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【独自】逮捕されたプロゴルファー社長が独占告白! 入管法違反に手を染めたゴルフ場の窮状とは?【小川朗 ゴルフ現場主義!】
千葉県神崎町のゴルフ場「赤とんぼカントリークラブ」で、在留期限が切れたインドネシア人を働かせていたなどとして、プロゴルファーでゴルフ場経営者の野澤敏伸氏が出入国管理法違反などの疑いで逮捕された事件。日本プロゴルフ協会が野澤氏への懲戒処分の内容を決定しました。
日本プロゴルフ協会は2年間の会員資格停止処分を決定
ゴルフ場の人手不足。それを象徴する事件に10月20日、大きな展開がありました。千葉県神崎町のゴルフ場「赤とんぼカントリークラブ」で、在留期限が切れたインドネシア人を働かせていたなどとして、プロゴルファーでゴルフ場経営者の野澤敏伸氏が出入国管理法違反などの疑いで逮捕された事件をご記憶の方も多いはず。
野澤氏は2023年10月から24年6月までの間、自身が経営する神崎町のゴルフ場「赤とんぼカントリークラブ」で、在留期限が切れたインドネシア国籍の男ら5人を不法就労させていたと報じられました。
インドネシア国籍の男らはいずれも、15日間の短期ビザで入国後、不法に滞在したとして、24年6月までに逮捕されていました。

逮捕直後の報道では「調べに対し野澤容疑者は『人手不足解消のために必要だった』と供述した」とされていました。この件に関し、日本プロゴルフ協会(PGA)は10月20日に都内で行われた定例理事会で話し合い、懲罰委員会の答申通り同氏を2年間の会員停止処分とすることを決めました。
この決定に先立ってPGAの鹿肝直行事務局長は「外国人の不法滞在者に対する世間の目も非常に厳しいところから、懲罰諮問委員会をもとに10月の理事会で最終決定をすべきという意見が出されました。懲役1年、執行猶予3年、罰金計200万円という判決書の証明書面もいただきましたので、諮問委員会の諮問をもとに、理事会で検討することになります」と語っており、その結論が2年間の会員停止処分となったわけです。
鹿肝事務局長によれば、「(野澤会員は)『協会の決定をすべて受け入れます』と言っていた」とのことです。実際のところ、ゴルフ場経営における人材不足は、外国人に不法滞在させるほどまでに深刻だったのでしょうか。事件の真相を語ってもらおうと、筆者は野澤氏を直撃しました。
「最低賃金よりは全然上」でもコース管理に日本人は集まらない
ゴルフ場業界で通説となっているコース管理スタッフの高齢化による人材不足について質問をぶつけてみると、野澤氏からはこんな答えが返ってきました。
「うちは(ゴルフ場の)フロントとかレストランとか(の人材)は確保できている感じです。うちは(ゴルフ場内以外の)レストランとかもやっているので、(レストラン勤務の)家族持ちでも、自分で手を挙げて『ゴルフ場(のレストラン)に行きます』って言うと、たとえば(給料が)5万円上がるケースもある。でもコース管理っていうのは朝が早い。(遠方から通うのは難しいため)単身で行くことにもなるから、現地採用しか無理なんです。体力負担を補うために機械化をして相当な投資をしたにもかかわらず、人が集まらない」
ノザワワールドグループの飲食店に勤務している調理師がゴルフ場のレストランに転勤する場合、昇給制度があり、自宅から通勤の通勤も可能。しかし、コース管理業務となると始業時間が早いため、単身赴任になってしまうことから敬遠されてしまうというわけです。そこで現地採用を試みるものの、希望者がおらず、なかなか集まらない、という深刻な悩みに直面していました。
人員確保に行き詰まった結果、外国人の採用に舵を切ります。
「コース管理の人たちには、もう負担をかけたくないという思いが一番強かった。ウチがそこ(インドネシア)から連れてきたわけではないですから、最初に連れて来られた時に、紹介料などで相当大きなお金を払っています。でも1カ月2カ月で、いなくなるわけですよ」
消えてしまう外国人労働者。その原因は何だったのでしょう。待遇に問題はなかったのでしょうか。野澤氏は、警察とのこんなやり取りを明かしました。
「従業員の食事は1カ月2500円(の食費徴収)で3食食べさせて、給料は日本人と同じ分払っていました。最低賃金よりは全然上です。警察に『こんなに払ってんだったら、日本人いるでしょうよ』って言われたから『それでもいなかったんです』って言ったんですよ」
「私が罰を受けるのは当然であって、罰金も全部納めました」
好待遇でも定着しない外国人たち。「それで向こう側は、代替えを連れてくるわけです。そこでまた何十万も金を取っていく。だから、もしかすると、絵を描かれていた(画策されていた)のかもしれませんね。最初の内はビザの確認もちゃんとやっていましたが、2、3回やるうちに見逃しちゃったんです」と、不法滞在を見落とした経緯も野澤氏は明かしました。
「社員が率先してやった事例は何一つない。私が罰を受けるのは当然であって、罰金も全部納めました。息子が代表になって、株も100%渡して引退しました」と現状を明かしたうえで、PGAについても「今まで何十年って籍を置いてきたわけですが、それも一切やめる」と退会を表明しました。
しかしそれも、望み通りには行かないようです。前出の鹿肝事務局長は次のように「2年間の会員停止処分」が意味するところを説明します。
「これから懲罰書を作って送ります。(会員資格の停止処分は)それを受け取った日から2年間という定めがあります。2年間会員資格の一時停止なので、会費の納付は免れない。さらに会員倫理規定違反に今回該当したので、自主退会ができません。期間が明けないと、自主退会届を仮に出されても受理はできないんです」
退会すら認められない立場が2年続く野澤氏。入国管理法違反の代償は大きかったと言えますが、同時にはっきりしたことがあります。ゴルフ場が生き残るためには、DXによる省力化や外国人人財の発掘などを継続的に続けていくことが必要。そのためには、よほどの覚悟が必要になるということです。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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