普通の女子大生がドラコンの世界に!? 154センチで328ヤード飛ばす鈴木真緒はなぜ「ドラコンプロ」の道を歩み始めたのか？

　ドライバーの飛距離を競うドラコン競技では、身長が高い方が遠心力も大きくなるので、絶対的に有利だといわれます。ところが、JPDA女子・オープン－58kg級のチャンピオンである鈴木真緒は、なんと身長が154センチ。そんな彼女はなぜドラコンプロになったのでしょうか。

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　学生時代、就職活動をしようと思っていた矢先、新型コロナが流行したんです。授業はリモート、部活動も休止で、当然のように就職活動もできませんでした。

　そんなとき、幼馴染みの友人がドラコンをやっていると聞き、私も出て見なよと誘われたんです。ゴルフは習い事の一つとして、小学3年生から3年間ほどクラブを握った経験はありますが、もう10年近くクラブを握っていませんでした。

　ただ、ラウンドだと14本のクラブを練習する必要があるものの、ドラコンならドライバー1本練習すればいいと思い、チャレンジすることにしたんです。

　いきなりドラコン大会に出場することになり、まずはドライバーを用意しなければと思い、物置の中から古いキャディーバッグを引っ張りだしてきました。ドライバーを抜くと、なんとグリップがボロボロになっていて、これは使えないなと。

　慌てて中古ショップへドライバーを探しに行くことに。45インチぐらいのドライバーを購入しましたが、よくよく調べてみると、当時、ドラコンに出場する方は48インチぐらいのドライバーを使っているんですよね。「そんな長いクラブ、どこに売ってるの!?」と思いましたが、ネットで探すと1万円で販売しているものを見つけ、それを購入しました。

　いくら誰でも出場できるとはいえ、ドラコンのことを何も知らない私が出て上位にいけるはずもありません。大会では6球中1球でも会心の当たりが出ればいいシステムでしたが、1球もまともにヒットすることができませんでした。クラブが長かったからではありません。練習場ではしっかりミートしていたんです。ところが、いざ大会に出てみると、みなさん超ハイティーでアドレスしているではありませんか。

　遠くへ飛ばすにはそれが普通なんだと思い、早速自分も超ハイティーをぶっつけ本番で試しました。ただ、地面から10センチぐらい離れたボールなんて練習場で打てないですし、コースでも打った経験はありません。ボールはすべてテンプラとなり、あえなく私のドラコン初挑戦は失敗に終わりました。

　それでも失敗したことで逆に火がついたといいますか、ドラコンに対して面白いなと思ってしまったんです。自分なりにいろいろ調べてみるとJPDA(JAPAN Professional Dracon Association)でプロテストを行っているのを知り、思い切って受けてみました。

　テストの内容は現在と異なるかもしれませんが、私のときは、まずボールを打っている動画を3本撮ります。その際にユピテルの飛距離計測器で数値を計って、それも映した動画を送りました。確か合格ラインが女子は220ヤードのヘッドスピードが42～43メートル/秒だった気がします。あと、筆記テストがありましたね。ゴルフのルールとドラコンのルールが混ざったような内容でした。当時の飛距離は230ヤードぐらいだったかなと思いますが、なんとか合格できました。

　コロナ禍で就職活動ができなくなっていたし、ドラコンプロとしての道が開けましたが、最初は分からないことばかりで、戸惑うことも少なくありませんでした。ただ、ドラコンの世界を知れば知るほど楽しくなっていったのは間違いありません。

1999年7月11日生まれ、東京都出身。身長154センチながら、JPDA公式記録328ヤードという飛ばし屋。ゴルフは小学生時代に3年間経験したが、中学は陸上部、高校からはライフセービング部に所属。大学3年のときにJPDAのドラコンプロテストを受けて合格。数々の大会で優勝を飾ると同時に、JPDAドラコンプロタイトルマッチ「‐58キロ級」チャンピオン。