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- 【連載コラム】「MODUS3」の誕生から共に歩んだ男… 全6モデルへの思い入れを日本シャフトの担当者と振り返る<PR>
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2010年12月に日本シャフトから産声を上げた「N.S.PRO MODUS3」シリーズが2025年、15周年を迎えます。現在、ツアープロはもちろん、多くのアマチュアゴルファーにも愛用され、アイアンシャフトの代表格となっていますが、誕生当時から順風満帆だったわけではありません。今回は同社でマーケティングを担当する栗原一郎氏に「N.S.PRO MODUS3」が歩んだ道を振り返ってもらいました。
「順風満帆ではなかった」デビューから1000万本超のシャフトに
日本シャフトの「N.S.PRO MODUS3」シリーズが2025年、誕生から15周年を迎えます。国内外のツアーで400勝以上に貢献(同社調べ)し、アマチュアも含めてアイアンシャフトの代表格となっていますが、デビュー当初から順風満帆だったわけではありません。
社内では、そもそも初代の「N.S.PRO MODUS3 TOUR120」を発売するのかどうかを巡り、意見が飛び交い、否定的な声もあったといいます。今回は、当時からプロモーションを担当する栗原一郎氏に「N.S.PRO MODUS3」の歴史を振り返ってもらいました。
![「N.S.PRO MODUS3」誕生時からプロモーションを担当してきた栗原一郎氏。その歴史と思い入れを語ってくれた[写真:角田慎太郎]](/wp-content/uploads/2025/05/NS_1_025_250507.jpg)
2010年の発売以来、「N.S.PRO MODUS3」シリーズの累計販売本数は1000万本を突破(同社調べ)しています。
「2016年に200万本を突破した時はうれしくて、メディアの皆さんを駒ヶ根工場(長野県駒ヶ根市)に招待して、取材してもらいました。メディアを通じてゴルファーの皆さんに、『N.S.PRO MODUS3』がどんな所で作られているのか知ってもらいたかったんです」(栗原氏)
誕生からの6年で販売数200万本だったものが、以降は大幅にペースアップ。それまでの倍以上のペースで、販売実績を積み重ねてきました。
「PGAツアーで使われるシャフト」開発を目指す
![歴代の「N.S.PRO MODUS3」シリーズ。「TOUR120」の開発当初は社内でさまざまな意見が飛び交ったという[写真:角田慎太郎]](/wp-content/uploads/2025/05/NS_1_014_250507.jpg)
日本シャフトが「N.S.PRO MODUS3」シリーズの開発に着手したのは2008年のこと。米国でのさらなる販路拡大を目指したことが背景にあります。
栗原氏は当時の状況について以下のように話します。
![「N.S.PRO MODUS3」誕生当時について語る栗原氏。中には苦い思いをしたこともあったと言う[写真:角田慎太郎]](/wp-content/uploads/2025/05/NS_1_012_250507.jpg)
「当時の日本シャフトの看板商品は『N.S.PRO 950GH』。ところが、米国では『950はシニア向け』と評価され、メインにはなり得ませんでした。当時の営業部長がクラブメーカーから『PGA(米国)ツアーの選手が誰も使っていないブランドをどうやって売るんだよ!』とかなり厳しく言われてしまいました」
PGAツアーで使われなければ、米国市場では戦えない。この現実が、新シリーズ「N.S.PRO MODUS3」開発の出発点となりました。
シリーズ名が「MODUS3」になった際の裏話
とはいえ、PGAの選手がどんなシャフトを好むのかは社内で誰も知りません。日本のプロよりパワーがあるからと、重くて硬いシャフトを大量に作ってツアー会場に届けたものの、すべて送り返されてしまったそうです。
ここから日本シャフトは、現地で契約した経験豊富なツアーレップ(プロのツアーに帯同して選手をサポートするゴルフメーカーのスタッフ)を通じて選手たちの嗜好(しこう)を学んでいくことになります。それは日本の選手とは大きく異なるものでした。

「日本のプロは自分が今使っているものとスペックがほぼ同じで、『少し球が上がる』といったメリットをもたらす製品を好みます。一方、PGAの選手は自分が目指す球筋が打てれば、フィーリングやスペックの変化を気にしません」
「ツアーレップからはシャフトの特性について細かなリクエストもありました。そうして生まれたのが後に『TOUR120』となるプロトタイプです。シャフトの中間は“950”と同じぐらいやわらかくて、先端は非常に硬い。それまでの常識で考えれば異様なシャフトでした。社内では『こんなの売れるわけないよ』『契約する人を間違えたんじゃないの』なんて声が飛び交っていました」(栗原氏)
そんな反応とは裏腹に、PGAツアーでは選手たちが徐々に使用を開始。それに合わせて社内でも一般販売が検討され始めます。しかし、マーケティング担当の栗原さんは悩みました。
![ユーモアも織り交ぜながら「TOUR120」について語る栗原氏[写真:角田慎太郎]](/wp-content/uploads/2025/05/NS_1_003_250507.jpg)
「手元に十数人の使用者リストがあったのですが、私が知っている選手は一人しかいませんでした。その一人はメジャー優勝の経験もあるビッグネームでしたが、独特なスイングの持ち主です。『あのスイングに合うシャフトじゃ、プロモーションにならない…』。まったく未来像を描けませんでした」(栗原氏)
