これを知ってたらPGA通!?「メジャー以外はどれも一緒」じゃない米ツアートーナメントの“格付け” | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

これを知ってたらPGA通!?「メジャー以外はどれも一緒」じゃない米ツアートーナメントの“格付け”

今週の「アーノルド・パーマー招待」、来週の「ザ・プレーヤーズ選手権」と、「ビッグトーナメント」と呼ばれる大会が続きます。メジャーとも違う、レギュラー競技とも違う所以はどこにあるのでしょうか。

「ビッグトーナメント」と呼ばれるには理由がある

 米ツアーは今週の「アーノルド・パーマー招待」から「ビッグトーナメント」と呼ばれる、海外の有力選手も多く参戦する試合が次々と始まります。

松山英樹の米ツアー初優勝は、通常より長い3年間のシード権が与えられる「招待競技」の「ザ・メモリアル」だった 写真:Getty Images

「ビッグ」と呼ばれるのは、単に賞金額が大きいからではありません。

 他のレギュラー競技に比べ、フェデックスカップポイントの配点が大きい、優勝者にはより長期のシード権が与えられるといった“特典”のほか、そもそも「ビッグトーナメント」には大会独自の出場資格が設定され、大会によっては出場選手数が少ないなど、いろいろと“スペシャル”なレギュレーションがあるようです。

 そんな“格付け”の高いトーナメントの内訳は?

 その前に、基準となるレギュラー競技のレギュレーションから見てみましょう。

・賞金総額:700万~900万ドル(約8~10億円)
・フェデックスカップポイント:優勝500ポイント(今週のプエルトリコオープンのような「オルタネートイベント(裏競技)」と呼ばれる大会は優勝300ポイント。今季は4試合実施)
・出場資格順位:ツアーが設定した毎試合共通のシード順位。また、多くは「マンデートーナメント」と呼ばれる予選競技が実施され、上位選手に出場権が与えられます。さらに、前週の大会でトップ10に入った選手にも出場権が付与。これらの出場権は下記のビッグトーナメントでは採用されていません。
・出場選手数:多くの大会が144人、もしくは156人(開催の時期や場所によって異なる)
・優勝者に与えられるシード権:翌年から2年間

 では、これが上位に格付けされる大会になるとどう変わるのでしょう? 順に見ていきましょう。

メジャートーナメント

 米ツアーの“格付け”No.1大会は、ゴルフファンなら誰もが知っている「メジャートーナメント」です。「グランドスラム」とも呼ばれる4大メジャー大会で、「マスターズ」(4月、主催:マスターズ委員会)を皮切りに、「全米プロ」(5月、主催:PGA・オブ・アメリカ=全米プロゴルフ協会)、「全米オープン」(6月、主催:USGA=全米ゴルフ協会)、「全英オープン」(7月、主催:R&A)の順に開催されます。

・賞金総額:各大会とも開催近くになるまで発表されませんが、昨年はいずれも総額1200万ドル前後(約14億円)で行われました。
・フェデックスカップポイント:優勝600ポイント
・出場選手数:マスターズは例年100人未満。他の3大会は156人
・優勝者に与えられるシード権:翌年から5年間

ザ・プレーヤーズ選手権

 今年は「アーノルド・パーマー招待」の翌週に行われる「準メジャー」とも「第5のメジャー」とも言われる大会。主催は、レギュラー競技と同じ米PGAツアーで、その本拠地にあるTPCソーグラスを舞台に行われます。

・賞金総額:2000万ドル(約23億円)
・フェデックスカップポイント:優勝600ポイント
・出場選手数:156人
・優勝者に与えられるシード権:翌年から5年間

世界ゴルフ選手権(WGC)シリーズ

 世界の6大ツアー(アメリカ、ヨーロッパ、日本、アジア、豪州、南アフリカ)が加盟する「インターナショナル・フェデレーション」によって創設され、1999年から始まったシリーズ。

 コロナ禍の前、2019年までは毎年「WGC選手権」「WGCマッチプレー」「WGC招待」「WGCチャンピオンズ」の4試合が開催されていましたが、今年は今月開催の「WGCデルテクノロジーズマッチプレー」の1試合だけ。果たして、来季はどうなるのでしょう。

・賞金総額:1200万ドル(約14億円)
・フェデックスカップポイント:優勝550ポイント
・出場選手数:「WGCマッチプレー」は世界ランキングの上位64人
・優勝者に与えられるシード権:翌年から3年間

招待競技(インビテーショナルトーナメント)

 米ツアーには、今週の「アーノルド・パーマー招待」のように、大会独自の出場資格順位で選手を招待するトーナメントが全5試合あります。

 故・アーノルド・パーマーがホストを務めていた「パーマー招待」のほか、タイガー・ウッズがホストの「ジェネシス招待」。例年、マスターズの翌週開催の「RBCヘリテージ」。長年「コロニアルナショナル招待」として行われてきた「チャールズ・シュワブチャレンジ」。そして、ジャック・ニクラスがホストの「ザ・メモリアルトーナメント」です。

 このうち、高い“格付け”が認められているのは、「ジェネシス」「アーノルド・パーマー」「ザ・メモリアル」の3試合です。「ザ・メモリアル」は松山英樹が2014年に米ツアー初優勝を遂げた大会。昨年マスターズを制しメジャーチャンピオンとなった松山ですが、初優勝が既に格の高い大会だったわけです。

・賞金総額:1200万ドル(約14億円)
・フェデックスカップポイント:優勝550ポイント
・出場選手数:120人
・優勝者に与えられるシード権:翌年から3年間

 最後はシーズンの順位(フェデックスカップポイントランキング)を決める、シーズン最後のシリーズ。2018年までは全4試合でしたが、19年からは3試合制になりました。今年のシリーズは以下の通り。

第1戦「フェデックス・セントジュード選手権」
賞金総額:1500万ドル(約17億円)
フェデックスカップポイント:優勝2000ポイント
出場選手:フェデックスカップポイント125位まで
優勝者に与えられるシード権:翌年から2年間

第2戦「BMW選手権」
賞金総額:1500万ドル(約17億円)
フェデックスカップポイント:優勝2000ポイント
出場選手:フェデックスカップポイント70位まで
優勝者に与えられるシード権:翌年から2年間
※前身は米ツアーより古い、1899年スタートの「ウエスタンオープン」。その運営組織「ウエスタンオープン・アソシエーション」は現在も大会運営を担当。大変に由緒ある大会として認知されています。

最終戦「ツアー選手権」
賞金:優勝者、すなわち年間チャンピオンに1800万ドル(約20億円)のボーナス
出場選手:フェデックスカップポイント30位まで
優勝者に与えられるシード権:翌年から5年間

※ ※ ※

 このように一口に米PGAツアーと言っても、さまざまな格付けの大会があります。試合中継を観戦する際、そんなところに注目してみても面白いのではないでしょうか。

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松山英樹、今季1勝目のZOZOチャンピオンシップ 写真:Getty Images
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松山英樹、今季2勝目のソニーオープン・イン・ハワイ 写真:Getty Images
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