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- インバウンドで観光地はどこも激混みだけど…ゴルフ場にも「オーバーツーリズム」の波は押し寄せている?“現場のリアルな声”を聞いてみた
観光地での混雑やマナー問題を引き起こす「オーバーツーリズム」は、ここ数年で社会的関心の高いテーマとなっています。富士山周辺や京都など、観光客の増加が地元住民の生活に影響を与える例も報じられていますが、ゴルフ場の現場ではどうなのでしょうか。
ゴルフ場では「観光公害」というほど酷い状況ではない
近年、日本国内の観光地では国内外を問わず多くの人が訪れており、マナー問題や環境負荷の増大など、「オーバーツーリズム」の問題が懸念されています。
こうした“観光公害”の動きは、静かな時間を楽しむゴルフ場にも波及しているのでしょうか。ゴルフ場経営コンサルティング飯島敏郎氏は次のように話します。
「京都などでは観光客増加の影響で、地元民にとって深刻な問題が多く発生していると耳にします」
「関東だと富士山周辺は外国人に大人気の観光地で、河口湖や本栖湖などに点在する富士山が見えるようなゴルフ場では観光公害が起こっているのか、気になる方は多いでしょう」

「しかし実際は、コロナ前後でもそこまで大きな変化はなく、公害と呼ぶほど酷い状況ではありません。というのも、観光地のように話題性のある出来事が少なく、周囲が『気づいていない』だけなのです」
「ただし過去には文化の違いから、インバウンド客と日本の客の間で揉め事が起こりそうになったこともありました。たとえば中国の方々は文化的に会話のトーンが強く、周囲からはケンカをしているように見えてしまうことがあったのです」
「このようなカルチャーや文化の違いで、インバウンド客を受け入れることに対してメンバーから不満の声が上がることもあり、互いの意見の擦り合わせは難しいところです」
インバウンド客を“ノンプレー”の形で呼び込む動きも
一方で、ゴルフ場側も新しい観光需要を積極的に模索しています。飯島さんは次のように話します。
「コロナ前後から、ゴルフ場にインバウンド客を“ノンプレー”の形で呼び込む動きがありました。とくに富士山周辺のゴルフ場では、『富士山と食事を楽しむ』というプランを計画し、誘致しようという動きが一部であります。これが認知されると、富士山の景色を求めてゴルフ場に来日する観光客が増えるでしょう」
このようにクラブハウスでの食事や、芝の景観を眺めながらの撮影、あるいは併設の宿泊施設や温泉を目的とした利用など、プレー以外の過ごし方が注目されつつあります。
また、過去には茨城県で、興味深い訪日観光客の集客の事例がありました。
ある年の茨城県内114コースの入場者は555万9368人でしたが、その翌年は559万6909人と約4万人近く増加していたのです(都道府県別ゴルフ場来場者調査=日本ゴルフ場経営者協会調べ)。
その理由は、茨城県がインバウンド戦略として、韓国から来るゴルファーに注目し、積極的に呼び込んでいったからです。韓国ではゴルフ場の数も少なくプレー料金も高く、飛行機に乗って日本に来た方が断然安いため、観光客が増加しています。その結果、茨城県のインバウンドを狙った呼び込みがうまくいったのです。
しかし、ある県ではゴルフ場に訪日観光客が増えたことで、いくつか問題があったと飯島さんは話します。
「コロナ前は日本のゴルフ場の来場者が減少したため、インバウンドに矛先を向けて集客を計りました」
「とくに三重県では外国人のツーリズムに積極的に力を入れていたものの、観光客が日本のゴルフ場のマナーに適応できず問題になっていたのです」
「たとえばラウンドのペースがとても遅かったり、前の組に何度も打ち込んだり、バンカーの砂をそのまま放置したりするなど、かなりのトラブルが発生しました」
「ゴルフ以外の観光は『オーバーツーリズム』と言われるほどの盛り上がりを見せていますが、ゴルフ場はまだ訪日観光客の比率が低いです。日本人による日本のゴルフ場の利用者は減少傾向ですが、アジア系からの観光客が少しづつ増えています」
「とはいえ、他の観光業と比べると割合は低いままで、訪日観光客を増やしていくには課題が多く残っているのが現状です」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
観光公害が話題となる中、ゴルフ場はまだいくらか“静かな場所”であり続けているようです。しかし、グローバル化が進み観光業全体が拡大するなかで、ゴルフ場にも新たな観光需要が生まれつつあります。
静けさと開放感、そして文化としての品格を保ちながら、ゴルフがどのように観光業と共存していくのか、その行方に注目が集まります。
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