それでもプロジェクトは進んでいきます。新たな名称、「MODUS」はラテン語で「要素」のこと。「弾道」「距離」「方向性」の3要素を3次元的にコントロールするという意味を込め、ブランド名は「MODUS3」に決定しました。
「モーダスの3乗じゃないですか。いろんな人から『もう出すの?』『モーダス参上』なんていじられましたよ(笑)」(栗原氏)
すぐに大ヒットとはいきませんでしたが、発売から1年でテーラーメイドやブリヂストン、タイトリストといった大手クラブメーカーの純正シャフトに採用され、栗原さんも手応えを感じ始めます。
「TOUR105」の成功から「N.S.PRO MODUS3」の快進撃が始まる
2013年には続いて「TOUR130」を発売します。クラブメーカーが、PGAツアーで戦う、ある有名プロゴルファーの名前を挙げて、相談してきたといいます。
「『彼に合うシャフトが作れるか』と打診を受けて開発したモデルです。高弾道、低スピンがリクエストであり、それがこのシャフトの特徴です」
「厳しいコンディションでプレーするPGA選手から低スピンが求められるというのは想定していませんでした。彼らは高さで(狙った位置にボールを)止められるので、一定以上にスピンがかかって戻り過ぎることの方が嫌なんだと思います。われわれはここでスピンコントロールの重要性を学びました」(栗原氏)
さらに2014年には「SYSTEM 3 TOUR125」が登場します。「SYSTEM3」は本来、N.S.PRO MODUS3のプロトタイプのコードネームです。
「なぜか『SYSTEM3』の名が広まってしまい、『N.S.PRO MODUS3よりSYSTEM3を発売してほしい』という声が多かったので、このネーミングになりました。日本ツアーでは現在も『N.S.PRO MODUS3』シリーズ使用者の7割以上が『SYSTEM 3 TOUR125』を使用しています」(栗原氏)
![日本ツアーでは現在も「N.S.PRO MODUS3」使用者の7割以上が「SYSTEM 3 TOUR125」を使用している(2014年発売)[写真:角田慎太郎]](/wp-content/uploads/2025/05/NS_1_022_250507.jpg)
2015年発売の「TOUR105」は、日本の一般アマチュアでも振り切れるシリーズ最軽量モデルとして大ヒットしました。
「PGAツアーでは早い段階から展開しており、国内販売のタイミングを探っていました。当時はドライバーのシャフトが軽くて硬いモデルがトレンドになっており、それに合わせてアイアンでもブームを起こそうと戦略を立てました」(栗原氏)
「TOUR105」の成功から「N.S.PRO MODUS3」の快進撃が始まります。2016年の「全英オープン」(使用モデル:TOUR120)、2017年の「マスターズ」(使用モデル:TOUR130)と、「N.S.PRO MODUS3」使用選手が立て続けにメジャーを制覇。この2年間は、国内男子ツアーの賞金王も「N.S.PRO MODUS3」を使用していました。
「TOUR110」からは勝ちにこだわった「武士」をキービジュアルに
2022年には「TOUR115」が加わります。
「これまでは誰かのリクエストを形にしてきましたが、『TOUR115』はこれからのツアーモデルをわれわれが提案したものです。コロナ禍でツアー選手の声や有識者の反応を集められなかったこともあり、プロモーションでは(ツアーモデルの新基準の提案という)その事実を前面に打ち出しました」(栗原氏)
受け身の開発から能動的な開発にシフトした、“シリーズの転換点”ともいえるモデルです。
そして2025年3月発売の「TOUR110」では、積極的な姿勢がさらに強まりました。
![2010年に誕生した「N.S.PRO MODUS3」シリーズ。6モデルのアイアンシャフトを展開している[写真:角田慎太郎]](/wp-content/uploads/2025/05/NS_1_015_250507.jpg)
「『TOUR115』までのモデルは剣道の面をキービジュアルとして、メード・イン・ジャパンと同時に、勝ち負けよりも己の技術を磨くことを美徳とする武道の精神を強調してきました。一方、「TOUR110』のキービジュアルはよろいかぶと。武士は戦に勝たなければいけない。『N.S.PRO MODUS3は勝負に出ます、勝ちにこだわっていきます』というアピールです」(栗原氏)
栗原さん自身は現在「TOUR110」を使用しているといいます。
「『最新モデルだからでしょ』と思われそうですが、そうではありません。これまで(2014年発売の)『SYSTEM 3 TOUR125』を使用していたのですが、2024年の米国出張の際、現地のツアーレップに『なんでそんなに打ち急ぐんだ』と強制的にシャフトを(TOUR110に)交換されたんです。それで一気にゴルフが変わったし、2日連続でゴルフをしても疲れなくなりました。自分に合ったシャフトを使うことの大切さを今更ながら思い知らされ、これをもっと伝えていかなくてはならないと感じています」(栗原氏)
硬くて重いシャフトをしならせようと無理している、というのがツアーレップの指摘だったようです。
今後の「N.S.PRO MODUS3」の展開について、栗原さんは以下のように話します。
「まだ次のコンセプトは模索中ですが、2028年にボールの規制が入るので、それに合わせてクラブが変わり、スイングが変わり、求められるシャフトも変わるので、新たな答えも見えてくるはずです」
当初のもくろみ通り、今や米国市場でも幅広く受け入れられている「N.S.PRO MODUS3」シリーズですが、20周年、30周年に向けて、まだまだ進化は止まりません。これからも新たな個性を持ったモデルが登場していくでしょう。