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- 櫻井心那が“不調と迷走”を乗り越えつかんだ復活V 優勝で“初めて泣いた”ワケ「また時間が動き出した」
21歳の櫻井心那が「CAT Ladies」で涙の2年ぶりツアー通算5勝目を飾った。
苦しかった2024年シーズン
◆国内女子プロゴルフ
CAT Ladies 8月22〜24日 大箱根カントリークラブ(神奈川県) 6652ヤード・パー72
21歳の櫻井心那が一時は6人が首位に並んだ大混戦を制し、ツアー通算5勝目を手にした。

最終日を首位から出た櫻井は前半2バーディー、2ボギーと苦しい展開。後半も15番パー5までパーでしのぎ、16番パー4では3パットのボギー。この時点で8アンダーが6人(4人はホールアウト済み)が並ぶ大混戦となった。
勝負は18番パー5。「もうここで決めるしかない」。そう覚悟を決めてはなった渾身のドライバーショットは「3日間で一番飛んでいた」。その距離は約270ヤード。
「ここがバーディーじゃなければプレーオフにいってしまうのは分かっていましたし、(キャディーの吉田)弓美子さんからも『早く帰りたいから』って圧をかけられていました(笑)」
今大会、櫻井のキャディーを務めたのはツアー7勝の吉田。櫻井は2打目をグリーン周りのバンカーに入れたが、「うまいんだからできるよ」と背中を押された。
3打目のバンカーショットはピン側50センチにつける会心の一打。同組で8アンダーで並んでいた木戸愛が3メートルのバーディーパットを外してパー。最後は櫻井がウィニングパットを沈めてガッツポーズで喜びを爆発させた。
「肩の荷がおりましたし、ホッとしました。苦しい状況を乗り越えたという達成感やいろんな感情が入り混じって…。一気に開放されました」
涙を流す姿も見られたが、意外にも優勝して泣いたのは今回が初めてだという。
「うれし涙なのですが、あふれちゃいました。全然泣くつもりはなかったんですけど、初優勝の時も泣いてない。優勝して泣いたのは初めてです」
苦しかったのは未勝利のまま終わった2024年。とはいえ年間ポイントランキング28位でシードこそ獲得したものの、予選落ちは12試合と不調の波を引きずった。
「海外挑戦するなら時間がない。焦りや不安もあった」
プロ1年目の2022年は下部のステップ・アップ・ツアーで5勝して賞金ランキング1位になると、23年はレギュラーツアーで4勝。瞬く間にトッププロへの階段を駆け上がった。
「勝っていたときは何も考えなくてもスコアが出てうまくいっていた。もちろんシーズン前も自分にも期待していたし、周りからの期待もあった。準備はたくさんしていていました」
24年シーズンが始まり「スイングがおかしくなった」のは開幕3戦目の「Vポイント×ENEOS」からだった。以降は迷走が続いた。
「色々と試した年でした。クラブやシャフトも色々と試してごちゃごちゃになって。スイングも整理できていなかった。得意なパターも入らなかった。パターもいじりはじめて中尺を使ったりもしましたから」
さらに持ち球をフェードからドローに“無理矢理”に変えた。
「とりあえず球をつかまえないといけないと思って、去年の『宮里藍サントリーレディス』からドローに変えました。ドローにしないといけないくらいどうしようもない状態だった」と振り返る。ただ、24年はメジャーの「ソニー日本女子プロゴルフ選手権」で6位タイに入るなど結果が安定したことで、再びフェードに戻した。昨秋から目澤秀憲コーチに見てもらうことで、スイングも安定してきたという。
そして、「ニトリレディスは所属の試合ですし、あとはやっぱりメジャーで勝ちたい。今週の難しいセッティングで勝てたのは自信になりました」と、これまであいまいだった目標も、勝ったことで明確になった。
去年までは海外挑戦するなら時間がないと思っていたという櫻井。「焦りや不安もあった」と正直に吐露した。「もっとやらなきゃいけないし、経験しないといけないこともたくさん。もっとうまくなんなきゃって」。
そして一言。「また時間が動き出した感じはあります」。メジャー優勝への貪欲さも海外挑戦への思いも―― 止まっていた時計の針がようやく動き出した。
櫻井 心那(さくらい・ここな)
2004年2月13日生まれ、長崎県出身。21年11月のプロテストに合格。JLPGA94期生。22年はステップ・アップ・ツアーを主戦場とし、下部ツアー年間最多記録となる5勝を挙げた。23年は「資生堂レディス」でJLPGAツアー初優勝を飾ると、10代で通算4勝を挙げる史上3人目の快挙を達成した。25年「CAT Ladies」で2年ぶり5勝目を飾った。
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