「2日あれば差はないようなもの」 米ランク10位で終えた古江彩佳が3位タイ　不敵に淡々と逆転勝利狙う

「何が起こるか分からない」。ゴルフの面白さと怖さを米ツアーで叩き込まれた古江彩佳が、逆転勝利を不敵に狙っている。

　女子ツアー最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」2日目。気温23.4度、風速6.3メートル（いずれも正午の記録）と11月末とは思えないほど温かく比較的穏やかだった初日とは一転、天気はいいものの気温18.6度、風速7.5メートル（正午）で、最大瞬間風速12.7メートルのタフなコンディションとなった。

　首位に2打差の3アンダー4位タイでスタートした古江も風と格闘した。「風を読みながら打ったはずが思ったより強かったり、読み切るのが難しかったと思います」と、1番のティーショットから覚悟してのラウンドだった。

　そんな中でも、確実にパーを重ねていたが、パー3の8番でボギーが先に出た。だが、どんなスコアでも、どんな位置にいても、1打1打を丁寧に自分のプレーを貫くスタイルはこの日も揺るがない。11番のバーディーで取り返すと、17番では第2打を1メートルにつける2つ目のバーディー奪取。通算4アンダーで3位タイにジワリと順位を上げた。

　主戦場を米ツアーに移して2年目のシーズンを終えたばかり。昨年はトラストゴルフ・スコティッシュ女子オープンで初優勝したが、残念ながら今年は勝ち星がない。その一方で、ポイント制のレース・トゥ・CMEグローブ・シーズンは10位。昨年の17位から大きくランクアップしているのは、安定した成績を出しているからだ。

　米ツアーでの経験は、最終日まであきらめないで戦い続ける気持ちをより強く持つことにもつながっている。

　通算7アンダー首位の森田遥とは3打差。「2日目終わりにしては、そこそこの位置にいると思うので、あと2日あれば差はないようなもの。トップに追いついていけたら」と、淡々と言い切った。

　ムービングデーの3日目、そして最終日と、米ツアーの選手はよりアグレッシブにプレーする。どんな位置にいても、決勝ラウンドに進むことができれば逆転の可能性に賭ける。そんな意識でプレーするのが当たり前の世界で、古江は2年間戦ってきた。

　その中で、自分のプレースタイルを常に崩さず、あきらめず、粘り強いゴルフにさらに磨きがかかっているのは間違いない。そのことを尋ねると、返ってきたのは「そうですね。何が起こるか分からないですからね」という答え。スポーツである以上、当たり前ではあるのだが、常にそう信じて戦うことができる者はあまり多くない。

　米ツアー2位のフェアウェイキープ率（84.76％）を誇るティーショットは、2日間で28ホール中16ホール（0.5714％）と、数字だけ見ればまだまだ本領を発揮しきれていない。引き続き晴れて、冷え込みがよりきつくなり、風が少し収まる予報の3日目に、古江らしいより安定したショットが出てくるようなら、怖い存在になるはずだ。

2000年5月27日生まれ、兵庫県出身。アマチュア時代の19年に「富士通レディース」でツアー史上7人目のアマチュア優勝を成し遂げてプロ転向。20年にプロ初勝利を飾り、アマチュア時代を合わせ国内ツアー通算8勝。賞金女王争いでは稲見萌寧にあと一歩及ばなかったものの、最優秀選手賞と新人賞に輝いた。22年から米国女子ツアーに参戦し、トラストゴルフ・スコティッシュ女子オープンで同ツアー初勝利を遂げた。富士通所属。