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「減税減税」言ってた議員さん方 ゴルフ場利用税には触れてもくれないのね… 廃止が無理ならゴルファーのために使ってよ/木村和久『ゴルフ=レジャー宣言』
今般の参議院選挙では「減税」を訴える政党が躍進しましたが、何十年も言ってる「ゴルフ場利用税廃止」は? 「ゴルフはスポーツか? それともレジャーか?」……ゴルフを筆頭に、平成~令和の日本を縦横無尽に遊び尽くしてきたコラムニストの木村和久氏が、浅いのか深いのかよく分からないこの問いを考察していきます。
今が見直しのチャンス!? ゴルフ場利用税のあり方を考える
皆さん「ゴルフ場利用税」をご存じでしょうか。ゴルフを始めたばかりで全く知らない方もいると思うので、順序だてて説明したいと思います。

日本のゴルフ場でプレーをすると、ゲストは自動的に800円(標準税率)前後のゴルフ場利用税を徴収される仕組みになっています。そうなると、ゲストは消費税を払い、さらにゴルフ場利用税も払うから、二重課税になると言われています。
今回の参議院選挙の争点は物価高対策で、減税か給付金かで与野党が争いましたよね。一応ゴルフ場利用税も減税の議題に入れても良いと思うのですが。
けどゴルフ場利用税の見直しや廃止を唱える候補者は、私の知る限りゼロでした。誰かこれに気づいてほしいな~。
それでは、アマチュアゴルファーは日頃ゴルフ場利用税と、どう関わっているのか?
まず自分のことを語ります。実は65歳を過ぎているので都道府県によっては減免制度があり、ゴルフ場利用税は1ラウンド500円ほど払っています。それでもラウンド数を掛けると年間で1万円以上は納税している計算になります。チリも積もれば山で、バカにできない金額です。日本全体のゴルフ場利用税の総額は500億円になると言われています。
そこでゴルフ場利用税見直し&廃止を大々的に掲げ、誰かが立候補すればよろしいのです。日本のゴルフ人口500万人が味方に付き、新興勢力と組めば、比例区で当選する確率は高いのではないでしょうか。
志のある方、次の国政選挙で立候補してください。勝算は十分あると思います。今からその勝算の根拠を述べますので、よく聞いて下さい。
1)もともとは贅沢税だった
ゴルフ場利用税の始まりは、昭和29年(1954年)の「娯楽施設利用税」です。ゴルフ以外にパチンコ、ビリーヤード、ボウリング、麻雀などの遊びに、贅沢な遊びだからと課税されます。
それが平成元年(1989年)の消費税導入で、ほとんどはそっちに移行することになったのですが、ゴルフだけは特別枠みたいな残り方をして、ゴルフ場利用税として現在に至っています。一方で新たに創設された消費税も別途取られることになって、これが二重課税と言われる所以です。
ゴルフ場利用税は各都道府県やゴルフ場の規模により、一人あたりの徴収金額が異なります。下限は自治体によって異なりますが、だいたい400~500円くらい。上限は1200円までと地方税法で定められています。18歳未満と70歳以上、加えて障害者、国体・国際競技大会や学校の教育活動については非課税です。また、先にも述べた通り、自治体によって65歳以上は減免という措置を取っている場合もあります。
ですから、一人1万円でゴルフをしたとなると、ざっくり計算して消費税が約1000円、ゴルフ場利用税が800円ほど徴収されるのです。でも今はそれほどゴルフが贅沢なスポーツ、ブルジョアの遊びじゃないですよね。そこが全く納得できません。
2)ゴルフ場利用税の使途不明
500億円のゴルフ場利用税の7割は、ゴルフ場のある各市町村に戻されます。そして残りが各都道府県の財源となるのです。日本で一番ゴルフ場が多いと言われる千葉県市原市には30以上のゴルフ場があり、ゴルフ場利用税が7億円弱入ってくると言われています。
そのゴルフ場利用税の使われ方ですが、建前上はゴルフ場へのアクセス道路の整備などに使うと総務省も言ってます。でも、実際にはゴルフ場利用税は目的税ではなく、各自治体の一般財源に入るので、使途はゴルフ関連に限定されていません。「ゴルフ関連“にも”使われる」と言ったほうが正しいです。
だいたい、最近新しいゴルフ場のオープンなんてほとんどないですよね。昔からあるゴルフ場のアクセス整備ってなんですかね……。自治体によっては、道路の照明やゴルフ場の案内、イノシシ除けの柵やジュニア育成とか、いろんなお題目を並べています。本当にそうなんだろうか? いまひとつピンと来てないです。
実際のところ、ゴルフ場利用税は小さな市町村の財源としてはデカいのです。市原のような人口30万人に近い街ではなくて、人口数千人だけどゴルフ場が3つあるとかね。それだけで5000万円ぐらいゴルフ場利用税が交付金として入ってきます。
すでに何十年も依存しており、今ゴルフ場利用税がなくなると困る市町村がたくさんあるのです。
3)改革案を提示すると
ゴルフ場利用税は小さな市町村の貴重な財源になっていますが、誰にでも分かる使われ方を検討すべき時期かもしれません。
例えばゴルフ場のクラブバスの運行とかね。電車&クラブバス利用派としては、クラブバスは非常に有り難いサービスです。だってそのサービスをやるには専用のバスを購入し、専属の運転手さんがいて、ガソリンも使って、しかもバスの利用代がタダですから。
実は儲けにならないから、やりたがらないコースが多いのです。駅から近いのにクラブバスが運行していないコースが山ほどあります。地元のタクシー会社と共存共栄だからバスを運行しない、そういうケースがありますから。
そこでゴルフ場利用税を使い、ゴルフ場と地元自治体の共同運行で、近隣のゴルフ場と主要駅を結んでサービスするのはどうですかね。
最近はクルマを持たない若い世代のビギナーが増え、電車&クラブバスを使う女性の進出も顕著、しかもゴルファーの高齢化で免許返納ゴルファーも増えています。そういう層を救ってあげるために、ゴルフ場利用税を使うなら、まだありかなと思います。
いろんな意味でゴルフ場利用税の使われ方を再検討し、廃止を含む制度の見直し議論をしてほしいです。
いや~、それにしても、昔のゴルフってパチンコや麻雀と一緒、オヤジの遊びだったんですね。これでゴルフはレジャーと証明されました。皆さん、気楽にプレーをしましょう。
文/木村和久
1959年生まれ、宮城県出身。株式投資から大衆文化まで、さまざまなジャンルで“現代”を切り取るコラムニスト。有名ゴルフ媒体へも長く寄稿してきており、スイング理論やゴルフ場設計にも造詣が深い。近年はマンガ原作者としても活躍。
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