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- なぜ古江彩佳はボギーの後でもギャラリーの声援に応える余裕があるのか?【石井 忍のここスゴ!】
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井 忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、国内女子ツアーの最終戦、JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップの古江彩佳だ。
最終戦で見せたミスショット後のマネジメント力
■古江彩佳(ふるえ・あやか)/2000年生まれ、兵庫県出身。アマチュア時代の19年に富士通レディースでツアー史上7人目のアマチュア優勝を成し遂げてプロ転向。20年にプロ初勝利を挙げ、今年のTOTOジャパンクラシックでプロ通算6勝。富士通所属
国内女子ツアーの最終戦、JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップが終わりました。優勝したのは、通算11アンダーの三ヶ島かな選手。公式戦でのツアー初優勝達成となりました。
この試合の結果を受け、2020-21シーズンのランキングが確定。賞金女王に輝いたのは、シーズン9勝を挙げた稲見萌寧選手です。
さて、最終戦で三ヶ島選手と優勝争いを演じ、最後まで稲見選手と賞金女王争いをしていたのが、今シーズン6勝の古江彩佳選手です。
今大会は、結果的に通算6アンダーの3位タイでフィニッシュ。最終戦の勝利と賞金女王は逃してしまいましたが、メルセデス・ポイントで1位を獲得。メルセデス最優秀選手賞というビッグタイトルを手にしました。
そんな古江選手のプレーを見ていて印象に残ったシーンがありました。今大会の初日、15番ホールの出来事です。14番まで9バーディー・ノーボギーという完璧なゴルフをしていましたが、15番でこの日、唯一のボギーを打ちました。
ボギーパットをカップインさせた後、ギャラリーから声をかけられた古江選手は、口角を上げながら軽く手を挙げて、声援に応えていたのです。
順調にバーディーを重ねる中でのボギーは、「良い流れが絶たれてしまうかも」や「スコアを落としてしまった…」などと考え、周りが見えなくなってもおかしくありません。
古江選手はなぜ、ギャラリーの声に応える余裕があったのでしょうか。
この日、唯一のボギーを打った15番(パー4)は、実は初日の難易度ナンバーワンのホールでした。ティーショットは狙い所が狭く、ドライバーの正確性が要求されます。
また、グリーンは小判型で小さく、芝目が手前から奥に向かっているため、2打目をグリーンに止めるのが難しいシチュエーション。しかも、グリーン奥に外すと、ティフトン芝の逆目のライが待っていて、アプローチで寄せるのも困難になります。
古江選手は、2打目でグリーンをオーバーさせ、奥からのアプローチを寄せ切ることができずに、2パットでボギーとしました。
恐らく、2打目がグリーンをオーバーした時に、無理にパーを獲りにいこうとせず、「このホールはボギーでOK」と割り切ったのではないでしょうか。だからこそ、ボギーパット後にギャラリーの声援に応える余裕があったのだと思います。
「1つのミスは2打で取り戻すこと」
私は、指導している若い選手やアマチュアの皆さんに、日頃から「1つのミスは2打で取り戻しましょう」と伝えています。
例えば、林に打ち込んでしまった時、前方の狭い木の間を狙って1打で挽回しようとすると、傷口がさらに広がってしまうことがありますよね。
「2打で取り戻す」と考えれば、安全にフェアウェイに出せるスペースを探すはず。スコアを安定させるには、こういったミスショット後のマネジメントが重要なのです。
リコーカップを終えた古江選手は、来季の米女子ツアー出場権をかけた最終予選会出場のため、休むことなくアメリカに向かったそうです。
抜群のショット力だけでなく、冷静な判断力、マネジメント力がある古江選手。今後のさらなる活躍が楽しみです。
■石井 忍(いしい・しのぶ)/1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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