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ゴルフライフ

元ネタ知らなくても意外とイイネ! オヤジにウケる昭和のゴルフスラング入門

2021.10.29 保井友秀
マナー

年配のゴルファーと一緒にラウンドする機会があると、かなりの高確率でダジャレを耳にすることになると思います。しかし、元ネタを知らないと、笑うどころか「キョトン」ですよね。ダジャレを中心にした昭和のゴルフスラングの意味と使い方を大まじめに解説していきます。

「山本リキンダ!」「噛んだ正輝!」を連呼

 ゴルフは今でこそ若者でも楽しめるスポーツになりましたが、昭和の終わりから平成のはじめごろまで若者には敷居の高いスポーツでした。サラリーマンであれば、課長や部長になってようやくゴルフを始めることができる時代が長く続きました。

若い女性もどんどん使っていってほしい 写真:AC

 筆者がゴルフを始めたのは1999年(平成11年)ですから、昭和はとっくに終わっていたのですが、ゴルフ場には昭和の残り香が漂っていました。来場者のほとんどが40歳以上の男性で、当時25歳だった筆者は浮いた存在でした。大人たちから「ボールを打ったらクラブを3本持って走れ」と教わり、汗まみれになりながらゴルフ場を走り回っていました。

 ただ、悠々とゴルフを楽しんでいるように見える大人たちも、すべてのショットを思いどおりに打ちこなしているわけではありませんでした。ゴルフはミスのスポーツとはよく言ったもので、それなりに経験を積んでいるゴルファーでもミスは出ます。

 昭和のゴルファーはそのミスをギャグで受け流すテクニックに長けていました。ドライバーショットが上空に高々と舞い上がると「てんぷら定食!」と叫び、そのミスを取り返そうとリキんでミスを重ねると「山本リキンダ(リンダ)!」(注1)とかぶせます。

 フェアウェイからダフると「だっふんだ!」(志村けんのモノマネをしながら)、トップすると「コロムビア・トップ!」(注2)と口にするのが私の周りにいた大人の定番リアクションでした。

 ラフからボールを打つとき、クラブフェースとボールの間に芝が挟まったら「噛んだ(神田)正輝!」(注3)というのは、ほとんどの大人が使っていました。

 バンカーにつかまると「いやん、バンカー!」、チョロすると「ナイスちょっと!」、わずかにショートすると「三浦届かず(友和)!」というのも決まり文句でした。そしてパットがワングリップの距離に寄ると「OK牧場!」(注4)と言ってOKを出します。

昭和のゴルファーは高速道路とガソリン満タンに憧れがあった!?

 それと、昭和のゴルファーはボールがカート道を転がって思いのほか飛距離が出ると「高速道路を使っちゃったよ」とうれしそうに微笑むのもお決まりでした。

 その後は必ず「オレが若い頃は東北自動車道が宇都宮までしか開通していなかったんだよ」といった話が始まります。昭和のゴルファーにとって、高速道路が次々と開通していくのは高度経済成長期を象徴する出来事であり、その高速道路に乗って各地を旅したのが楽しい思い出として印象に残っているようです。

 また、茶店が近づいてくると「オレはそろそろガス欠だから、ガソリンを入れないと」とつぶやき始めます。茶店に入ると同時に生ビールを頼み、一気にノドに流し込みます。そして「ガソリンが満タンになった!」と満面の笑みを浮かべます。お酒のことをガソリンと表現するのは典型的な昭和のゴルファーですし、「ガソリン満タン!」という言葉の響きにも強い憧れを抱いた時代があったのでしょう。

 ゴルフはスポーツかレジャーかという議論がありますが、昭和のゴルファーにとってゴルフは完全にレジャーでした。スタート前からクラブハウスでガソリンを満タンにするのが当然であり、昼食時には待ち時間が今より長かったこともあって日本酒や焼酎のボトルが入り、ほとんど宴会状態になることも日常茶飯事でした。

往年のプロゴルファー、真板潔と合田洋が大活躍!

 この他にもティーショットを林に打ち込んだら「林田さん」、ボールが木の下に止まっていたら「木下さん」、ショットが池ポチャしたら「池田さん」と、昭和のゴルファーはとにかくミスを笑いに変換しようとします。

 名字ではなくフルネームで多用されていたのは真板潔(まいた・きよし)でした。真板は2000年サントリーオープンでツアー1勝を挙げているプロゴルファーです。左に巻くようなフックボールが出たとき、昭和のゴルファーは必ずと言っていいほど「巻いた(真板)潔!」と口にしていました。

 プロゴルファーでもう一人、フルネームで多用されていたのが合田洋(ごうだ・ひろし)でした。合田は1994年日本プロゴルフ選手権でツアー1勝を挙げています。合田の場合は言葉遊びのギャグではなく、バンカーからパターで脱出して尾崎将司の猛追を振り切った初優勝シーンが印象的だったため、アゴの低いバンカーからパターで打つことを「合田洋!」と呼んでいました。

※ ※ ※

 このように昭和のゴルファーの口グセを挙げていったらキリがないのですが、時代は平成を飛び越えて令和に移り変わっていますので、この話題はそろそろお開きにしたいと思います。

(注1)山本リンダ/1966年に歌手デビューし、『こまっちゃうナ』『どうにもとまらない』『狙いうち』などのヒット曲で知られる昭和の大スター。そのセクシーな歌唱とダンスで世の男性をメロメロ(昭和の言葉で、魅力的な女性の虜になってしまうこと)にした。「狙いうち」はその後、高校野球の応援の定番局になった。

(注2)コロムビア・トップ/戦時中はビルマ(当時)のラングーンで従軍。復員後の1946年に漫才コンビ、青空トップ・ライトを結成。その後、コロムビアレコードに移籍したことから、芸名をコロムビア・トップ・ライトに改名した。74年には参議院議員選に立候補して初当選。3期17年6カ月を務めた。2004年没。

(注3)神田正輝/大ヒット刑事ドラマ『太陽にほえろ!』出演など、石原プロモーション黄金期を支えた同事務所のプリンス。私生活では1985年に当時のトップアイドル松田聖子と結婚。大スター同士の挙式は「聖輝(世紀)の結婚」などと騒がれた。“アナ雪”で知られる女優・神田沙也加の父。

(注4)OK牧場!/元ネタの元ネタは西部開拓期に保安官とカウボーイの凄絶な銃撃戦が行われたアリゾナ州の牧場の名前。名匠ジョン・スタージェスにより『OK牧場の決斗』として映画化もされている。日本においては、元WBC世界ライト級チャンピオンであり引退後タレントとなったガッツ石松が定番ギャグとして多用したことから、より人口に膾炙する言葉となった。ガッツ版の発音は「オーケー牧場」ではなく「オッケー牧場」。

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