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- グリップの素材でよく耳にする「エラストマー」って何? ラバーより“優れている部分”と“劣っている部分”を教えてもらった
ゴルフグリップの素材は大きく分けて「ラバー」と「人工樹脂」の2つが存在します。そして、人工樹脂のグリップは「エラストマー」と呼ばれる素材が広く使われているといいます。そこで、「エラストマー」とはどのような素材でどんな特徴があるのか、専門家に話を聞きました。
ゴルフ以外にも幅広く利用されている人工樹脂
ゴルフのグリップ素材は、ゴムを原料とする「ラバー素材」と、「エラストマー」と呼ばれる樹脂が代表的なものとして知られています。今回はその「エラストマー」について、グリップメーカーの方にお話を聞きました。よく耳にするこの素材には、どんな特徴があるのか、ゴルフグリップになぜ採用されているのかなどについて教えていただきました。
お話を聞いたのは、「STM」代表取締役の中村成守さん。大阪府堺市と滋賀県長浜市の2カ所に国内工場を持ち、自社製品はもちろん、他のゴルフメーカーのOEMグリップも生産しています。そんな中村さんにエラストマーについてお聞きしました。
「『エラストマー』は一言でいうと人工樹脂ですが、ものすごく幅広い用途があるもので、ゴルフのグリップ以外にもさまざまな分野で使用されています。ゴムと違ってアレルギー性が低いので、医療機器などにも採用されていますし、ゴルフのグリップからイメージすると柔らかいものという印象があるかもしれませんが、実は硬いプラスチックなどもエラストマーを原料としており、日常で使う多くのものに使用されている素材なんです」
「一般的にゴルフグリップに使われているのは、スチレン系の熱可塑性エラストマー。広い温度範囲でゴムのような弾性を示しつつ、加熱することで成形可能です。加熱して溶かした材料を金型に流し込んで成形品を作るインジェクション成形で作製するので、デザインの成形性に優れ、溶かす材料に着色することにより色のバリエーションを増やすことも容易です」

「また、他の素材を添加することで、さまざまな特徴を出すことが可能です。みなさんになじみがあるのは、『タック性』いわゆる粘着性を高める添加ですね。握ったときに、しっとりと手につくような感触が得られるように、素材を配合していくことができます。さまざまな面で、ゴルフグリップに適している素材なのです」
そんなに優れた素材なのに、なぜラバー製のグリップも多く流通しているのでしょうか。
「それぞれの特性が異なるからです。エラストマーは柔らかさもあり、汎用性もありますが摩耗性が低く、すごくすり減りやすいという欠点があります。また、インジェクション成型は、そのままの形でグリップを作れる長所はありますが、親水性が低いので、水が中に染み込みにくく、雨などでぬれてしまったときに、表面に水分が残るため滑りやすくなります」
「その点、ラバーグリップは研磨をかけて完成させることもあり、表面に凹凸ができているので、ある程度水を吸ってくれるため滑りにくいし、擦り減りにくさも持ち合わせています。それぞれに利点があるので、ゴルファーは使い方や好みで選んでいることもあり、どちらの素材もずっと流通し続けているのです」
握る回数が少ない人には耐久性が高い「エラストマー」
ラバー素材とエラストマー、どちらの素材を選ぶのかのポイントはどこにあるのでしょうか。
「エラストマーのほうが、耐久性がいいという方もいますが、これはラウンドの回数が少ない人に向けた言葉と理解してください。先ほども話したように、すり減りやすいので、頻繁に練習やラウンドに行く人は、エラストマー製のグリップはすぐにすり減ってしまい、握る部分がへこんでしまったりするのです」
「一方、ラバー製のグリップはあまり使わないでおいても、経年劣化してしまいますが、すり減りにくいので、ラウンドや練習の回数が多い人にとっては、耐久性は高く感じられると思います。ただし、それぞれの握り心地は異なることが多いので、実際に握ったときの感触で選ぶことをオススメします」
エラストマーのグリップはどれくらいの頻度で替えるべきなのでしょうか。
「これはプレーの頻度にもよるんですよね。ラバーのように、置いておくだけでも劣化してしまう素材と異なり、あまり使わなければ、2年以上感触が変わらないことも少なくありません。ただし、先ほども話したように、ラウンドや練習の頻度が高い人は、すり減りが早いので、一定数のラウンドで交換したほうがいいと思います」
「40ラウンドくらいで替えるという人も多いですね。あまりラウンドをしない方でも、欲をいえば1年ごと。それが難しいという方でも、2年での交換をオススメしています」
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