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- イ・ボミに続きユン・チェヨンも…韓国女子ゴルファーの相次ぐ引退に見る日本ツアーとの向き合い方の変化
今季限りで日本女子ツアーからの引退を決めたイ・ボミをはじめ、ユン・チェヨンも引退を決めた。近年、日本ツアーで活躍した韓国選手の引退が相次いでいるが、そこから見えてくるものを探った。
キム・ハヌルは21年引退、アン・ソンジュは韓国に復帰
今季限りで日本女子ゴルフツアーからの引退を決めたイ・ボミ、さらに“8頭身美女ゴルファー”として人気を集めたユン・チェヨンも、今年で引退すると発表した。イ・ボミは今年35歳、ユン・チェヨンは36歳となり、現役から退いてもおかしくはない年齢だ。
![2021年伊藤園レディスで最終ラウンドで談笑するイ・ボミ(右)とユン・チェヨン 写真:Getty Images](/wp-content/uploads/2021/10/bomeelee_-Chae-youngYoon_2021itoen_GettyImages-1353153839.jpg)
イ・ボミと同い年で“スマイルクイーン”と人気を博したキム・ハヌルも2021年を最後に引退。日本で4度の賞金女王となったアン・ソンジュも出産を機に韓国に帰国し、日本ツアーに戻ることなく永久シードの権利で母国ツアーに復帰している。
ただ、日本女子ツアーは比較的、息の長い選手が多い。昨年ともに11ぶりの優勝を果たした金田久美子と藤田さいきをはじめ、今季も開幕戦から優勝争いしている上田桃子など、30代でも若手に負けない気力は十分。韓国選手の中でもイ・ボミ、キム・ハヌルと同い年の申ジエの強さは今も健在で、今季開幕戦で優勝し、40歳の全美貞も今もシード選手として奮闘している。
韓国人初の賞金女王アン・ソンジュを追うように
振り返ると、日本で“韓国旋風”の先駆けとなったのはアン・ソンジュだった。日本ツアーデビュー1年目の2010年にいきなり4勝し、韓国選手初の賞金女王となった。11、14、18年も賞金女王となり、その強さは際立っていた。その他にも李知姫や全美貞と、安定した強さを誇る選手が存在。韓国選手の強さは日本ツアーのレベルを底上げする一方、現場取材する過程で周囲から聞こえてきたのは「日本人選手に勝ってほしい」という声だった。
「日本ツアーなのだから、日本人選手に活躍してほしい」と願うファンがいて当然で、“韓国勢”に対抗するスター選手の登場が求められていた。
そんな中、賞金女王になったアン・ソンジュを追うように、11年に現れたのがイ・ボミだった。彼女の人気ぶりはゴルフファンなら説明する必要もないと思うが、“スマイルキャンディ”の愛称で笑顔のかわいらしさと親しみやすさ、そして強さも相まって日本ツアー屈指の人気選手となった。
日本人のスター選手が出ずとも、イ・ボミがツアー人気をけん引。翌12年からは、韓国でもう一人の人気選手だったキム・ハヌルも日本ツアーに参戦。さらに元世界ランキング1位の申ジエやユン・チェヨンなど、実力者が続々と来日して盛り上げた。
なぜ韓国選手は日本を目指したのか?
彼女たちはなぜ日本を目指したのか。
韓国ツアーでは体力のある20代では結果を残せるが、30代になるとなかなか勝てなくなる。若手の突き上げと競争が激しいツアーで、入れ替わりも激しい。申ジエも「米ツアーよりも韓国ツアーで勝つほうが難しい。それくらい、皆が勝ちたい意欲があり、緊張感がある」と話していた。
キム・ハヌルも「20代後半になると、もう“ベテラン”扱い。そんな声を聞くようになると、もう引退しないといけないのでは、と勝手に思ってしまう」のだという。ところが、お隣の国・日本ツアーを見ると30~40代でもシード選手が数多くいる現実を知る。
アン・ソンジュの活躍が韓国にも届き、イ・ボミも「日本ツアーの試合会場の環境の良さ、選手ファーストの大会になっているから来てみるのもありだよ」という話を先輩プレーヤーからよく耳にするようになったという。
もちろん、試合数も韓国より多く、賞金額も高い。距離も近ければ時差もない。30代でも挑戦する価値があると判断した韓国選手たちのほとんどが“日本ツアーの環境の良さ”を挙げていた。
現在の日本ツアーシード選手で一番若い29歳のペ・ソンウも「日本のゴルフ場は試合会場ですべて練習が完結するのでいいです。合宿しに来ているみたい」と笑っていた。どういう意味なのか聞いてみると、韓国ツアーの試合会場となるゴルフ場には、ショットやアプローチなどの練習場がないところも多く、選手たちは外の練習場で打ち込みをして、試合に出場するケースが多いという。
アン・ソンジュが「日本に来てから試合会場で練習する時間がたくさん確保できるので、うまくなる要素しかない」と語っていたのが印象に残っているが、ゴルフにだけ集中できるのは選手にはとてもありがたいことだろう。
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