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- 大会最年長Vの申ジエと“敗者”藤田さいき それぞれが見せた「リスペクトの精神」
首位と2打差の2位から出た申ジエ(しん・じえ)が通算7アンダーで並んだ藤田さいき(ふじた・さいき)とのプレーオフを制して、逆転優勝した。
7年ぶりのメジャー制覇
◆国内女子プロゴルフ 第8戦&メジャー第1戦
ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 5月8~11日 茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県) 6675ヤード・パー72
首位と2打差の2位から出た申ジエ(韓国)が通算7アンダーで並んだ藤田さいきとのプレーオフを制して、逆転優勝した。

18番パー5で行われたプレーオフでは、ピンまで75ヤードの3打目を54度で30センチにつけるスーパーショット。難なくバーディーを奪って勝負を決めた。この日は正規の18ホールでノーバーディー、1ボギー。この日初めてのバーディーでもあった。
「バーディーがなかったので悔しい気持ちはずっとあった。プレーオフの3打目が良かったのは確かですが、私の中ではセカンドショットを4番のハイブリッドで打ったショットが勝利の決め手となったと思います」
落としどころにしっかりとつけてチャンスメークするショット力と集中力の高さが勝敗を分けた。
37歳の申にとって、2023年「アース・モンダミンカップ」以来の勝利。そして2018年大会(西コース)以来、7年ぶりのメジャー制覇は記録尽くしとなった。13年の茂木宏美の36歳17日を上回る大会史上最年長優勝、東西コース制覇、生涯獲得賞金では史上初の14億円超えも達成した。さらに日本ツアーは通算29勝で、永久シード獲得まで残り1勝に迫った。
永久シードまで残り1勝も「変わらない」
こうした数々の記録については、ほとんど意識したことがない。取材陣から“記録”について必ず質問が飛ぶが、申ジエは改めてこう答えた。
「本当に今までがんばってきたことに対しての記録なので、周りの皆さんのおかげでこんなにいい大会があり、私たちがプレーできる環境がすごく良かったから記録が生まれたと思います」
永久シードまで1勝に迫ったことにも、「残り1勝もいつもと変わらない。次に優勝しても1年間、頑張ってきたなかの勝利と同じと私は考えています」と語る。
37歳。どこまで勝ち進み、一体どこへ向かっているのか。自分の人生を山に例えながら、こう表現した。
「ゴルフ人生を山に例えてよく話をするのですが、登る時でも小さな上りや下りがあたりします。勝ったからと上がっているわけではなくて、今は坂を下っている中での優勝だと思います。人生の計画においては、今やっているゴルフの坂を最後までちゃんとおり切ることが大事だと思っています」
いつか年齢に勝てない時がやってくるのは重々承知。それでもゆっくりと1日でも長くゴルフを続けるための努力をこれからも惜しまず続けていくという。
「藤田さんと回るのがとても好き」
そして、最後は満身創痍の中で戦い抜いた藤田さいきへの称賛も忘れなかった。
「私は藤田さんと回るのがとても好きです。明るくていつもいろんな話をします。試合もとても集中していて、体調が悪い中でもコースの中でたくさん考えてプレーしている姿を見て、私も勇気をもらいました。スコアを落としても必死に粘り強くプレーしていたから、自分も頑張らなきゃいけないと」
ホールアウト後に救急車で病院に搬送された藤田は、体調の回復後に会場に戻ってメディア対応した。藤田は「もうちょっとちゃんと肩をたたいて、おめでとうとかちゃんとやりたかったんですけれど……。申し訳ない気持ちでいっぱいです」と涙が止まらなかった。
30代のベテラン2人が見せてくれたリスペクトの精神――。まさにスポーツが持つ力の大きさを感じたメジャーの舞台だった。
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