「ISPS Handa招待」2位のA・フィッツパトリック
欧州男子ツアー、米国女子ツアー、欧州女子ツアー共催の「ISPS Handa招待」が開催されました。米国女子・欧州女子の大会で優勝したのは、米国のアレクサ・パノ選手です。3人が並んだプレーオフを制し、米欧ツアー初勝利を挙げました。優勝を決めたこの日は、パノ選手の19歳の誕生日でした。
パノ選手とプレーオフで戦ったのは、ドイツのエスター・エンゼライト選手とイングランドのガブリエラ・カウリー選手でした。パノ選手も、ヘンゼライト選手、カウリ―選手も知名度はまだそれほどありませんが、これからが非常に楽しみなプレーヤーです。そう思えるのは、昨年のこの大会で上位に入った選手たちが活躍しているからです。
昨年大会で欧州女子ツアー3勝目、米ツアー初勝利を挙げたスウェーデンのマヤ・スターク選手は、今シーズン何度もトップ10フィニッシュを果たし、現在CMEグローブポイントで22位につけています。また、2位だったアリセン・コープス選手(アメリカ)は、今年の「全米女子オープン」でツアー初勝利を挙げ、同ランク5位。さらに、4位タイに入っていたのは、スターク選手と同じスウェーデン出身のリン・グラント選手(24歳)。米女子ツアーでは、今年の「Danaオープン」で初優勝を遂げて同ランク17位という成績です。今大会のプレーオフで戦った3人の活躍にも期待したいですね。

一方、欧州男子の「ISPS Handa招待」でも、初優勝者が誕生しました。イングランドのダニエル・ブラウン選手です。2位のアレックス・フィッツパトリック選手に5打差をつけ、通算15アンダーでツアー初勝利を挙げました。
2位に入ったフィッツパトリック選手は、昨年の「全米オープン」を制覇したマシュー・フィッツパトリック選手の弟で、昨年プロ転向しました。
トップの位置から真下にヘッドを落下させる素振りの意味
そんなフィッツパトリック選手が、スイング前に興味深い仕草をしていました。トップのポジションに手元を上げると、真下にストンとヘッドを落下させるような素振りをしていたんです。そのままクラブを振り下ろせば、右足の右側にヘッドが落ちるヘッド軌道です。
フィッツパトリック選手は、左手首を掌屈してバックスイングし、トップを作るのが特徴です。この手首の形は、フェースをシャットに使える反面、切り返しで手元が前に出て、アウトサイド・イン軌道になることがあります。アウトからクラブが入るミスを防ぐため、フィッツパトリック選手は極端にインからクラブを下ろす素振りをしていたわけです。
オンプレーンのキレイな軌道で素振りをするだけでは、自分の悪いクセが出てしまうことがあります。アウトからクラブを下ろしてミスする傾向がある人は“超イン”から、インからクラブを下ろしてミスになる人は“超アウト”から振り下ろす素振りをしておくといいでしょう。
アレックス・フィッツパトリック(Alex Fitzpatrick)
1999年生まれ、イングランド出身。ウェイクフォレスト大を卒業後、2022年にプロ転向。兄は、昨年の全米オープンで優勝したマシュー・フィッツパトリック。今年4月に開催されたPGAツアー唯一のダブルス戦「チューリッヒクラシック」に兄とコンビで出場。8月に開催された欧州ツアー「ISPS Handaワールド招待」では、通算10アンダーで2位フィニッシュしている。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。