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超名門・廣野GC内の「JGAゴルフミュージアム」が年内閉館も移転先は決まらず… 資金調達も難航し“お宝2000点”が宙に浮く!?
日本ゴルフ協会(JGA)が名門・廣野ゴルフ倶楽部(兵庫)内に設置し、運営管理をしていたJGAゴルフミュージアムの一般公開を今年いっぱいで終了。所蔵品の新たな保存・展示先の検討に入ることを10月8日に発表しました。しかし、貴重な所蔵品2000点の行き先はいまだ決まっていません。
筆者が頻繁に訪れていた2020年は年間入場者が339人
都市部から離れている上に敷居が高く、来場者は少ない年で年間300人余。閑古鳥が鳴いていた“ゴルフ博物館”の移転問題がようやく動き出しました。
日本ゴルフ協会(JGA)が名門・廣野ゴルフ倶楽部(兵庫)内に設置し、運営管理をしていたJGAゴルフミュージアムの一般公開を今年いっぱいで終了。所蔵品の新たな保存・展示先の検討に入ることを10月8日に発表しました。

同ミュージアムが加盟倶楽部や一般ゴルファーからの募金や寄付金を設立資金に充当。廣野ゴルフ倶楽部の協力も得て開館したのは、43年前の1982年5月21日。近年は施設の老朽化が進行し、所蔵品を最適な形で保管することも難しくなってきていました。
コースから見てクラブハウスの左側、瀟洒な2階建ての館内には伝説のグランドスラマー、ジーン・サラゼンのクラブやスコットランドのマッセルバラやセントアンドリュースで200年以上も前に使われていた「ロングスプーン」など、世界的にも貴重な所蔵品約2000点が展示されています。
日本のゴルフ文化としては宮本留吉のゴルフ工房を再現したコーナーや世界殿堂入りしている樋口久子、岡本綾子、尾崎将司、青木功の使用したゴルフ用具や、アマチュアゴルフ界のレジェンド中部銀次郎の愛用品など、近代ゴルフの展示品も豊富です。
書庫には世界のコレクターからも垂涎の的となっていた「西村貫一コレクション」、各ゴルフ場の周年誌や日本のゴルフ草創期に創刊された雑誌『ゴルフドム』など、ゴルフ史を知る上で重要な資料が所蔵されています。
まさに「宝の山」と言えるのですが、年間5カ月(1~3月、7~8月)もクローズ。筆者が雑誌連載の下調べのために頻繁に訪れていた2020年は1年間の総入場者数が339人。神戸電鉄粟生線・広野ゴルフ場前駅のホームからクラブハウスが見えるほど目と鼻の先にあるとはいえ、神戸市内から気軽に出かけられる距離とはいえず、また名門ゴルフ場の敷地内にあるため、敷居の高さも感じます。入場料は200円とリーズナブルながら、積極的に宣伝告知がなされておらず事前予約が必要なことも、入場者の伸び悩みにつながっていた感は否めません。
“塩漬け状態”になっているお宝を劣化から守るためには館内の温度・湿度を一定に保つ必要もありました。JGAの山中博史専務執行役が、その危機的状況をこう明かします。「家賃とか修繕費、維持費で(年間)700万から900万くらいかかっています」。それだけの維持コストが必要なのに、入場料収入すら見込めない現実に直面していたわけです。
協力金を徴収する場合、プレーヤーからもゴルフ場からも反発は必至
そうした危機的局面打開に向け、JGAも手をこまねいていたわけではありません。今年の4月1日からは「日本プロゴルフ殿堂」が発展解消する形でJGAの「日本ゴルフ殿堂」へと継承されました。同ミュージアムに「殿堂博物館」としての要素がプラスされたことで、廣野GCからの移転が現実味を帯びてきたわけです。

すでにミュージアム参与の武居振一氏と学芸員でもある井手口香氏、宮井善一氏が現地入りして、優先的に残すべきものと、破棄が可能な展示資料を選別中。閉館に向けての作業が本格化しています。
しかし、問題となるのが新たな移転先。この後の移転先が決まっていないどころか、行き先が決まらなかった場合の一時的な保管場所も未定だというのです。
前出の山中専務執行役も「まだ具体的には何も言える状況ではないんです。12月で(ゴルフミュージアムを)閉めるにあたって、保管するものと保管しないものを分ける処理をしている段階なので」と現状を明かします。
保管場所に困るのであれば、移動ミュージアムやデパートなどでの企画展なども可能だと思われますが「そういう案もあるんですけど、移動ミュージアムをやるにしても、資金計画を立てなきゃいけないので」と、ここでも出てくる資金面の問題について頭を悩ませている様子でした。
3月にこのコラムでJGA関係者から出たプレーヤーから50円から100円の協力金を集め、ミュージアムの設立資金を充てるプランを報じましたが、徴収する側のゴルフ場やゴルファーからの反発は必至の状況で、そう簡単にはいかないようです。
日本で最も多い33のゴルフ場を有する千葉県市原市や、2番目の25コースがあり、現ミュージアムの所在地でもある兵庫県三木市など、関係者から上がった候補地の周辺を取材してお伝えしてきましたが、最終決定には至っていません。12月には閉場に伴うイベントも計画されているようですが年末に向けて、資金面の問題解消に向けての取り組みと候補地探しが並行して続くことになりそうです。
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