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- 岡本綾子に感動のサプライズ! 40年以上の時を越えて米ツアーの親友が届けた“預かりもの”とは?
親友のパティ・リゾから手渡された1本のパターに、岡本綾子(おかもと・あやこ)は思わず息を飲みました。刻まれていたのは1984年の全英制覇の証。40年の時を越えて戻った記念品が静かに当時の栄光と絆を呼び覚ました瞬間でした。
ヘッドカバーを外して驚きの声を上げた岡本綾子
40年以上の歳月を経て、古い友人が岡本綾子に記念の品を届けてくれました。
自分の名を冠した大会「美浜インビテーショナルレジェンズ岡本綾子カップ」(4月14日、愛知県・新南愛知CC美浜C)翌日のことでした。プロアマのスタート前にクラブハウスで佇んでいた岡本綾子に、米ツアー時代を共に過ごした親友、パティ・リゾ(米国)が「はい、プレゼント」と手渡したのは1本のパターでした。首をかしげながら受け取った岡本は、ヘッドカバーを外して驚きの声を上げました。
ヘッドに刻印されていたのは、「AYAKO OKAMOTO LADIES BRITISH OPEN CHAMPION 1984」の文字。2人はこの時、多くを語り合いませんでしたが、静かに視線を合わせて、かつての日々に思いを馳せていることが伝わってきました。

岡本の全英制覇はセンセーショナルなものでした。ベッツィ・キング、デール・リード(ともに米国)の2人に11打の大差をつけての圧勝劇。翌日の現地紙が「Back to School!」の見出しで他の選手たちを“叱咤激励”したことでも、インパクトの大きさが伝わってきます。
1984年当時、全英女子オープンはメジャー競技ではありませんでしたが、日立が冠スポンサーについた米女子ツアーの1戦でした。ゴルフに対しての思い入れが強い英国の女子ナショナルオープンを、米女子ツアーで活躍する日本人が制したことも、現地では大きなニュースとなったのです。
大会が米女子ツアーのスケジュールから外れた時期もあるのですが、再び米女子ツアーの試合となり、2001年からはメジャー競技になっています。
1984年の舞台となったのはイングランドにあるウォーバーンGCのデュークスコース。54ホールあるインランド(海岸沿いのリンクスに対して内陸のコースに使われる呼称)のゴルフ場で、35年後の2019年に、使用コースは違いましたが同じウォーバーンで渋野日向子がメジャータイトルを手にしたときにも、岡本の偉業に再びスポットライトが当たっていました。
この84年、岡本は全英女子オープン圧勝したのをはじめ3勝を挙げ、米ツアー賞金ランキング3位と、大きく飛躍しています。翌85年はひどい腰痛に見舞われましたが、パパイヤインジェクション(患部にパパイヤ酵素を注入する治療法)を受けて86年に復活。87年には年間4勝を挙げて、米国人以外で初めての賞金女王となったことは、ご存じの方も多いと思います。
「会うべきものは旧友だね」
84年の全英女子オープン優勝は、その飛躍への大きなきっかけとなった出来事でもありました。その勝利の記念品は、世界各地のツアーを対象に、契約の有無にかかわらずピンのパターを使用して優勝した選手に同社が贈っている「ゴールドパター」と呼ばれるものです。創業者カーステン・ソルハイム氏の「トーナメントの優勝者に対して記念に残るプレゼントを贈りたい」という思いから、1960年から現在まで続いています。同じものが2本作られ、1本は優勝者に贈られ、もう1本はピン本社に保存されています。
試合後、しばらくして届いたその記念品を岡本は親友リゾに預けていたのです。岡本が米ツアー初勝利を挙げた82年「アリゾナ・コパークラシック」を最終組で優勝争いをしたのがきっかけで親しくなった岡本とリゾ
。腰痛手術後はフロリダ州のリゾの実家で1カ月ほど過ごしたほど、家族ぐるみの付き合いでした。この時は、リゾ本人が試合に出かけてしまっても、ご両親の世話になっていたと言います。だからこそ、2005年の世界ゴルフ殿堂入りセレモニーでは「リゾさん、ありがとう」と言って涙を流したのです。
そのリゾが自らパターを持ってきてくれたのです。日本ツアーでも優勝経験を持ち、ファンにも知られている親日家であるリゾの久々の来日は、岡本綾子カップのプロアマにゲストプロとして招かれたもの。大会会長を務める岡本と直接会うのは「世界殿堂セレモニー以来かな」(岡本)と、21年ぶりでした。ゴールドパターは、その“手土産”でした。
目を丸くしながら「会うべきものは旧友だね」と照れくさそうに笑った岡本。言葉は少なくとも、苦楽を共にした友人との再会は、大会に出場した後輩たちのプレーと共に力になったに違いありません。
取材・文/小川淳子
ゴルフジャーナリスト。1988年東京スポーツ入社。10年間ゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材する。1999年4月よりフリーランスとしてゴルフ雑誌やネットメディアなどに幅広く寄稿。
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