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- ウッド類、アイアン、ウェッジが各4本! アマチュアは渋野日向子のセッティングに学ぼう
渋野日向子選手のクラブセッティングには、なんとアイアンが4本しか入っていないという。そこで、アマチュアも参考にすべきかを専門家に聞いてみました。
番手の数字を並べるのではなく必要な弾道から番手を選ぼう
昨年10月、長いスランプから脱し、スタンレーレディスで復活優勝を遂げた渋野日向子選手。
スイングやウエアなどさまざまな変化を遂げてグレードアップした様子がうかがえましたが、なかでも注目だったのがクラブセッティング。
ドライバーの下にフェアウェイウッド2本、ユーティリティー2本、そしてアイアン4本とウェッジ4本というかなり個性的な組み合わせでした。

このセッティングにはどんな意味があるのか、またアマチュアにとって参考になるのか、ゴルフフィールズユニオンゴルフ店の店長でクラブフィッター兼クラフトマンとして活躍する小倉勇人さんに聞いてみました。
スタンレーレディス優勝時のクラブセッティングを具体的に見ると、メーカーはすべてピンで、ドライバーは「G410 PLUS」のロフト9度。その下は「G425」の3番ウッドでロフト15度。
ここまでは普通ですが、3番ウッドの次は5番ウッドではなく、「G425」の7番ウッドでロフト20.5度。そして「G425ハイブリッド」の5番ユーティリティー(26度)と6番ユーティリティー(30度)という2本入れ、アイアンは「i210」の6番~9番のわずか4本。ウェッジは「グライド3.0SS」で、46、52、54、58度の4本で、PWもアイアンセットのものではなく単品のモデルを使用しています。
ドライバーとパターを除くと、ウッド類、アイアン、ウェッジが各4本ずつというかなりユニークなセッティングでした。
これを見た小倉店長は、「意図がはっきりしていて、アマチュアにも参考になる」と言います。
「アマチュアには、アイアンセットを購入して、その前後をウッド類とウェッジで埋めるというような形でセッティングを作っている人が多いのですが、クラブが多様化して各モデルの個性も強くなっている昨今では、そういった考え方はもう古い。そんな中で渋野選手のセッティングは、各クラブに求める役割を考えて必要な機能を満たしたクラブを組み合わせており、非常に面白いと思います」
まずウッド類に関しては、球の高さを求めて、グリーンにボールを止めるということを考えた選択だろうと小倉店長。
「スタンレーレディスの会場の東名カントリークラブは、打ち上げ・打ち下ろしが多いコースです。そんななかでスコアメークするには、ウッド類はただ狙った距離を打つだけではダメ。3番ウッドはパー5などで飛距離を稼ぐために必要ですが、その下の番手に関しては、打ち上げのホールなどでもグリーンに球を止められるようにしっかりキャリーを出すことが求められます」
「そうなったときに、5番ウッドや5番アイアンでは高さが足りない場面が増えることから、5番ウッドを抜いて7番ウッド、5番アイアンを抜いて6番ユーティリティーというチョイスをしたのでしょう」
ヘッドスピードがあまり速くないアマチュアにとっては、芝の上からでは3番ウッドよりも5番ウッドのほうが飛んだり、5番アイアンよりも6番アイアンのほうが、キャリーが出るようなケースが少なくないと小倉店長。
そういった面でも、単に番手の数字を並べるのではなく、必要な弾道を得られる番手を組み合わせるという渋野選手のセッティングは大いに参考になるはずです。
アマチュアは単品よりもアイアンセットのウェッジを活用しよう
「ウェッジを見ると、ピッチングウェッジも単品モデルを使っていますが、これはそのほうが操作性が高く、スピンの多い球を打てるからだと思います。渋野選手にとってピッチングウェッジは、アイアンのようにフルショットで距離を刻むクラブではなく、高さを抑えたりコントロールショットでも使うクラブなのでしょう」
「またロフトピッチが均等でないのも、各番手に打ちたい場面・距離のビジョンがあるから。アマチュアは単純に4度刻みなどで均等にしがちですが、『100ヤードぴったり打てるロフト』とか『ホームコースでよく残る距離を打てるロフト』など役割を持たせたウェッジを入れれば、別にロフト間隔をそろえる必要はないんです」

一方で小倉店長は、ウェッジに関してアマチュアは単品ウェッジよりもアイアンセットのものをベースに考えたほうがいいと話します。
「単品ウェッジは操作性が高く、球が止まる代わりに飛ばないし、ミスヒットへの寛容性も低い。そのためただ100ヤードや80ヤードといった決まった距離でフルショットに使うだけなら、アイアンセットのウェッジのほうがやさしいんです」
「なので、セットものをベースにしたうえで、特定の距離や状況を打つために必要なロフトを補ったり、2種類以上の球を打ち分ける番手に関しては単品ウェッジに置き換えるというような考え方がオススメです」
渋野選手のセッティングは、ウッド、ウェッジにそれぞれの役割を与えた結果、必要なアイアンが6~9番の4本だけだったというわけです。
小倉店長は、今後はアマチュアも同様の考え方をしていくほうが合理的だろうと言います。
「最近はウェッジもロフト2度刻みで細かくラインアップされているモデルも多いですし、まもなく発売されるキャロウェイの『ローグST』などは、フェアウェイウッドが3、4、5、7、9、11番、さらにユーティリティーもバリエーション豊富にラインアップされています。
今後はこういうモデルが増えるでしょうから、これならアイアンセットにとらわれず、必要な距離を求める弾道で打つために、フェアウェイウッド、ユーティリティー、アイアン、ウェッジのなかから自由に選んで組み合わせることもできます。とくにいま苦手な距離があるというような方は、渋野選手を参考にもっと柔軟にクラブセッティングを考えていくといいと思いますよ」
アマチュアはロフトの数字を均等に刻んだセッティングにしがちです。しかし、クラブラインアップが多彩な昨今は、渋野選手のように「目的に合わせたセッティング」をすることが、アマチュアゴルファーのスコアアップにも役立ちそうです。
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