- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- コラム
- プロゴルファーに引退はないというが「国内男子ツアー」で戦えるのは何歳まで? 精肉店で働く元・日本プロ王者に聞いてみた
4月10日からシーズン開幕を迎える国内男子ツアー。今年も激しい戦いが繰り広げられそうですが、気になることが一つ。プロゴルファーには引退はないといいますが、ツアーで賞金をしっかり稼ぐには、何歳ぐらいが上限なのでしょうか。
40代後半でも活躍できる条件は“柔軟性”
今季の国内男子ツアーでは、賞金シードによるシード権を保持している選手は66人いますが、6月に51歳となるブラッド・ケネディが最年長となります。続く40代後半には谷原秀人(46歳)、ジュビック・パグンサン(46歳)、マイケル・ヘンドリー(45歳)、40代前半には岩田寛(44歳)、宮里優作(44歳)、H・W・リュー(43歳)、上井邦弘(42歳)、市原弘大(42歳)が名を連ねます。
やはり40代後半で賞金ランキングの上位に入ることは難しいようで、その辺りの事情を、かつて日本プロを制し、現在は精肉店で働く河井博大に聞いてみました。

「自分たちの世代でも40代後半で賞金シードを獲得していた選手はいましたが、正直、40代前半でもシード権を維持していること自体、奇跡に近いと思います」
ジャンボ尾崎が40歳以降だけでツアー63勝を挙げていますが、例外中の例外であり、通常は40歳を過ぎた辺りから飛距離が落ち、ショートゲームの感覚が鈍くなるといいます。40代後半にもなれば、その傾向はさらに強くなり、河井自身もドライバーの飛距離が10~20ヤードは落ちたそうです。
「飛距離だけではなく、ゴルフ全体がヘタになっていく感覚がありましたね。アプローチでもザックリしたり、パッティングが不調に陥りました」
若い頃なら練習量でカバーできたものの、40代後半にもなれば、体への負担を考えて練習量を増やすこと自体が難しくなります。「自分はボールを打っていた数を減らし、そのぶん素振りの回数を増やしていました」。
確かに、40代後半でもツアーで活躍する選手は圧倒的に体が強い傾向はあります。ただ、体の強さと同時に求められるのが柔軟性だといいます。
「柔軟性があれば、ケガをしにくいですからね。歩く姿やフィニッシュの形を見れば、どれだけ柔軟性があるか分かります。胸を張って姿勢よく歩いたり、フィニッシュでスッと立てる人は柔軟性が衰えていません」
平均的には40代半ばがツアーで戦える上限になりそうですが、それを乗り越えるには、体の柔軟性を欠かせないのは間違いないでしょう。
体の強い選手が生き残る
レギュラーツアーとは関係ありませんが、シニアツアーで活躍する選手も筋力と柔軟性に優れています。23、24年に2年連続シニアツアーで賞金王に輝いた宮本勝昌がいい例でしょう。高校時代から下半身の強さには定評がありましたが、プロに転向してからもトレーニングは欠かさず、40代で4勝を挙げています。
また、昨年の全米シニアオープンでプレーオフの末、惜しくも2位となった藤田寛之もレギュラーツアー時代からトレーニングには力を入れており、40代でツアー12勝を挙げ、12年は43歳で賞金王も獲得しています。
河井によれば、宮本や藤田のようにレギュラーツアーからそのままシニアツアーに移行して活躍する選手と、シニアツアーからいきなり活躍する選手には共通点があるそうです。「例外なく、シニアでも上位にくる選手は体が強いですね」
レジェンドの青木功はかつて「心技体ではなく、体技心だ」と語っていました。強い体があってこそ、技術が身につくのだと。国内男子ツアーでは、20代の選手がドライバーショットで300ヤードを超えるのは当たり前の時代ですが、その中でベテラン選手が優勝争いに絡めば、別の面白さが生まれるというもの。ベテランプロには体のメンテナンスをしっかり行ってもらい、ツアーを盛り上げてほしいものです
河井博大(かわい・ひろお)
1971年11月13日生まれ。96年のプロテストに合格し、2000年に初シードを獲得。11年からジャンボ尾崎に師事すると、その年の日本プロゴルフ選手権でツアー初優勝を飾る。パーオン率では2度1位になるなど、正確なアイアンショットを武器にしていた。22年にシニアツアーに参戦し、翌年のシード権を獲得するも23年8月にツアープロを引退。現在は実家の精肉店と焼肉店で修業中の身。
最新の記事
pick up
ranking