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- クセが強いパターの握り方にはどんな効果が? ショートパットに悩む人を救う「ソーグリップ」とは
筆者の感覚にピタリとハマり、パッティングが大きく改善した「ソーグリップ」とは、一体どのような握り方で、どのような傾向があるプレーヤーに向いているのでしょうか。
“右手が悪さ”してパッティングが安定しないなら試す価値アリ!
ゴルフクラブとプレーヤーをつなぐ唯一の接点であるグリップの握り方には、実に多くのバリエーションがあり、グリップ次第でパフォーマンスも変化します。それはショットだけでなく、繊細な“タッチ”が求められるパッティングにおいて、より顕著に現れると言えます。

パターの握り方は「逆オーバーラッピンググリップ」が最も一般的ですが、同じ逆オーバーラッピングでも、右手の人差し指をピンと伸ばしたり、両手の間隔を離したりといったアレンジを加えている方も多く見られます。その他の握り方としては、「クロスハンドグリップ」や「アームロックグリップ」、「クローグリップ」などが広く知られています。
クローグリップの中には、「ソーグリップ」と呼ばれる派生形もあり、日本でも人気のあるコリン・モリカワやジャスティン・ローズらが採用しています。では、ソーグリップとはどのような握り方で、どのような傾向があるプレーヤーに向いているのでしょうか。レッスンプロの小松拓夢氏に話を聞いてみました。

「クローグリップとソーグリップは、左サイド主導でパターの軌道をコントロールしていく点や、“右手は添えるだけ”という感覚が共通しています。いずれも左手はオーソドックに握る一方、右手は特殊な握り方をします」
「クローグリップは、右手の親指、人差し指、中指の3本を使う形が一般的で、指先でつまむように握ります。ちなみにクローとは爪(Claw)の意味で、鳥やトカゲなどの鉤爪を由来としています」
「一方のソーグリップは、右手の親指の付け根あたりでグリップを挟み、その他の指は自然に伸ばして添えています。そして、ノコギリを(Saw)で木を切るようなイメージを持ちながら、ラインに対して直線的に手元を動かしていきます」
「どちらのグリップも右手の動きや力を制御しやすいため、ここぞという時に“右手が悪さ”してパッティングが安定しないと感じている方や、とくにショートパットで左右に外しがちな方は、試してみる価値があるでしょう」
距離感やラインを出しやすい“自分なりの型”を磨いていこう!
ソーグリップは、1998年に41歳でメジャー年間2勝の偉業を成し遂げた殿堂入り選手、マーク・オメーラのキャリアを復活させたことで知られました。オメーラがパッティングに苦しんでいたモリカワに「ソーグリップを試してみては?」とアドバイスしたというエピソードもあります。
レベルは全く違いますが、筆者もパッティングに悩んだ時期があり、とくに1.5メートル以内の「確実に入れておきたい」と考えるショートパットで苦手意識が生まれていました。そして、いろいろと試行錯誤するなか、ふとソーグリップを試してみると、これがピタリとハマったのです。
ソーグリップを採り入れたことで、ストローク中のヘッドの安定感が飛躍的に向上し、ラインもタッチも出しやすくなり、どんな状況下であっても自信を持って転がしていけるようになりました。それ以前まではストローク前に“嫌な予感”が頭をよぎっていたのですが、今ではパッティングが“楽しい”と思える心理状態になっています。
また、ストロークに自信が持てなかったゆえに打ち方ばかりを気にして、肝心の距離感やラインに乗せる意識がおろそかになっていたのでは、と自己分析しています。
小松プロにこの経験を話すと、「ショートパットは確実に入れておきたいところですが、プロでも外すときは外すので、アマチュアはクヨクヨ悩みすぎないことが肝心です。あまり悩みすぎると、面倒なイップスにもなりかねません。結果にこだわりすぎず、カップにボールを入れる“ゲーム”と思って、パッティングを楽しんでいけば良いと思いますよ」という言葉をくれました。
また、よくいわれる“パターに型なし”という言葉に対しては、以下のように見解を示します。
「パターの握り方は千差万別で、また同じように見えたとしても、ひとりひとり感覚が異なったりもします。そのため、型にこだわりすぎず、距離感やラインを出しやすい感覚を重視した、“自分なりの型”を磨いていくことをオススメします」
「その一方、下半身はどっしり構えて動かさない、上半身はリラックス、体幹を使いながら肩でストロークするといったパターの“基本”は、しっかりと押さえておきましょう」
「ちなみに私はパターの握り方をわりと変える方で、現在は合掌するように手のひらを合わせて握る『プレーヤーグリップ(Prayer grip)』の派生形のような、特殊な握り方を採り入れています。このグリップでは左手を中心に握りつつ、右手は左手全体を覆うようにかぶせるので、外からはひとつの拳のように見えるかもしれません」
「他のグリップと共通しているのは、ストロークの主軸を左手に置きつつ、右手の余計な動きを制限している点です」
もしもパターが思うように打てないとか、最近なんだか不調……などと感じているのであれば、筆者のように普段とは違う握り方を試してみると、新しい感覚や発見と出会えるかもしれません。また、たとえ本番では採り入れないとしても、他の握り方を試したことで、普段の握り方がより“しっくり”来たなんていう副次的な効果も期待できます。
“型なし”と言われるパターでは、基本をしっかりと押さえた上で、“自分なりの型”を磨いていくことが重要といえそうです。
文/のぐち まさひろ
ゴルフとサウナと愛犬のチョコをこよなく愛するライター&ディレクター。20年ほど従事したクルマ系メディアの編集者からフリーランスになり、これから何をしていこうか色々と妄想中。国内A級ライセンス/SAJスキー検定1級/サウナスパ健康アドバイザー所持。ホームコースは「南総カントリークラブ」で、オフィシャルハンデは「7.7」。
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