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- 日本でもおなじみ“メジャーハンター”のスイングを深堀り インパクトゾーンが長くなる秘密は肩の“タテ回転”
PGAツアーの解説も務めるゴルフスイングコンサルタント・吉田洋一郎氏が、ツアーの第一線で活躍する選手のプレーを独自の視点で分析。今回はブルックス・ケプカ選手が欧州男子ツアー「フランスオープン」で放った“スーパーショット”に注目しました。
「フランスオープン」を4位でフィニッシュしたブルックス・ケプカ
DPワールド(欧州男子)ツアーの「フランスオープン」はマイケル・キム選手の優勝で閉幕しました。
首位と1打差の3位タイから最終日をスタートしたキム選手は「65」をマーク。通算16アンダーの逆転で、同ツアー初勝利を飾っています。
一方、首位タイで最終日を迎えたブルックス・ケプカ選手は「68」と伸ばし切れず、通算14アンダーの単独4位で終戦しました。
ケプカ選手といえばメジャー5勝を飾っている“メジャーハンター”。日本ツアー「ダンロップフェニックス」を2016、17年と連覇していることもあり、日本でも知名度があるプレーヤーです。

しかし、今シーズンはケガの影響もあってかここまで未勝利。現在の主戦場であるLIVゴルフでも思い通りにいかないままシーズンを終えました。
そんな中で今大会の単独4位は、来シーズンに向けての手応えになったはずです。
肩のタテ回転を入れてヘッドをほとんど走らせずにインパクト
スイングの特徴は、左手首を手の平側に曲げる(掌屈)こと。こういったタイプの選手は、インパクト時におへそがターゲットを向くくらい腰を回転させる傾向があります。ダスティン・ジョンソン選手やコリン・モリカワ選手、ババ・ワトソン選手らは、その傾向があるプレーヤーといえるでしょう。
しかしケプカ選手は、インパクトで彼らほど腰を回転させていません。同じ手首の使い方でシャットフェースなのに、なぜここまで下半身の使い方が違うのか。
その理由は回転軸にあります。ジョンソン選手らは“垂直軸”の回転優位でスイングする特徴があります。つまり、腰を速く大きく回転させてエネルギーを生み出しながら、方向性を担保しているわけです。
一方のケプカ選手は“前後軸”優位のスイング。肩のタテ回転を入れて、ヘッドをほとんど走らせずにインパクトしています。ヘッドを走らせないのは、フェースをローテーションしないため。このスイングでフェースがターンすると、左に引っ掛けてしまうからです。
前後軸優位のスイングは体に負担がかかるため、相当フィジカルが強くなければマネすることはできません。しかし、肩をタテ方向に回転させてヘッドを真っすぐ出す、フェースローテーションを抑えて打つイメージは方向性が上がるため、一般アマチュアの方々にも参考になります。
ポイントは体の左サイドと腕を一体化させること。ヘッドを壁に当ててインパクトの形を作り、思い切り押してみてください。すると、左ワキが締まって腕と体に一体感が生まれるはずです。
このイメージでインパクトを迎えると、肩をタテ方向に回転させて、ヘッドを真っすぐ出しやすくなるでしょう。
ブルックス・ケプカ
1990年生まれ、米・フロリダ州出身。2012年にプロ転向し、欧州ツアーを経て15年からPGAツアーに参戦。同年にツアー初勝利を挙げた。メジャー初制覇は17年の「全米オープン」。翌年は「全米プロゴルフ選手権」を制し、さらに「全米オープン」で連覇を達成。19年は「全米プロゴルフ選手権」で連覇を成し遂げている。22年にLIVゴルフへ移籍した後も、23年の「全米プロゴルフ選手権」を制覇した。日本ツアーでは16、17年と「ダンロップフェニックス」を連覇している。
【解説】吉田 洋一郎(よしだ・ひろいちろう)
1978年生まれ、北海道出身。世界のゴルフスイング理論に精通するゴルフスイングコンサルタント。デビッド・レッドベターから世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。毎年数回、米国、欧州へ渡り、ゴルフに関する心技体の最新理論の情報収集と研究活動を行っている。欧米の一流インストラクター約100名に直接学び、世界中のスイング理論を研究している。海外ティーチングの講習会、セミナーなどで得た資格は20以上にのぼる。
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