、同じ通算10アンダー首位スタートの吉本ひかると、1打ビハインドの堀琴音の2人。吉本は久々の上位争い、堀は全英女子オープン15位タイで自信を深めての優勝争いだ。

 フロントナインは、首位が目まぐるしく入れ替わる展開となった。1番パー4、2番パー5を連続バーディーとした堀と、2番バーディーの吉本が、先に通算11アンダーにスコアを伸ばすが、岩井も負けていない。3番パー3、4番パー4の連続バーディーで通算12アンダーにして逆転。単独首位に立つ。9番パー5を終えた時には12アンダーの吉本が首位、1打差で岩井、堀が追走する状況だった。

 最終組だけではない。先にプレーする面々もバーディー合戦を繰り広げた。6アンダーで早いスタートだった岡山絵里、植竹希望が、猛追。先に通算12アンダーでホールアウト。最終組の2つ前でプレーする勝みなみ、前の組の吉田優利も積極的に攻めていく。

 岩井は、バックナインに入って頭一つ抜け出した。10番パー4のバーディーで12アンダーとして吉本に並んだ後、11番パー4でも5メートルを沈めて13アンダー。再び単独首位に立つ。13番パー5でも2メートルをしっかりと沈めて通算14アンダー。バーディーがピタリと止まってしまった吉本に2打差をつけた。

 堀も14番パー4のバーディーで12アンダーとしたが、それきりスコアが伸ばせない。膠着状態のまま、終盤へ。先に上がった4人も含めた6人に2打差をつけたまま、岩井は18番パー4も2オンしてみせる。50センチのパーパットがカップにけられて最後は3パットボギーにしたが、吉本、堀はパー止まり。通算13アンダーの岩井が初優勝を手にした。

 ルーキーとは思えない堂々たる優勝争い。笑みを絶やさないのは、ギャラリーに対するプロ意識の表われだ。だが、その裏ではずっと緊張していた。勝利が決まり、キャディーに祝福された途端に、その顔をくしゃくしゃにした。緊張がほどけ。涙が零れ落ちる。

 その姿をグリーンサイドで見守っていたのは、先にホールアウトしていた双子の姉、明愛(あきえ)だ。ゴルフを始めた時からお互いに理解し合い、同時にライバルでもある2人は、そろって昨年プロテストに合格して、鳴り物入りでプロに転向。

 だが、そろってQTがうまくいかず、限られた試合の中でどちらもリランキングで後半戦出場権を手に入れている。涙の理由を「QTがダメで、それでも自分でチャンスをつかんで……。苦しいこともあったけど努力してきてよかったな、報われたなという風に思って、たぶん泣いたんだと思います」と答えた妹の気持ちを誰よりもわかっていたのは、明愛だったに違いない。

 首位スタートで、最後まで攻め続けた姿勢は、90位とまさかの結果に終わったQTでの失敗から来ている。「QTでは守っていたので、終わってから一皮むけたんじゃないかと思います」。失敗はしっかり糧になった。

 双子の宿命として、常に比較され続けてきたが、それを刺激に切磋琢磨してきた。アマチュア最後の年に出場した日本女子オープンでは、明愛が14位でローアマを獲得したのに対し、千怜は予選を通過したが40位タイ。

 プロ入りは同時だが、ステップアップツアーでは千怜が先に優勝した。次の試合で明愛がこれに続いた。お互いに刺激し合っているだけに、千怜の優勝で今度は明愛に期待がかかる。

 一方、惜敗にも「やり切ったので悔いはないって感じです」とさばさばした表情を見せたのが吉本だ。初優勝をかけて最後まで戦ったが、バックナインでバーディーが取れず、1打及ばなかった。

 実力者が揃う1998年度生まれの黄金世代。常に周りと比較され、2019年には優勝に近い位置で戦うことも多く、賞金ランキング28位で初シードを獲得した。しかし、2020-21年シーズンにはドライバーの不調に陥ってシード落ち。これまでとは違うトレーニングをしたり、クラブを一新したりして今季に臨んでいる。

 QTランキング38位から、第1回リランキングを終えて41位と、すべての試合には出られない微妙なポジション。その中で最後まで優勝が狙える位置にいたことで自信を取り戻した。

「去年に比べたら、ここまで来れると思ってなかった。残りの試合でももっともっと優勝争いできるように頑張りたいなと思いました」と、目を輝かせた。

 吉本と同じ12アンダー2位には、堀、植竹、岡山、吉田、勝みなみの6人が入り、この日8アンダーでまくった菅沼菜々が、通算11アンダー8位。岩井の姉、明愛は、通算1アンダー53位タイに終わっている。

岩井千怜(いわい・ちさと)

2002年7月5日生まれ、埼玉県出身。双子の姉・明愛(あきえ)とともに、高校ゴルフの名門・埼玉栄高のダブルエースとして活躍。同校を8年ぶりの全国高等学校ゴルフ選手権・団体戦優勝に導くなどした。2021年にプロテスト合格し、同年のステップ・アップ・ツアー「カストロールレディース」で優勝している。Honda所属。

【動画】「最後はドキドキした!」優勝後に喜びを語る岩井千怜
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