募集費用を圧縮するか、寄附金額の引き上げか
「ふるさと納税」制度の基準見直しが行われ、新基準による「ふるさと納税」が10月1日より開始されました。今回の大きな変更点は下記の2点です。

・募集に要する費用について、ワンストップ特例事務や寄附金受領証の発行などの付随費用も含めて寄附金額の5割以下とする(募集適正基準の改正)
・加工品のうち熟成肉と精米について、原材料が当該地方団体と同一の都道府県内産であるものに限り、返礼品として認める(地場産品基準の改正)
総務省による「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、令和4(2022)年度の「ふるさと納税」の寄附総額が約9654億円と、前年度の約8302億円から1300億円以上、約1.2倍と大幅に増加しています。また、件数も約5184万件で、前年比約1.2倍となっています。
これだけ多額の寄附を集めている要因の一つは、多くの自治体が民間事業者の運営する、いわゆる「ふるさと納税ポータルサイト」に情報を掲載、ふるさと納税を呼び掛けていることです。今までは、これらポータルサイトの利用に関する手数料、寄附金に関する受領証の発行事務費用やワンストップ特例に関する申請書の受付事務費用等の経費は、募集に要する費用に含めなくてよいとされていました。
しかし、制度の適用をより厳格化し、10月以降はポータルサイトの利用手数料や各種事務に係る費用等も明確に「募集に要する費用」として算入することになりました。
そのため、10月以降は従来と同じ寄附金額であれば、より募集に要する費用を圧縮するか、寄附金額の引き上げが行われる可能性が高くなっています。
ふるさと納税の返礼品一覧(19サイト横断)が見られる「ふるさと納税ガイド」というサイトで、10月1日から返礼品の金額値上げや内容が改定になっているものを調べてみると、人気の肉、魚介類、加工食品など、制度の変更に伴って改定・値上げされているものは1000品目以上上がってきます。
配送料が安く済むゴルフプレー券は値上がりがわずか
一方、体験型のゴルフプレー券については、改定されているものは13品目とほんのわずかです。ゴルフプレー券も募集に関する費用については影響を受けますが、それ以外は影響を受けません。食品等は高騰している配送料がかかりますが、ゴルフプレー券などは、その点かかったとしても郵便代だけです。
返礼品のゴルフプレー券は、寄附者に送られてきて、対象となるゴルフ場に連絡して予約を取るのが一般的な流れです。
ゴルフ場側にとっても、空き枠を活用できるメリットもあります。例えば宮崎市の返礼品で人気のあるフェニックスCCの場合、繁忙期などには返礼品のゴルフプレー券では予約できない期間もあり、ゴルフ場側にも負担になっていません。話を聞いた千葉県のゴルフ場支配人も「ふるさと納税は集客になるのでメリットを感じます」と言います。
また、普段はなかなかプレーできない名門ゴルフ場も返礼品でプレーできる場合があります。例えば埼玉県飯能市の返礼品には、通常のゴルフ場予約サイトにはスタート枠を出していない飯能ゴルフクラブのラウンド券があり、ゴルファーにはうれしい返礼品です。
今まで現物が送られてくる返礼品にしか目に入っていなかった人も、ゴルフプレー券のある自治体を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。