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- ジュニア時代から海外進出? それとも国内ツアーで実績を残すべき? ツアー8勝の現役プロが考える「PGAツアー」へ最善の道とは?
ここ数年、海外ツアーに挑戦する選手が着実に増えている日本の男子プロ。まだPGAツアーで活躍しているのは松山英樹プロしかいませんが、海外を目指す選手が増えなければ、世界のトップに近づく選手も生まれません。ところで、PGAツアーを目指す場合、ジュニア時代から海外へ行くべきか、国内で力をつけてから挑戦するべきか、大きく分かれます。果たして、どちらの道が正解なのでしょうか。
国内ツアーで経験を積んでからでも遅くはない
高校を卒業後、米国の大学に留学して腕を磨いた手嶋多一プロ。しかし、PGAツアーではなく日本のプロテストを受験し、国内ツアーを拠点としました。せっかく米国の芝にも慣れ、言葉や文化、食事といった問題もクリアしていたのに、PGAツアーに挑戦しなかった理由とは。
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ボクがPGAツアーを目指さなかった理由は簡単で、自分のゴルフが通用しないと感じたからです。というのも、ボクが米国の大学ゴルフ部に在籍していた頃、学生の大会で圧倒的な力を誇っていたのがフィル・ミケルソンでした。ドライバーの飛距離はもちろん、ショットの正確性やショートゲームの精度などを目の当たりにして、こんなレベルの選手が参加するPGAツアーには自分の居場所がないと悟ったんです。
当時の学生にはクリス・ディマルコやデビッド・デュバルもいましたね。幸いにもタイガー・ウッズはいませんでしたが、うまい選手が多かった記憶があります。
実際、自分よりも上手な選手でさえ、PGAツアーで戦うことをあっさりとあきらめ、ゴルフメーカーなどに就職していました。十数年後、ボクがあるPGAツアーの試合にスポット参戦したとき、たまたまタイトリストのサービスカーにゴルフ部時代のルームメイトが働いていたんです。「なんでお前がこの大会に出場できるんだ」といわれましたが、彼にとっては素直な感想だったと思います。

昔と今では選手層やツアー自体のシステムもかなり変わったので比較できませんが、仮にジュニア世代の選手がPGAツアーを目指すのなら、高校卒業後に米国へ留学することは悪くないでしょう。米国の環境にも慣れるし、自分の立ち位置を理解できるからです。
体が大きくてパワーがある選手ならそのまま米国でPGAツアーを目指しても構いませんが、そうでなければ国内ツアーで経験値を上げてから挑戦するほうがいいかなと思います。ショットの正確性やショートゲームのうまさなど、自分のストロングポイントを磨くことでPGAツアーでも十分戦えるはずですからね。
海外で勝ち抜くにはメンタル面の強さが必要
将来的に海外を目指すのであれば、早い段階で海外での試合を経験するべきです。芝の違いやコースセッティングに慣れることも大切ですし、海外選手のレベルを肌で感じることも重要です。
欧米に限らず、アジアンツアーや中国ツアー、台湾ツアーなど、海外の試合に出るチャンスはあるので、積極的に海外に目を向けてほしいです。
個人的に米国留学で驚いたのは、外国選手が持つメンタル面の強さです。大学も強化に力を入れており、月に2回ほど一流のメンタルコーチを招聘して精神医学の講義を行っていました。学生も積極的で、「プレッシャーがかかったときはどのように対処すればいいのか?」、「集中力を高めるにはどうしたらいいのか?」などのように代表的な質問から、「下りのスライスラインを迎えたときはどうすればいいのか?」といった細かい質問まで飛び交っていました。
生まれ育った文化の違いもありますが、最後の土壇場で自分を信じる力を持っている選手が、米国には多いように感じます。技術や筋力を高めることも必要ですが、このようなメンタル面も鍛えなければ、海外ツアーでは勝ち抜くことができないのかもしれません。
男子プロに対する世間の見方は厳しいですが、松山英樹選手のようにPGAツアーで活躍できる選手が3、4人出てくれば、その見方も変わるはずです。海外ツアーに目を向ける選手がどんどん出てきてほしいですね。
手嶋多一(てしま・たいち)
1968年10月16日生まれ、福岡県出身。15歳で日本オープンで予選通過するなど、ジュニア時代から活躍し、“九州の怪童”と呼ばれる。米国留学を経て93年に国内男子ツアーでプロデビュー。日本オープン、日本プロなどツアー8勝を飾る。07年には欧州ツアーにフル参戦している。現在はシニアツアーを主戦場にしながら、男子ツアーにも数試合出場している。ミズノ所属。
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