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- 初めてのコースでも効果的!? スタート前にコースとスイングをリンクさせる畑岡奈紗の練習法とは?
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、米国女子ツアー「CP女子オープン」の畑岡奈紗。
イメージを作って練習することの重要性
米国女子ツアー「CP女子オープン」(オタワ・ハント&GC、カナダ)が開催されました。1973年から続いているカナダのナショナルオープンで格式のある大会です。今年の試合は、コロナ禍の中止を挟んで3年ぶりに行われたこともあり、開催前から現地はかなり盛り上がっていたようです。
チケットは即完売になり、1000人以上の枠があったボランティアもキャンセル待ちになるほどだったといいます。
そんな同大会を制したのは、南アフリカのポーラ・レト選手でした。最終日に3位からスタートし、5バーディ、1ボギーの67をマーク。通算19アンダーでツアー初勝利を挙げています。
日本勢最上位は畑岡奈紗選手。初日6位タイ、2日目7位タイ、3日目9位と好位置につけていましたが、最終日は3バーディ、3ボギーのイーブン。スコアを伸ばすことができず、通算11アンダーの13位タイでフィニッシュしています。

さて、私はこの大会の解説を務めさせてもらいました。連日生中継と「日本人選手専用カメラ」でライブ配信を行っていましたが、そこで見た畑岡選手のスタート前の練習について話をしようと思います。
練習場に着いた畑岡選手は、ウォーミングアップの後、短い番手から練習をスタート。体が動くようになってフルスイングの段階になると、ターゲットを変えて色々な方向にボールを打ち始めます。
このとき、時折コースメモを見ながら、キャディと会話を交わしていました。話した後はクラブを変え、再びボールを打ちます。連続してボールを打ち続けるのではなく、1球ごとにボールの後ろに立ち、ターゲットを確認してからアドレスポジションに入るというルーティンを行っていたのも印象的でした。
彼女のこの練習を見て改めて感じたのは、イメージを作って練習することの重要性です。朝の練習には、目的がいくつかあります。ひとつは体をほぐすこと。また、体やクラブの動きと向き合うことも目的のひとつ。無意識に起こってしまう自分のクセを矯正したり、理想とする体やクラブの動きになるように意識付けをする練習です。
特定のシチュエーションをイメージして打つ
そして、もうひとつ大切なのがコースと自分をリンクさせることです。コースでの特定のシチュエーションをイメージし、その状況に合わせた球筋を打つことで、朝の練習をより効果的なものにすることができます。
畑岡選手の取り組みは、一般のゴルファーにも有効です。コースメモがなかったり、初めてプレーするコースでレイアウトが分からない場合でも、「右サイドに大きな池やOBがあると想定しよう」などとイメージして球を打つことで、実践的な練習になります。スタート前の練習はもちろん、普段の練習からシチュエーションをイメージして球を打つと、練習の質が高くなりますよ。
畑岡奈紗(はたおか・なさ)
1999年1月13日生まれ、茨城県出身。2016年の「日本女子オープン」で国内メジャー史上初のアマチュア優勝達成。その後、プロ転向して翌17年から米ツアーに参戦。同ツアーでは18年に初勝利を挙げ、今シーズンは「DIOインプラントLAオープン」で米ツアー通算6勝目。日本ツアーでも、19年に「日本女子プロゴルフ選手権」、「日本女子オープン」を制するなど、ツアー通算5勝を挙げている。
石井忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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