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「私たち、中堅より上?」同学年ライバルに囲まれた木村彩子 4打差圧勝で見せた“余裕の”ガッツポーズ 会見で拍手が起きた理由
木村彩子(きむら・あやこ)が通算12アンダーで圧勝した。初日44位タイからの逆転劇に、18番ではカメラマンを確認して両手を挙げる余裕のガッツポーズ。自然体で臨む姿勢とライバルとの刺激が、勝利につながった。
優勝シーンのガッツポーズは、カメラマンの位置を確認してのものだった!?
◆国内女子プロゴルフ
富士通レディース 10月17~19日 東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県) 6697ヤード・パー72
混戦に見えた優勝争いを抜け出した木村彩子が、通算12アンダーで4打差の圧勝を飾った。18番グリーンでは「余裕があったので、カメラマンさんがどこにいるか確認して両手を挙げました」と、少し照れ笑いを浮かべた。その瞬間、インタビュー横で作業していたカメラマンたちから拍手が起こるという、異例のシーンとなった。

とはいえ、余裕が生まれたのは本当に最後の瞬間だけ。2022年「アース・モンダミンカップ」での初優勝から3年。今季は開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」で2位タイ発進後、26試合でトップ10入り8回と安定していたが、遠かった2勝目をようやくつかんだ。
「ショットはずっといいのにパットが入らない」と、今大会も初日は44位タイと出遅れた。ホールアウト後、南秀樹コーチとの電話相談は30分近くに及んだという。
「パットの動画をいくつか送って、それを見ながら話してもらいました。『フォロースルーを長く取る』というのがよかったんです」。ビデオ通話ではなく電話でも指導が成り立つのは、日頃から密にコミュニケーションを取っているからこそだ。
コーチの拠点は香川。木村自身もそこに拠点を置いて久しく、「なるべく香川に帰るようにしています」と話す。その言葉からも、香川での練習を大切にしている姿勢が伝わってくる。
一時は「もう勝てる選手じゃないのかな」と思ったこともある。初優勝が逆転だったこともあり、「競って勝てるのか自信がなくなった」と明かす。
「すぐ緊張してしまうタイプなんです」と苦笑い。前夜は目が冴えて眠れず、仕方なく“優勝スピーチのシミュレーション”を始めたという。
44位から首位タイに浮上した前日、木村は「同学年に今年、好調な選手が多い」と話していた。永峰咲希(資生堂・JALレディス)、柏原明日架(NEC軽井沢)、金澤志奈(日本女子プロ選手権)、堀琴音(日本女子オープン)。堀の祝勝会にも参加し、大きな刺激を受けたという。
眠れぬ夜に考えたスピーチには、その友人でありライバルたちへの思いを込めた。
スタート後も緊張は続いたが、好調なショットは安定していた。攻めるホールと守るホールをしっかり区別するマネジメントを徹底し、リズムを崩さなかった。序盤は最終組の渡邉彩香、高橋彩華にリードを許したものの、自分のゴルフを貫いてスコアを伸ばし、やがて首位に立って独走。最後は余裕のガッツポーズ、そしてシミュレーション通りの優勝スピーチで締めくくった。
1995年度生まれによる今季5勝目。18番での祝福には、永峰と柏原の姿もあった。若手が次々と台頭するなかで「ヤバくない?」「私たち、中堅より上になっちゃった?」と話し合うというが、雰囲気は以前と変わらない。
「私が一番末っ子っぽいです。カッコつけるのは自分に合ってないから、プライベートの延長みたいに楽しくラウンドしたい。自然体でいたいという気持ちが、ゴルフにも出ているかもしれません」と笑う。
将来の目標を問われると、「勝ち数を重ねられる選手、息の長い選手になりたい」と申ジエ、青木瀬令奈、菊池絵里香の名前を挙げた。
開幕前は「1勝」を目標にしていたが、それを達成した今、次のステージを見据える。「メジャーチャンピオンになりたいので、『リコー(JLPGAツアー選手権リコーカップ)』も意識したいです」。
自然体のまま放ったその言葉に、充実感と次への意欲がにじんでいた。ーー終盤戦の台風の目になるかもしれない。
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