予選落ちばかりでも年間6800万円もらえる!? PGAツアーの選手囲い込み策の大盤振る舞い度

シーズン最終戦「ツアー選手権」開幕に先立ち、PGAツアーが新シーズンに向けた施策を発表。リブゴルフ対策としてトップ選手のみならず、普通の選手にも手厚い大盤振る舞いは驚きをもって迎えられた。

「トッププレーヤー」には最低20試合出場の“しばり”

 リブゴルフとの勢力争いの渦中にあるPGAツアーが、シーズン最終戦「ツアー選手権」開幕を翌日に控える24日、新シーズンのスケジュールとさらなる強化施策を発表した。

新シーズンに向けた施策について熱弁するPGAツアー・コミッショナーのジェイ・モナハン氏 写真:Getty Images
新シーズンに向けた施策について熱弁するPGAツアー・コミッショナーのジェイ・モナハン氏 写真:Getty Images

 賞金やステータスの高い「上位大会」が4つ追加され、上位大会は全12試合に。PGAツアーが定義するところの「トッププレーヤー」は少なくとも20試合のPGAツアーイベント、およびメジャー4試合、ザ・プレーヤーズ選手権、上位大会12試合すべてへの出場義務が発生するという、新たな“しばり”も発生することが明らかになった。

 もう一つ大きいのは、トッププレーヤーのみならず、いわゆる“普通の選手”へのケアが大幅に手厚くなったこと。

 新たな収入保証制度はこれまでの「プレー15」プログラムに代わるもの。コーンフェリーツアー卒業生以上で、最低15試合に出場するツアーの優先順位でランク付けされているすべての選手が年間に最低50万ドル(約6800万円)を受け取れる。スーパーゴルフリーグ(リブゴルフの前身)への対抗措置として今シーズン導入されたばかりの「プレー15」プログラムではこの金額が5万ドルだったから、実に10倍の大盤振る舞いとなる。

 さらに旅費支給制度として、シード権のない選手(126~150位以下の選手)が予選落ちをした場合、旅費と大会関連費用として5000ドルを受け取ることができる。

 今回の改革についてPGAツアー・コミッショナーのジェイ・モナハン氏は自信満々にこう語った。

「PGAツアーの選手たちは結束し、ツアーを支えてくれている。そのおかげでわれわれはファンが最高のプレーヤーたちの闘いを年間20試合以上も観戦できることを保証することで、他に類を見ない経験を提供することができている」

「本日の発表は、ツアーと選手、選手たちの間での強化されたパートナーシップの集大成です。ツアーにとっては前例のないことであり、選手たちが誰を信じ、何を信じているかを証明するものです」

 これらの施策により、もはやリブゴルフに行くメリットはほとんどなくなったという声も聞かれるが、グレッグ・ノーマンがさらなる対抗策を講じてくるのか、注目される。

PGAツアー記者会見概要

1. トッププレーヤーは年間20試合以上のPGAツアーの大会に出場する(出場権獲得見込みの大会も含む)
A. 12の上位大会
1. FedExCup プレーオフ
・フェデックス セントジュードチャンピオンシップ 2000万ドル
・BMW チャンピオンシップ 2000万ドル
・ツアー チャンピオンシップ/FedExCup ボーナス 7500万ドル
2. ザ・ジェネシス インビテーショナル 2000 万ドル
3. アーノルド・パーマー インビテーショナル presented by マスターカード 2000万ドル
4. ザ・メモリアルトーナメント presented by ワークデイ 2000万ドル
5. WGC-デルテクノロジーズマッチプレー 2000万ドル
6. セントリートーナメント オブ チャンピオンズ 1500万ドル
7. 追加の4大会(後日発表)各大会 2000万ドル以上の予定
B. ザ・プレーヤーズ チャンピオンシップ 2500万ドル
C. マスターズトーナメント、全米プロゴルフ選手権、全米オープンゴルフ選手権、全英オープンゴルフ選手権
D. 3つのFedExCup 大会(選手が選択可)

2. 2022-23 シーズンにおける「トッププレーヤー」の定義:
A. 現行のプレーヤー・インパクト・プログラムの上位20名であり、かつ更新版プレーヤー・インパクト・プログラムでも上位20名に入っている選手

3. プレーヤー・インパクト・プログラムの拡大
A. 2022年および2023年に向けて、20選手へ賞金付与(10名から増加)
B. 2022年および2023年の賞金総額は1億ドルに(5000万ドルから増加)
C. 2022年には、現行の基準を満たしていなくとも最新基準を満たした選手には20位の選手と同等の賞金を授与(2~3名が対象となる予定)
D. 上述の12の上位大会および選択制の3大会にすべてに参加した選手には、シーズン終了時にボーナスを授与

4. 「アーニングス・アシュアランス・プログラム」の創設
A. フルメンバーシップ保持者が対象(コーン・フェリー・ツアー以上のカテゴリーのみ)
B. 各選手50万ドルを保証(差額はツアーが補填)
C. ルーキーおよび復帰メンバーに対しては前払い
D. 15試合以上の出場が必須
E. 「プレー15」プログラムに代わって施行

5. 旅費補助制度
A. カテゴリー126-150以下の出場権のない選手が対象
B. 予選落ちごとに5000ドルを支給
C. 旅費および関連経費の補助
D. 大会予算への影響はない

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